著者
山本 哲也 吉本 潤一郎
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.20-040, (Released:2021-09-10)
参考文献数
30

機械学習は、近年注目を集めている人工知能技術の一分野であり、問題に対して最適な解決策に到達するための方法やパラメータを自動的に決定する計算戦略である。このアプローチでは、多次元データセットに内在する規則性を発見することによって、個人の状態に焦点を当てた予測モデルを構築することができる。そのため、認知行動療法をはじめとした臨床実践において、アセスメントの効率化・精緻化や、最適な介入方法の選定に寄与する可能性がある。そこで本論文では、まず機械学習アプローチの枠組みや、統計学との違い、そしてその特長を概観する。加えて、これまでのメンタルヘルス領域において、機械学習アプローチが適用されている主な研究テーマを整理したうえで、臨床心理学および認知行動療法研究に寄与しうる活用例を紹介する。最後に、機械学習アプローチの限界に触れながら、今後の応用可能性について論じる。
著者
酒井 翠 中野 高志 丸野 由希 岡田 剛 高村 真広 岡本 泰昌 山脇 成人 吉本 潤一郎
雑誌
2018年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018-09-21

うつ病に関連する脳の構造的異常についてこれまで様々な報告がなされてきたが、治療効果や環境的要因の影響も大きく、バイオマーカになり得るだけの決定的な結論には未だ至っていない。本研究では、治療効果の影響が少ないと考えられる抑うつエピソード発症早期のうつ病患者群と健常対照群の脳の構造的な差異についてvoxel-based morphometry (VBM)法を用いて解析し、先行研究の再現性を検証した。
著者
大羽成征 中江健 吉本潤一郎
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.9, pp.1-5, 2013-06-20

スパイク統計に基づいて神経細胞間の機能的結合を知るための手法として、一般化線形モデル (GLM) に基づく応答関数推定法が提案されている。GLM によれば古典的な 2 ニューロン間クロスコレログラム解析で生じる擬似相関起源の偽陽性を排除できる。しかし、GLM によっても原理的に避けられない偽陽性要因が存在する。本発表ではそのうち 2 つを指摘する。第一は、スパイク検出時刻決定の誤差、第二は時間方向に非線形性の強いダイナミクスを GLM でフィッティングすることによって生じる歪みである。本発表ではまた、これらの偽陽性を避けるために、応答関数可視化法に関する小さなトリック 「GLM クロスコレログラム」 を提案する。これとクラスタリング法と組み合わせて、機能的結合パターンの典型例を見つけることで、通常手法を使った場合に導かれたであろう解釈誤りの可能性を減らせることを示す。
著者
吉田光佑 清水優 吉本潤一郎 土岐茂 高村真広 岡本泰昌 山脇成人 銅谷賢治
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.4, pp.1-2, 2013-06-20

うつ病の診断及び治療等において従来の経験に頼った手法ではなく、機能的核磁気共鳴 (fMRI) 技術を用いる研究が盛んに行われている。本研究では、言語流暢性課題におけるうつ病患者の fMRI データを対象に、L1 正則化付きロジスティック回帰を用いることで、より精度の高い客観的診断および関わりのある脳領域の特定を行った。