著者
渡辺 信三 吉田 伸生 国府 寛司 重川 一郎 西田 孝明 池部 晃生
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

確率解析をWiener空間上の解析学、特にMalliavin解析の方法を用いて研究した。Malliavin解析においては、Wiener汎関数のなすSobolev空間が導入され、その枠組でWiener空間上におけるSchwartg超関数の類似物であるW´iener超汎関数も定義される。このWiener超汎関数には、Donskerのデルタ関数をその代表とする正の超汎関数があり、これにはWiener空間上のエネルギー有限の測度が対応している。さらにこの概念に対応してWiener空間上に(r,P)-容量(capacity)の概念が定義され、Wiener空間上、Wiener測度に関し“ほとんどいたるところ"なりたつ諸性質を“quosi every where"でなりたつ性質に精密化できる。こうした方法は、Malliavin解析に関連して“quasi-sure analysis"と呼ばれ、確率解析において最近大きな注目をあつめている。このquasi-sure analysisにおける一つの研究成果として、(r,p)-容量に関する大偏差の原理が、Wiener測度に関するSchilderの定理と同じ形で成り立つことが示された。これを用いると、例えば、Strassen型の重複対数の法則を、almost everywhereの概念をquasi-sureの意味に精密した形で示すことが出来る。Donskerのデルタ関数が、どういう可積分および可微分指数のSobolev-空間に属するかについて、補間理論を用いて詳細に研究した。このことの応用として、Wiener空間上のある種の條件つき平均についてそのregnlarityがHolder連続性の言葉を用いて論ずることが出来た。さらにWiener空間におけるSobolev空間の概念を、より一般の可分な距離空間上で対称Markov半群が与えられた場合に一般化することが出来、またWiener空間上に限っても基礎になるOrnstein-Uhlenbeck作用素を一般化することによって一般化出来た。これらの一般化Sobolev空間は量子物理学に有効な応用をもつものと期待される。
著者
會田 茂樹 長井 英生 永幡 幸生 桑江 一洋 日野 正訓 廣島 文生 KOHATSU-HIGA Arturo 日野 正訓 桑江 一洋 廣島 文生 吉田 伸生 数見 哲也 長井 英生 KOHATSU-HIGA Arturo 永幡 幸生
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

研究成果としては(1)ウィーナー空間内の領域で定義されたホッジ・小平型作用素の研究(2)無限次元空間上のシュレーディンガー作用素の最小固有値の準古典極限の研究の二つがある。(1)ではウィーナー空間内のある非凸領域でのポアンカレの補題の証明のため、凸領域で定義されたホッジ・小平型作用素のアダマール変分を用いるアイデアを提起した。(2)では、コンパクトリーマン多様体のパス空間上のシュレーディンガー作用素と場の量子論に現れるP(φ)型のハミルトニアンの最小固有値の準古典極限を決定した。