著者
羽田野 袈裟義 安福 規之 兵動 正幸 橋本 晴行 久保田 哲也 福岡 浩 里深 好文 山本 晴彦 高橋 和雄 宮田 雄一郎 鈴木 素之 牛山 素行 田村 圭子 後藤 健介 藤田 正治 牧 紀男 朝位 孝二 善 功企 守田 治 滝本 浩一 三浦 房紀 種浦 圭輔
出版者
山口大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2009

(1)災害概況:2009年7月の豪雨により防府地域と福岡県北半部の全域で土砂災害が多発し合計で27名が亡くなった.(2)土砂災害の実態:防府の土砂災害は,土石流中の巨礫堆積後の土砂流による埋没である.土質調査からマサ土地域での崩壊発生と間隙水圧の関係が示唆された.土石流の流動解析で石原地区の土砂流出量を評価し,砂防施設の有効性を評価した.(3)情報伝達と警戒避難体制の状況:防災・避難情報の収集・伝達や警戒避難体制の整備状況や土砂災害警戒区域の指定に伴う警戒避難体制の整備状況と問題点を明らかにした.
著者
真木 太一 善 功企 守田 治 新野 宏 前田 潤滋 野村 卓史
出版者
九州大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2006

台風0613号は9月10日にフィリピン沖で発生し、石垣島に接近した後、東シナ海を北東進して佐世保市付近に上陸し、大きい被害を与えて玄界灘から日本海に抜けた。風速は石垣島で69.9m/s、長崎県で50m/sを越えた。佐賀県唐津市の大雨は、台風が2000kmも離れていた時の前線刺激に起因する。豪雨と土砂災害の特徴が解明された。竜巻が宮崎県や大分県で5個発生し、特に延岡市では、列車の転覆被害があり、3名の死者が発生した。佐賀・長崎県を中心に潮風害が非常に激しく、米の作況指数が佐賀地域で42であり、潮風害と海岸からの距離との関連性が調査され、指数関数的に減少し15kmまで及んだ。台風時の降雨が少なく、長崎県での潮風害樹木の特徴が塩分付着との関連性から評価された。潮風害と人工衛星リモートセンシング画像評価による植生指数・健全度(NDVI)の低下との関連性が解明された。潮風害に強い防風林樹種が選定された。延岡市の竜巻はF2と評価され、長さ7.5km、最大幅200mであった。竜巻の被害特性は、屋根瓦などの二次的飛散物による増加があり、市内・住宅地での被害が大きく、突風による被害増大の関連性が評価された。また、屋根のケバラ付近の固定強度に問題があることが判った。アンテナ支線の避雷コイルの破損状況からの竜巻の特徴が解明された。宮崎県の竜巻発生頻度の多さと積乱雲発生との関連性やレインバンド中の積乱雲のモデルによるシミュレーションが評価された。竜巻発生への地形の影響の関与が調査され、半島や島の影響が空気力学的に裏付けられた。長崎県での停電、長崎・北九州の海上空港の台風害の特徴が裏付けられた。台風による高齢者や障害者の不便と支援の在り方の対応特性が提示された。台風と文教施設、農業用施設ハウスの被害から被害発生要因と対策が考察された。暴風・竜巻等によるリスク低減対策がアンケート調査や建築物の被害評価基準の問題点が指摘された。
著者
橋本 晴行 善 功企 江崎 哲郎 戸田 圭一 高橋 和雄 北園 芳人
出版者
九州大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2003

03年7月19日から20日未明にかけて九州各地で,局地的な集中豪雨により,河川の氾濫や斜面崩壊,土石流が発生した。本調査研究は,被災地の現地踏査,住民・防災関係機関への聞き取り調査,資料収集などを実施し,以下のような成果を得た。1.7・19北部九州豪雨による災害-福岡都市水害福岡県太宰府市において,19日午前4時に最大時間雨量99mm,総雨量315mmに達する豪雨が発生したその結果,2級河川御笠川の上流に当たる同市三条地区などで土石流が発生するとともに,下流の福岡市博多駅周辺で御笠川が氾濫し,ビル地下階,地下鉄駅構内が浸水した。99年水害の再来となった当時の降雨量は,太宰府市で総雨量180mmであったため,今回の水害は99年水害を上回る規模であったと推測された。99年水害と異なった点は,御笠川上流の太宰市で,前回を大幅に上回る降雨量が発生したため土石流や崩壊が発生し,土砂が多く下流に流下・氾濫したことと,流量規模が大きく,前回越流のなかった中・上流においても広範囲に氾濫が発生したことである。2.7・20中南部九州豪雨による災害-水俣土石流災害熊本県水俣市で20日午前4時に最大時間雨量91mm,総雨量323mmの降雨を記録した。その結果,同市集川において上流右岸斜面が崩壊して土石流化し,下流の人家を襲った.集地区では,斜面中腹から地下水噴出が発生しその影響で崩壊を起こした。下流の扇状地では巨礫が多く堆積しており,土石流の本体部分は典型的な砂礫型士石流であったと推定された。97年に隣接の出水市で発生した土百流は泥流型土石流と考えられている。質的な面において両者は異なると推定された。現在,熊本県では土砂災害警戒雨量が参考値として扱われ避難勧告基準としては活用されていない。土砂災害情報を初動体制に活用する行政の体制づくりが不可欠である。
著者
陳 光斉 善 功企 周 国雲 笠間 清伸
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、大地震による崩壊土石の高速・遠距離運動のメカニズムを解明し、崩壊土石の運動速度や到達距離などの運動特性を予測する実用的な数値シミュレーションプログラムを開発することを目的とした。高速・遠距離運動の要因として地震による地上物体のトランポリン運動に着目し、その発生メカニズムを「卓球効果」モデルで解明できた。また、「多重加速モデル」を提案し、トランポリン効果を考慮した崩壊土石の運動特性や到達距離を推定する3次元DDA数値シミュレーションプログラムを開発することができた。さらに、地震による土砂災害連鎖モデルを確立し、新しい土砂災害リスクの評価手法を提案したので、大地震による予想外の甚大被害を低減することに貢献した。