著者
伊藤 虹児 和穎 朗太
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.18-28, 2023-04-30 (Released:2023-04-30)

地球上で屈指の微生物多様性を有する土壌では,土壌微生物群集が物質循環(生物地球化学的サイクル)を駆動し,その活動が植物への養分供給や気候調節といった生態系サービスを可能にしている。これを保全し,精緻に制御・予測するためには,土壌環境と微生物群集を併せた理解が不可欠である。しかしながら,バルク土壌を均質とみなした従来のアプローチでは土壌が本質的に内包する不均質性を見落とす可能性がある。そこで本稿では,先ず土壌環境中の不均質性の源である3 つの重要な要素;固相成分(母材,有機物,有機無機複合体),団粒構造と階層性,土壌孔隙を概説する。次に,これらの要素が生み出す不均質性と土壌細菌群集構造の関係性,また生態学的フレームワークを基にした土壌細菌群集の生態に関する研究例について紹介する。複雑な微生物群集構造と微生物ハビタットとしての微視的土壌環境を高解像度に解析できるようになった現在,土壌の微生物生態および微生物の駆動する陸域の物質循環の理解を格段に深化するチャンスが訪れており,将来的に土壌プロセスの理解の精緻な予測および持続的農業を支える土壌管理への基礎になることが期待できる。
著者
林 健太郎 長谷川 利拡 小野 圭介 岩崎 亘典 豊田 栄 八島 未和 堅田 元喜 須藤 重人 和穎 朗太 常田 岳志 麓 多門 須藤 重人 南川 和則 和穎 朗太 松田 和秀 片柳 薫子 矢野 翠 中村 浩史
出版者
独立行政法人農業環境技術研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

つくばみらいFACE(開放系大気二酸化炭素増加)実験水田を舞台として、大気沈着および灌漑水に由来する窒素フローの実態を把握し、大気二酸化炭素(CO_2)増加、加温、および水稲品種が一酸化二窒素(N_2O)の生成、窒素無機化、窒素固定、水稲の窒素吸収、および土壌有機物の動態などの窒素関連過程に及ぼす影響の解明を進め、大気-土壌-水稲系の詳細な物質循環モデルを開発し、広域評価モデル・データセットを構築した。