著者
橋本 晴行 松永 勝也 南里 康久
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.43-58, 2001-05-31
参考文献数
9
被引用文献数
3

Short-time heavy rains caught people in the northern part of Kyushu on June 29,1999. In particular the biggest rainfall rate of about 100mm/h was measured in the eastern district of Fukuoka City. As a result the Mikasa River and the Sannou-Channel River overflowed their banks and the flooding water moved down the roads to the JR Hakata-eki Station. Many office buildings, subway station, shopping area of the Hakata-eki Station and the roads were inundated with water. The economic activity of Fukuoka City was damaged during the flood. After the flood disaster we had interviewed the residents and office workers from July 5 to 30 to investigate the overflowing period, and the direction and depth of inundation flow. Furthermore we had made questionnaire survey to know the response and consciousness of the residents and office workers to the flood disaster from August 6 to 30. It is found that the Sannou-Channel River began to overflow the banks around 9 : 00 and the Mikasa River around 9 : 30 on June 29. Flooding water reached JR Hakata-eki Station around 10 : 20. The response of the residents and office workers to the present flood was slow and their consciousness was weak.
著者
羽田野 袈裟義 安福 規之 兵動 正幸 橋本 晴行 久保田 哲也 福岡 浩 里深 好文 山本 晴彦 高橋 和雄 宮田 雄一郎 鈴木 素之 牛山 素行 田村 圭子 後藤 健介 藤田 正治 牧 紀男 朝位 孝二 善 功企 守田 治 滝本 浩一 三浦 房紀 種浦 圭輔
出版者
山口大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2009

(1)災害概況:2009年7月の豪雨により防府地域と福岡県北半部の全域で土砂災害が多発し合計で27名が亡くなった.(2)土砂災害の実態:防府の土砂災害は,土石流中の巨礫堆積後の土砂流による埋没である.土質調査からマサ土地域での崩壊発生と間隙水圧の関係が示唆された.土石流の流動解析で石原地区の土砂流出量を評価し,砂防施設の有効性を評価した.(3)情報伝達と警戒避難体制の状況:防災・避難情報の収集・伝達や警戒避難体制の整備状況や土砂災害警戒区域の指定に伴う警戒避難体制の整備状況と問題点を明らかにした.
著者
橋本 晴行 善 功企 江崎 哲郎 戸田 圭一 高橋 和雄 北園 芳人
出版者
九州大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2003

03年7月19日から20日未明にかけて九州各地で,局地的な集中豪雨により,河川の氾濫や斜面崩壊,土石流が発生した。本調査研究は,被災地の現地踏査,住民・防災関係機関への聞き取り調査,資料収集などを実施し,以下のような成果を得た。1.7・19北部九州豪雨による災害-福岡都市水害福岡県太宰府市において,19日午前4時に最大時間雨量99mm,総雨量315mmに達する豪雨が発生したその結果,2級河川御笠川の上流に当たる同市三条地区などで土石流が発生するとともに,下流の福岡市博多駅周辺で御笠川が氾濫し,ビル地下階,地下鉄駅構内が浸水した。99年水害の再来となった当時の降雨量は,太宰府市で総雨量180mmであったため,今回の水害は99年水害を上回る規模であったと推測された。99年水害と異なった点は,御笠川上流の太宰市で,前回を大幅に上回る降雨量が発生したため土石流や崩壊が発生し,土砂が多く下流に流下・氾濫したことと,流量規模が大きく,前回越流のなかった中・上流においても広範囲に氾濫が発生したことである。2.7・20中南部九州豪雨による災害-水俣土石流災害熊本県水俣市で20日午前4時に最大時間雨量91mm,総雨量323mmの降雨を記録した。その結果,同市集川において上流右岸斜面が崩壊して土石流化し,下流の人家を襲った.集地区では,斜面中腹から地下水噴出が発生しその影響で崩壊を起こした。下流の扇状地では巨礫が多く堆積しており,土石流の本体部分は典型的な砂礫型士石流であったと推定された。97年に隣接の出水市で発生した土百流は泥流型土石流と考えられている。質的な面において両者は異なると推定された。現在,熊本県では土砂災害警戒雨量が参考値として扱われ避難勧告基準としては活用されていない。土砂災害情報を初動体制に活用する行政の体制づくりが不可欠である。
著者
平野 宗夫 森山 聡之 橋本 晴行
出版者
九州大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本研究の目的は、雲仙において、リアルタイムに土石流の予測を行う手法を開発し、予警報システムの確立を計ることである。まず土石流の現地観測を行い、ハイドログラフのデータの蓄積を行う。また建設省九州北部レーダなどのデータを収集し、降水レーダデータベースを構築する。次に、得られたハイドログラフ、水位と雨量などのデータをニューラルネットワークに与えて学習させ、予測システムの開発を行う。本研究で得られた結果は以下のとおりである。(1)普賢岳周辺の中尾川、湯江川において、超音波水位計、電波流速計などからなる計測システムを設置し、流下してくる土石流を観測した。'94年、'95年は例年にくらべて雨が少なく、得られたハイドログラフは小規模であった。(2)雲仙の時間雨量データの累加値と総雨量を入力とし、土石流による堆積土砂量を出力とするニューラルネットワーク・モデルを構築した。そのモデルの検証のために、水無川における雨量-土石流堆砂量の関係を土石流発生毎に、過去の事例を学習-次の事例に対して予測させた。予測結果は、本モデルが水無川における土石流堆砂量の予測に有益であることがわかった。(3)ニューラルネットワークを用いて水無川における土石流の流出解析を行った。土石流の流出に関する土砂水理学的式をもとにしたニューラルネットワーク・流出モデルは1993年6月12-13日の実測ハイドログラフをモデリングすることができた。さらに、その流出モデルは、1991年から1993年に発生した土石流の堆積土砂量を推算し、実測堆積土砂量と比較を行い、有効性を示した。(4)土石流の発生予測は降雨パターンを土石流発生パターンと不発生パターンに判別することと考え、クラス分類を目的としたLVQ・モデルを利用し、土石流の発生予測精度の向上を試みた。発生予測に用いたLVQは従来の階層型ネットワークに比べて、単純なアルゴリズムでありながら、高い精度で発生と不発生の判定が可能であった。また、従来の階層型ネットワークについては、その関数近似の特性を利用した土石流の発生限界降雨の評価手法を提案し、累加雨量と発生限界理論をもとに、その妥当性を示した。
著者
橋本 晴行 横田 尚俊
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本システムは、全体で9個のサブシステムの構成となることを示した。中でも、浸水被害予測と住民の避難行動のサブシステムが主要部分を形成している。そこで、まず、浸水被害予測のサブシステムとして、福岡市の那珂川下流域を事例として、家屋が密集した河岸における越流量公式の提案、及び、地上・地下空間に対する平面2次元浸水被害予測シミュレーション手法の構築を行った。これに基づく予測情報を住民に提供して早期避難を図るため、次に、避難のサブシステムについて、豪雨時における住民の予測・避難情報に対する危険性の認識と避難行動との関係性などを明らかにした。