著者
寺田 光宏 石垣 泰輔 尾崎 平 戸田 圭一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_1363-I_1368, 2019

<p> 近年,大雨による浸水被害が増加しており,大阪や東京等の都市部では,地下浸水が発生する可能性がある.浸水対策が十分でない場合,地下鉄に侵入した洪水が地下鉄のトンネルを通って広がることになる.本論文では,地下鉄利用者のための避難リードタイムを,排水システム,地上及び地下空間を含む数値モデルを用いて調査した.地下鉄における浸水被害者の数を数値的に推定し,地下鉄駅の脆弱性について議論した.その結果から,避難リードタイムと各駅の浸水に対する脆弱性が示された.これらの結果は,地下鉄事業者が避難計画を立てるために重要である.</p>
著者
寺田 光宏 石垣 泰輔 尾崎 平 戸田 圭一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_1465-I_1470, 2018

東京,名古屋,大阪等,日本の低地の都市にはたくさんの地下鉄と地下駅が存在する.本論文では,数値解析を用い,大阪中心部の地下街,地下駅,15本の地下鉄路線を含む内水氾濫の解析を実施した.氾濫解析結果から,氾濫水が地下鉄トンネル内を迅速に広がることがわかった.特に,新路線のなにわ筋線において,梅田地区から新大阪駅へと氾濫水は広がることが確認できた.また,大野処理区では十三駅や新大阪駅周辺で浸水が発生することが確認できた.
著者
濵口 舜 石垣 泰輔 島田 広昭 尾﨑 平 戸田 圭一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.I_1387-I_1392, 2015
被引用文献数
4

Some parts of Japanese mega cities such as Tokyo, Nagoya and Osaka are below sea level and these areas are prone to floods. These three areas are in coastal zone and over 1000 people were sacrificed by storm surge in the past time. Inundation of underground spaces by pluvial and tsunami flood in the center of Osaka have been investigated in our previous works. Underground inundation by storm surge caused by super typhoon is discussed in this paper. The results show that 50 percent of total overflow discharge intrudes into underground spaces. Almost all amount of intruding discharge into underground mall fall down to the subway stations connected to the mall. The damage is different from the results caused by pluvial and tsunami floods. This means that administrators of underground space have to make different countermeasures for each disaster.
著者
中川 一 戸田 圭一 牛山 素行
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.353-360, 2001-11-30
被引用文献数
2

The Typhoon 0108 (Typhoon Toraji) attacked the eastern and central Taiwan on 30 July, 2001. This typhoon brought about the heavy rainfall distributions. In the central area of Hualien-ken and the southern area of Nanto-ken, the hourly rainfall more than 100 mm lasted 3 hours, and the total rainfall amounted to more than 400 mm. As the results, the heavy debris flows occurred in many places in both Hualien-ken and Nanto-ken, and the severe inundation flow occurred due to both overtopping flow and bank breach in Nanto-ken. By these flood and sediment disasters, more than 210 persons were killed or missing and huge damages spread out all over the country. This report summarizes the findings of these disasters obtained through the field survey.
著者
戸田 圭一 石垣 泰輔 宇野 伸宏 米山 望 川池 健司 馬場 康之 小谷 賢太郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

実物大の階段・通路模型、車模型を用いて水害時の避難限界指標を作成した。統合型の都市水害モデルを用いて内水氾濫時の地下浸水解析を行い、避難限界指標を援用して地下空間の避難困難度ゾーンマップを作成した。小・中規模地下空間の浸水時の危険性も明らかにした。また内水氾濫解析と交通量解析を結びつけ、内水氾濫時の道路交通障害を評価できる手法を開発した。さらに都市水害対策として、地下空間を有効活用した治水施設の有効性を確認した。
著者
橋本 晴行 善 功企 江崎 哲郎 戸田 圭一 高橋 和雄 北園 芳人
出版者
九州大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2003

03年7月19日から20日未明にかけて九州各地で,局地的な集中豪雨により,河川の氾濫や斜面崩壊,土石流が発生した。本調査研究は,被災地の現地踏査,住民・防災関係機関への聞き取り調査,資料収集などを実施し,以下のような成果を得た。1.7・19北部九州豪雨による災害-福岡都市水害福岡県太宰府市において,19日午前4時に最大時間雨量99mm,総雨量315mmに達する豪雨が発生したその結果,2級河川御笠川の上流に当たる同市三条地区などで土石流が発生するとともに,下流の福岡市博多駅周辺で御笠川が氾濫し,ビル地下階,地下鉄駅構内が浸水した。99年水害の再来となった当時の降雨量は,太宰府市で総雨量180mmであったため,今回の水害は99年水害を上回る規模であったと推測された。99年水害と異なった点は,御笠川上流の太宰市で,前回を大幅に上回る降雨量が発生したため土石流や崩壊が発生し,土砂が多く下流に流下・氾濫したことと,流量規模が大きく,前回越流のなかった中・上流においても広範囲に氾濫が発生したことである。2.7・20中南部九州豪雨による災害-水俣土石流災害熊本県水俣市で20日午前4時に最大時間雨量91mm,総雨量323mmの降雨を記録した。その結果,同市集川において上流右岸斜面が崩壊して土石流化し,下流の人家を襲った.集地区では,斜面中腹から地下水噴出が発生しその影響で崩壊を起こした。下流の扇状地では巨礫が多く堆積しており,土石流の本体部分は典型的な砂礫型士石流であったと推定された。97年に隣接の出水市で発生した土百流は泥流型土石流と考えられている。質的な面において両者は異なると推定された。現在,熊本県では土砂災害警戒雨量が参考値として扱われ避難勧告基準としては活用されていない。土砂災害情報を初動体制に活用する行政の体制づくりが不可欠である。