著者
吉川 雅弥
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

リバースエンジニアリングの技術の進歩に伴い,ハードウェアトロイの脅威が顕在化してきた。ハードウェアトロイとは,予め定めた発動条件を満たした場合,不正な動作を行うハードウェアウイルスのことである。一方,機密情報は,理論的に安全性が保障されているアルゴリズムを用いて,データを暗号化している。しかし,暗号化は回路で行われるため,その回路動作時の消費電力等を測定することで,不正に内部の秘密情報を解析する攻撃が研究されている。そのため,最近では暗号回路を対象に,いくつかの不正防止回路が開発されている。そこで本研究では不正防止回路も含めた暗号回路に対するハードウェアトロイの対策・検出手法を開発した。
著者
池崎 良哉 竹本 修 野崎 佑典 吉川 雅弥
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J106-D, no.4, pp.209-217, 2023-04-01

Society5.0の実現には,つながるデバイスの認証だけでなく,企業の知財保護の観点からAIエッジデバイスで利用するモデル情報を保護する必要がある.本論文では,新たに知財保護を指向したAIエッジ・認証併用システムを提案する.提案手法では,Physically Unclonable Function(PUF)を用いることで,デバイスの認証に加えてAIモデルの不正利用を防止する.評価実験では提案手法を用いることで,不正に複製されたAIエッジデバイスでは,回路構成がオリジナルと同一でも推論精度を10%以上低下させることに成功し,提案手法が有効であることを明らかにした.
著者
野崎 佑典 竹本 修 池崎 良哉 吉川 雅弥
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.3, pp.103-111, 2023-03-01

本論文では,軽量暗号Midori128に対する耐タンパ実装を提案する.提案手法は,RSMをベースとすることで,小回路規模でMidori128のサイドチャネル解析に対する耐タンパ性を向上させる.実験では,提案手法を適用したMidori128をFPGA実装し,その安全性について評価した.そして,提案手法はサイドチャネル解析に対する耐タンパ性を有しており,小回路規模で実現可能であることを明らかにした.
著者
上岡 泰輔 堀 遼平 北森 達也 吉川 雅弥 藤野 毅
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.352, pp.93-98, 2011-12-08

宇宙・航空・原子力用LSIでは,放射線が誘起するソフトエラーに対する高い耐性が求められる.一方,携帯電話やデジカメといった民生用機器と比較すると,これら用途のLSIの生涯生産個数は少なく,フォトマスク等の初期開発コストにより,LSI1個当たりの製造コストが非常に大きくなるという問題がある.生涯生産個数の少ない用途に向けては,FPGAを使用することで製造コストを削減することが可能であるが,回路構成素子としてSRAMを用いたFPGAは放射線耐性が弱いのが問題とされている.このような少量生産でありながらFPGAの使用が困難な応用用途に対しては,論理変更をSRAMではなく,2枚程度のビアマスクで行う方式が有効であると考えられる.本論文では,当研究室で開発してきたビアプログラマブルロジックVPEXを,FPGAに代わる低コスト耐放射線LSIとして提案する.回路シミュレーションにより,VPEXのソフトエラー率を見積もった結果を報告する.