著者
吉田 俊秀
出版者
京都市立看護短期大学
雑誌
京都市立看護短期大学紀要 (ISSN:02861097)
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-5, 2008

メタボリックシンドロームは,内臓脂肪蓄積,高血糖,資質代謝異常,高血圧などの動脈硬化危険因子が同一患者に重複して存在する病態をいう.メタボリックシンドロームは一つひとつの症状は深刻でなくても,重複して持つと心筋梗塞や脳梗塞などの危険性が30倍も高い.内臓脂肪細胞は糖尿病・高血圧などを引き起こす多くのアディポサイトカインを分泌する内分泌器官である.治療としては,体重を5%減量することを目標とする.これは5%の減量で肥満に伴う合併症は改善されメタボリックシンドロームは治療してしまうからである.この程度の減量なら3ヶ月で達成できる.メタボリックシンドローム患者の食事摂取の特性は,1)夕食の時間帯が遅く食事量が多い,2)夕食後は運動しない,3)毎晩ビールを飲む,などであるから,減量もその特性にあわせ,朝昼食はそのままで,夕食前に生キャベツを10分間噛ませて満腹感を得させてから,主食と酒類を減らし,おかずと野菜とスープで3ヶ月間頑張らす「キャベツ夜だけダイエット」が効果的.本疾患患者の過食原因調査では日常茶飯事なストレスが原因であることが多い.これを聞き出しポジティブ思考でリラックスさせてから食事・運動療法を行うと痩せやすくリバウンドが少ない.
著者
吉田 俊秀
出版者
札幌博物學會
雑誌
札幌博物学会会報
巻号頁・発行日
vol.18, no.1-2, pp.43-48, 1949-07-31
著者
吉田 俊秀 小暮 彰典
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨 糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
巻号頁・発行日
pp.102, 2005 (Released:2006-03-24)

β3-アドレナリン受容体(β3-AR)は白色脂肪組織における脂肪分解と褐色脂肪組織における熱産生に大きな役割を果たしている。1984年に開発されたβ3-ARアゴニストは肥満動物において著明な抗肥満・抗糖尿病効果を示したが、ゲッ歯類には著効してもヒトには効果がなかった。この効果差の原因は、1989年になり、ヒトとゲッ歯類のβ3-ARの化学構造上の種差によることが明確になった(ヒトβ3-ARは408個、マウスは388個、ラットは400個のアミノ酸より構成される)。1995年には、ヒトβ3-AR遺伝子のTrp64Arg変異がピマ・インディアンにて発見され、内臓脂肪型肥満やインスリン抵抗性、更には、糖尿病とも強く関連することが明らかになり、β3-ARの体脂肪調節に果たす役割の重要性が注目された。演者らも、日本人の34%にβ3-AR遺伝子多型(Trp64Arg)が存在し、ホモ型及びヘテロ型はワイルド型に比べ、糖尿病を6年早く発症すること、糖尿病性網膜症や腎症も2から3倍多く合併すること、更には、安静時代謝量が200kcal/日減弱しており、肥満患者の減量に当たっては食事指導を通常より200kcal減らしたより厳しい食事指導をしないと痩せにくい減量困難さを持つことを見出した。一方、β3-ARアゴニストは褐色脂肪細胞に作用し、熱産生に中心的役割を果たす脱共役蛋白質1(UCP1)を増加させ、白色脂肪細胞及び骨格筋にもUCP1を発現させる働きも持つため、褐色脂肪組織の少ないヒト成人においても有効であることが期待される。近年、脂肪細胞が、レプチン、TNF-α、PAI-1といったサイトカインを分泌し高血圧や糖尿病などの発症に密接に関与していることが明らかにされた。これら生活習慣病の根本的な治療として、内臓脂肪量の減量が重要視され、抗肥満薬としてのヒトβ3-ARアゴニストの開発に期待が高まり現在までに数多くの臨床治験が進められている。しかし、ヒトの安静時代謝量を著増させるアゴニストも発見されたが、耐えがたい皮膚紅潮などの副作用が出現するため、現在は多くの製薬メーカーにて改良が加えられている段階である。また、臨床応用時に懸念されたβ3-AR遺伝子多型の有無による効果差や、慢性投与時の受容体の発現調節についても知見が得られている。本講演では、現時点でのβ3-ARに関する最新情報を述べてみたい。
著者
坂根 直樹 松井 浩 澤入 房子 森 直樹 平澤 勇 竹村 智子 村上 博之 小暮 彰典 高倉 康人 梅川 常和 吉岡 敬治 吉田 俊秀
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.521-524, 2001-06-30

われわれは健康学習 (患者の生き方や価値観を重視し, 行動科学手法を用いた保健指導論) を用いた「楽しくてためになる糖尿病教室」の普及を目指し, 全国でグループワークやロールプレイを中心とした糖尿病教育ワークショップを実施し, 糖尿病医療スタッフ995名の意識や態度に与える影響を検討した. プログラム内容検討, 参加者の目標設定, グループワークや体験学習の必要性の有無で有意差が認められた. 従来は講義時間が大半を占めていたが, 終了後はグループワークや実技の必要性が再認識された.
著者
古山 富士弥 吉田 俊秀 熊崎 路子 大原 孝吉
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.415-423, 1988-04-15

Wistar系ラットの体温調節能力について系統差を,とくに温熱性唾液分泌と体水分利用効率との関連において検討したので報告する. 8系統のWistar系ラットを,42.5℃-40%RHの人工気候室においたところ,体温調節能は比較的すぐれた系統と,高温非耐性の系統があったが,Crj: Wistarが最もすぐれていた. 小型ですぐれた高温耐性の系統もあり,高温耐性に特異的に貢献する機構の存在が示唆され,その一つは温熱性唾液分泌であった. 温熱性唾液分泌は,顎下腺の大きさには依存しなかった. 体温調節能の高い系統が温熱性唾液分泌および唾液塗布をおこなっているときには,体水分利用効率は高く,体温調節機構と水-浸透圧調節系の協調による高体温抑制が示唆された.