著者
國生 剛治
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1_85-1_96, 2014 (Released:2014-02-06)
参考文献数
24

砂地盤の液状化現象では、支持力の減少と同時に地震波エネルギーが伝達しにくくなることによる「免震効果」あるいは「ベースアイソレーション効果」が表れることが経験的に知られている。免震効果によって構造物へ入射する波動エネルギーが減少すれば、上部構造物の地震慣性力による被害は軽減することにつながるが、そのメカニズムを理論的に検討する試みは稀であった。ここでは均質砂層を対象とした単純なモデルにより、液状化にともなうS波速度Vsの低下と内部減衰定数Dの変化が地震波動エネルギーの地表への伝達率に与える影響を検討した。その結果、免震メカニズムは主に液状化層中のVsの大幅な低下により、非液状化・液状化層境界でエネルギー伝達率が低減する効果と、液状化層中で地震波の波長が短くなり内部減衰による距離減衰が増大する効果に分けられ、液状化層が厚い場合ほど距離減衰が増大する効果の方が大きくなることを示した。
著者
日下 拓哉 國生 剛治 新井 良太郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.80-90, 2013

斜面や構造物近傍などの地盤の液状化において,初期せん断応力の影響は重要である.本研究は,中空ねじりせん断試験機により初期せん断応力を水平面または45°傾いた面に排水条件で加え相対密度30~50%で非塑性細粒分を0~30%混ぜた砂の液状化試験を行った.その結果,液状化破壊を4種類(水平地盤での繰返し破壊CF,初期せん断応力比αが小さい範囲での繰返し破壊CBF,αが大きな範囲での延性的破壊BGFと脆性的破壊BSF)に分類できることを示した.特に非塑性細粒分を含む緩い砂では,繰返しせん断による水圧上昇の途中で初期せん断応力によりひずみが急増する脆性的破壊BSFの重要性を指摘した.そして,初期せん断応力下での体積圧縮性の違いから脆性的破壊と延性的破壊に分かれるメカニズムを非排水単調せん断試験との比較より明らかにした.
著者
國生 剛治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.23-00083, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
15

地震時斜面滑りの計算に使われるNewmark法では,地震動が滑り面の降伏加速度を超えることで滑り発生を規定しているが,実際には滑り直前のわずかな変位により滑り開始が一意的に決まる可能性が模型振動台実験などで示唆されてきた.そこで直前変位を表すバネを従来Newmark法のスライダーに直列接続した「バネ支持Newmark法」を開発し,その適用性を模型実験との対比により確認した.小さな滑り開始変位u0を与えることで斜面の滑り開始は従来法での降伏加速度を大きく超過する現象が見られ,模型実験でも類似の加速度超過現象が確認できた.また実測地震動を用いた現実的斜面の滑り計算により,わずか数mmのu0を考慮することで従来法に比べて降伏加速度の大幅超過や累積滑り変位の大幅低下など設計への大きな影響が示された.
著者
石澤 友浩 國生 剛治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C (ISSN:1880604X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.736-746, 2006 (Released:2006-11-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1

地震時の斜面安定は,静的震度を考慮した滑り面法や加速度時刻歴を用いたNewmark 法により評価されてきたが,これらの方法は破壊後の大きな変形量や下流への影響範囲の評価には無力である.本研究では,地震時の斜面崩壊に関わるエネルギーに着目したエネルギー的評価方法の開発を目指し,新たに工夫した振動台実験により乾燥砂模型斜面の滑り破壊に関わるエネルギーと斜面の残留変位量を計測した.模型実験では,斜面変形に関わるエネルギーが破壊後の変形量と密接に関係していることが示された.振動台の振動数と斜面勾配の斜面変形量への影響を検討し,これらの結果と剛体ブロックモデルでのエネルギーバランスに基づき,実用レベルへの課題はあるものの,エネルギー的な斜面変形量の簡便な評価法の基本的な可能性を明らかにした.
著者
國生 剛治
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.463-475, 2013-09-30 (Released:2013-09-30)
参考文献数
19
被引用文献数
10 2

液状化の判定には応力的判定法(FL法)が標準的方法として使われている。液状化発生をより直接的に支配する物理量として損失エネルギーに着目したエネルギー的液状化判定法も提案されてきたが実用には至っていない。継続時間の長い海溝型地震や継続時間は短いが振幅の大きな地殻内直下型地震など多種類の地震動に対し統一的に液状化判定を行うためには,エネルギーに基づいた方法が優れている。ここでは密度・細粒分含有率の異なる三軸液状化試験のデータをエネルギー的観点から分析し,供試体中の損失エネルギーが繰返し応力の波数や振幅に関わらず間隙水圧上昇や発生ひずみと一意的な関係があることを示し,それに基づいたエネルギー的液状化判定の具体的方法を提案した。さらにエネルギー法をモデル地盤に適用し,同一地震動を入力させた応力法と比較することにより,その特徴と可能性を明らかにした。
著者
平賀 有輝 國生 剛治 石澤 友浩 西村 治久 吉野 拓也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1011-1016, 2007 (Released:2010-11-22)
参考文献数
6

近年, 新潟県中越地震のように斜面災害を多く発生させた地震もあり, その地域の住民にとってはその土地で元通り生活できるようになるのかということが非常に大きな問題である. 1939年に発生した男鹿地震は新潟県中越地震同様, 斜面災害を多く発生させている. 我々は斜面災害の比較的大きかった男鹿市北浦と同市船川の地区を視察するとともに, 当時を知る方や独自に調査されている地域の方と面談し, 地震発生から70年経った現在の男鹿半島の様子を調査してきた. この地域では斜面崩壊によって地盤に大きな影響を残しているが, 地質が良好であったり地下水の影響が小さかったことから, 地震後の生活への影響は限定的であったように思われる.
著者
原 忠 國生 剛治 田中 正之 古地 祐規 平賀 有輝 松山 優子 吉野 拓也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1123-1127, 2007

1914 (大正3) 年3月15日秋田県中央部の大仙市 (西仙北町) を震源とするマグニチュード7.1の内陸型 (直下型) 地震が発生した. この地震により秋田県内陸部で斜面崩壊が発生し, 布又地区では傾斜勾配が6~7°程度の比較的緩い流れ盤斜面上での地すべりにより, 河道閉塞を引き起こした.<BR>本研究では, 緩傾斜な流れ盤斜面での地すべり発生メカニズムを解明するため, 現地より採取したすべり面近傍の試料を用いて物理試験および一軸圧縮試験を行い, 得られた結果を報告する.
著者
古地 祐規 國生 剛治 石澤 友浩 山本 純也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1007-1010, 2007

2007年3月25日に石川県能登半島沖を震源とするマグニチュード6.9の能登半島地震が発生した. 石川県七尾市, 輪島市, 穴水町で震度6強を観測したほか, 広い範囲で震度5弱以上を観測した. この地震により, 石川県七尾市内の能登有料道路の各所において大規模な盛土の斜面崩壊が多数発生した. 崩壊土は流動距離が大きく, 沢などに到達し河道閉塞をも引き起こしていた. 筆者らは同年4月5日にそれらの斜面崩壊地点で現地踏査を行い, 未崩壊部の盛土から不撹乱試料を採取した. これらの試料について, 物理試験, 繰返し非排水三軸試験, 繰返しせん断試験後の単調載荷試験を行い, 得られた結果について報告する.