著者
小泉 公乃 吉田 右子 池内 淳 松林 麻実子 和気 尚美 河本 毬馨
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

21世紀社会における中心的課題は,産業構造の変化や不安定化する国際政治によって生じた社会分断を克服することであり,地域コミュニティの中心にある図書館は社会分断克服空間への変化を求められている。本研究では,①包括的文献レビュー,②北欧北米と日本における図書館の政策分析,③北欧北米と日本の先進的な図書館を対象とした詳細な事例分析,④先進的な図書館の立地する地域を対象としたエスノグラフィ,⑤新しく創造された社会分断克服空間を対象とした図書館評価法の開発という5つの研究を通して,伝統的な図書館から21世紀の次世代図書館への<革新メカニズム>を解明したうえで,<新しい図書館評価法>を開発する。
著者
森本 尚之 和気 尚美
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.16-27, 2020-02-21

三重大学では2018年度に学部入学生を対象にしたノートパソコン必携制度(一種のBring Your Own Device, BYOD)を導入した.本実践論文では,三重大学のノートパソコン必携化にあたってのインフラ整備やノートパソコンの初期セットアップなどにおける課題を整理し,それらへの対応を実例を交えて報告する.また,入学生アンケートの結果や制度導入に合わせて開設した相談窓口「ICTサポートデスク」の活動状況などを基にして制度開始の状況を分析し,学生間のさまざまなピア・サポート(同じ立場・似た立場の人同士の助け合い)が重要な役割を果たしたことと,スムーズな必携制度導入のための組織間連携の重要性を述べる.
著者
和気 尚美
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.135-151, 2015-09-30

デンマークでは異なるレベルのアクターが協力して移民に対し公共図書館サービスを提供している。本研究では,地域レベル3つ,国レベル2つのアクターを取り上げ,移民に対する図書館サービスに関わるアクターの機能と関係について検討した。調査から得られたデータは,予算の提供,多言語資料・専門的助言の提供,ネットワーク形成支援の3点から考察した。そして 1)プロジェクトは主に文化局の助成事業によって支えられており,文化局が助成対象を図書館に限定せず,関連アクターにまで広げているため多様なアクターのプロジェクトの実施を可能にしていること,2)統合図書館センターが移民に対する図書館サービスを専門に扱うナショナルセンターとして明確な立場にあるため多言語資料や専門的助言に関するニーズは統合図書館センターに凝集していること,3)各アクターは異なる2つのアクターの協力関係を支える機能を有していることを示した。