著者
松下 明 田原 正夫 吉本 尚
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.349-354, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
12

目的 : 高齢男性は支援や介護を要する状態となっても社会資源利用を好まず, 家に閉じこもりがちとなるケースが散見される. こういった背景から高齢男性の心理状態を評価及び分析し, 社会的関わりを促す具体的な方策を提言することが本研究の目的である.方法 : 岡山県勝田郡奈義町在住の75歳以上男性を対象に質的研究を行い, データ収集を2段階にて実施した. 一つは奈義町内の3地区に行われたフォーカスグループで, もう一つは個別に行われた半構造化インタビューである. 文章化されたインタビュー内容は修正版グラウンデッド・セオリーアプローチ (M-GTA) で分析・比較検討され, 概念化された.結果 : 高齢男性の社会的参加に関する心理的背景要因として, 内的要因 (役割へのこだわり・老いの受容) , 関係性の要因 (女性参加者・スタッフとの関係) , 外的要因 (経済・交通手段) が3つのカテゴリーとして示された.結論 : 関係性の要因と外的要因を中心に介入を行うことで, 高齢男性の社会的関わりを改善することが可能と思われた. 行政への10の提言を行った.
著者
吉本 尚斗 仲村 淳 新城 治 砂川 長彦
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.365-370, 2019-06-15 (Released:2019-06-15)
参考文献数
9

外来心臓リハビリテーション(以下,外来心リハ)を実施するにあたり,目標設定のために作業選択意思決定支援ソフト(以下,ADOC)を使用した.症例は50歳代の女性で,本態性高血圧による心不全を呈したと診断された.その再発予防を目的に外来心リハと薬の内服を開始した.外来心リハに際しADOCを用いた面接で目標設定を行った.目標は「心不全再発予防のための食事療法および運動療法の継続」と「スィーツビュッフェでの友人との交流」であった.目標設定後,症例は週1回の外来心リハと自宅での食事療法および運動療法を行った.結果,友人との交流は可能になった.また血圧および体重は退院時に比較し大幅な改善を認め,薬は1剤が中止となった.
著者
吉本 尚
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究の目的は、生活習慣病のリスクを高める量の飲酒を行っている過剰飲酒者に対して、微アルコール飲料の提供でアルコール摂取量が減るのかを介入試験で検証することである。過剰飲酒は危険な飲酒パターンの一つであり、生活習慣病以外にもアルコール依存症、がんなどの慢性的な健康障害が惹き起こされる。本研究では、地球規模課題である過剰なアルコール摂取の改善を図るための有用な資料を世に提供することで、政策提言を含む効果的な対策を行うことが可能となる。新型コロナ流行に伴い、飲酒量の増加とアルコール関連問題の増加が世界中で確認されており、本研究のテーマは非常に重要であり、かつ喫緊の課題と考えられる。
著者
吉本 尚
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.943-945, 2013-11-15

はじめに アルコール問題に対する対応をプライマリ・ケア医が行うことで,問題の早期発見が可能となる.これは,アルコール依存症(以下,依存症)の予防や早期回復のみならず,アルコールに関連する身体的・心理的・社会的問題を減らす意味でも,医療者・医療機関の疲弊の軽減,医療費の増大を軽減させるという視点からも,非常に重要な取り組みである. 近年,特に依存症になる以前の,「危険な飲酒」の段階から介入を行うことが効果的と言われており,各国で対策が進められている.本稿ではアルコール問題のスクリーニング,介入,適切な紹介・連携を効果的に行う枠組みであるSBIRT(Screening, Brief Intervention, Referral to Treatment,略称:エスバート)に関して述べる.
著者
吉本 尚
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本では24時間アルコール飲料の購入が可能であったり、多くの飲食店において飲み放題サービスが提供されるなど、未だにアルコールに対して寛容な環境がある。本研究は前向きコホートによって飲み放題システムの1回飲酒量に与える影響を明らかにする。本研究によって、アルコールと上手に付き合いながら社会で活躍するための大学生への教育や、大学生自身の飲み放題の利用が自分たちの飲酒量に与える影響を知り、自己選択を行うことが可能となる。また、飲み放題サービス提供者に対する提供方法等についての議論にも発展する可能性がある。
著者
野崎 浩平 福井 淑郎 柴田 正義 田中 英光 松田 侑子 吉本 尚永 塚田 晃司
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.6(2007-GN-062), pp.185-190, 2007-01-26

日本は,地理的,地質的,気候的な条件から自然災害が発生しやすい.そこで,携帯端末を用いた歩行者誘導システムを,災害時における住民の誘導に応用しようという研究がある.しかし,平常時とは異なり,災害発生時には複数の地点が通行できなくなる可能性がある.そのようなとき,適切な避難経路を再設定するためには,周辺の通行不可能な地点を把握することが必要である.本研究では,より迅速な情報収集を目指し,住民が携行する携帯端末を通じて,災害発生地点を目にした住民から直接の情報提供を受けるという手法を提案,この手法を用いた動的な避難誘導システムを提案した.