著者
上野 智貴 山本 民次 福岡 浩一
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.67-73, 2022 (Released:2022-03-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1

瀬戸内海では, 長期的な窒素・リンの総量規制により, 近年では魚介類の漁獲量低下やノリの色落ちといった貧栄養化問題が指摘されている。対策の一つとして, 下水処理場等事業所からの排水の緩和が行われるようになってきたが, 陸域からの負荷は沖合まで届かない。そこで本研究では, 栄養塩を溶出させることで魚介類を増殖・成長させることを想定し, 実海域で使用できる施肥材を開発することを目的とする実験を行った。原料は完熟発酵鶏糞を主成分とし, これに鉄分と固化剤を加えてプレスした固形の施肥材を作成した。フラスコレベルで溶出試験を行い, 施肥材から溶出するN/P/Fe比が微細藻類の増殖にとって好適な比となるよう工夫した。現場用にサイズをスケールアップした施肥材を用いて溶出試験を行ったところ, 5か月以上の溶出持続性が確認された。以上より, 開発した施肥材が海域において持続的な栄養塩の供給機能を発揮できることを明らかにした。
著者
清水 洋 松本 聡 酒井 慎一 岡田 知己 渡辺 俊樹 飯尾 能久 相澤 広記 松島 健 高橋 浩晃 中尾 茂 鈴木 康弘 後藤 秀昭 大倉 敬宏 山本 希 中道 治久 山中 浩明 神野 達夫 三宅 弘恵 纐纈 一起 浅野 公之 松島 信一 福岡 浩 若井 明彦 大井 昌弘 田村 圭子 木村 玲欧 井ノ口 宗成 前原 喜彦 赤星 朋比古 宇津木 充 上嶋 誠 王 功輝 ハザリカ ヘマンタ 矢田 俊文 高橋 和雄
出版者
九州大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2016-04-22

2016年熊本地震について、地震活動や地殻変動、活断層、火山活動への影響、地震災害の特徴などを調査した。その結果、熊本地震は布田川・日奈久断層帯の右横ずれ運動によって発生したが、複数の断層面と複雑な断層形状を持つことを明らかにした。また、建物被害や土砂災害の地盤との関係、特に、地盤の過剰間隙水圧が地すべりの発生要因であることを明らかにした。さらに、災害情報や災害過程、被災救援、エコノミークラス症候群などについての調査から、広域複合災害の問題点と対応策を提示した。
著者
羽田野 袈裟義 安福 規之 兵動 正幸 橋本 晴行 久保田 哲也 福岡 浩 里深 好文 山本 晴彦 高橋 和雄 宮田 雄一郎 鈴木 素之 牛山 素行 田村 圭子 後藤 健介 藤田 正治 牧 紀男 朝位 孝二 善 功企 守田 治 滝本 浩一 三浦 房紀 種浦 圭輔
出版者
山口大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2009

(1)災害概況:2009年7月の豪雨により防府地域と福岡県北半部の全域で土砂災害が多発し合計で27名が亡くなった.(2)土砂災害の実態:防府の土砂災害は,土石流中の巨礫堆積後の土砂流による埋没である.土質調査からマサ土地域での崩壊発生と間隙水圧の関係が示唆された.土石流の流動解析で石原地区の土砂流出量を評価し,砂防施設の有効性を評価した.(3)情報伝達と警戒避難体制の状況:防災・避難情報の収集・伝達や警戒避難体制の整備状況や土砂災害警戒区域の指定に伴う警戒避難体制の整備状況と問題点を明らかにした.
著者
佐々 恭二 山岸 宏光 福岡 浩 千木良 雅弘 丸井 英明
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

21世紀において地すべり危険度の軽減と人類の文化・自然遺産及びその他の脆弱な宝の保護の問題は重要性を増しており,そのための研究、調査の拡大・強化に向けた世界的な協力が緊要である.1999年12月,ユネスコ事務総長と京都大学防災研究所長の間で合意覚え書き「21世紀の最初の四半世紀における環境と持続できる開発のための鍵としての地すべり危険度軽減と文化・自然遺産保護のための研究の推進に関する協力」が交わされた.この合意を推進するため,以下の研究を実施した.1.岡山県高梁市の国史跡・備中松山城の変形し始めている基礎岩盤に差動トランス型伸縮計とクラック変位計を開発・設置し,岩盤変位の精密計測を開始した.2.ユネスコ世界遺産の中で最も著名で,大規模な岩盤崩壊の地形の真上に位置し,クラックや小崩壊などの危険な兆候を示しているペルーのマチュピチュ遺跡の調査と斜面変動の高精度計測のため簡易伸縮計を開発し,11月に現地に持ち込み設置した.3.日本学術会議において2001年1月15日〜19日にかけて,UNESCO/IGCP Symposium on Landslide Risk Mitigation and Protection of Cultural and Natural Heritageを開催し,19カ国,57名が参加し,研究発表・研究推進の打合わせを行った.国際的な地すべり研究の枠組み設立のための「2001年東京宣言:Geoscientists tame landslides」を採択した.佐々が報告したマチュピチュ遺跡の地すべり調査結果と伸縮計観測結果は英国BBC,米国CNN,ロイター通信社,読売新聞等で世界的に報じられ,地すべりの危機に晒される文化遺産に対する国際的な関心を高めることに寄与した.なお,同シンポで発表された論文の中で優れたものを編集しSpringer Verlagより単行本として出版予定である.
著者
海野 徳仁 平田 直 小菅 正裕 松島 健 飯尾 能久 鷺谷 威 笠原 稔 丸井 英明 田中 淳 岡田 知己 浅野 陽一 今泉 俊文 三浦 哲 源栄 正人 纐纈 一起 福岡 浩 渥美 公秀 大矢根 淳 吉井 博明
出版者
東北大学
巻号頁・発行日
2008

臨時余震観測から本震時には西傾斜の震源断層が主に活動したが、それと直交する東傾斜の余震活動もみられた。震源域直下の深さ30~40kmには低速度域が広く存在しており、そこから3本の低速度域が地表の活火山にまで続いていた。GPS観測データから本震時すべりは岩手・宮城県境付近で最も大きかった。本震後の顕著な余効すべりは震源断層の浅部延長で発生し、地震時すべりと余効すべりは相補的である。強震動データでは0.1~0.3秒の短周期成分が卓越していため震度6弱の割には建物被害が少なかった。