著者
岩瀬 正典 北園 孝成 久保 充明 清原 裕 康 東天 大隈 俊明 土井 康文 佐々木 敏 神庭 重信
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

糖尿病治療の目標は糖尿病患者の予後をできるだけ健常者の予後に近づけることである。そのためには糖尿病患者と健常者を比較する疫学研究が必要である。我々は福岡県内の糖尿病専門施設に通院中の糖尿病患者5131人(福岡県糖尿病患者データベース研究、追跡期間5年間 追跡率97%)と耐糖能正常者を含む福岡県久山町住民3351人(久山町研究)からなるデータベースを構築した。本研究期間では生活習慣(早食い、食物繊維・マグネシウム摂取量、運動、飲酒、喫煙、睡眠時間、うつ症状、生活習慣スコア)、2型糖尿病患者の膵島自己抗体、2型糖尿病感受性遺伝子、重症低血糖、慢性腎臓病、癌、遺伝子―環境相互作用について報告した。
著者
岩瀬 正典 上野 道雄 吉住 秀之 土井 康文 浅野 有 鍋山 尚子 姫野 治子 飯野 研三 飯田 三雄
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.921-929, 2004-12-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
29

糖尿病性腎症の治療としてアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB) の併用療法が注目されているが, 我が国における検討は少ない. 今回, ACE阻害薬を6カ月間以上投与中の早期ないし顕性腎症を合併した2型糖尿病患者 (n=36) で, ACE阻害薬をARBに変更した群 (ARB変更群), ARBを併用した群 (ARB併用群), ACE阻害薬を継続した群 (ACE継続群) の3群に無作為に割り付け6カ月間比較検討した. ARBとして, カンデサルタンを投与し (平均5mg/日), 開始前と開始6カ月後に24時間家庭蓄尿を行った. 血圧は3群間に有意差を認めなかった. 尿蛋白排泄量はACE継続群で有意に増力口したが (p<0.05), 他の2群では有意な変化を認めなかった. 尿蛋白増力口率はARB併用群でACE継続群よりも有意に低下した (ACE継続群119±5296, ARB変更群19±2996, ARB併用群9±1796, p<0.05vsACE継続群). 尿蛋白排泄量の変化と血圧の変化の間には有意な相関を認めなかった. クレアチニン・クリアランスはACE継続群で有意に低下したが (前80±8mZ/分6カ月後70±6ml/分p<0.05), 他の2群では有意な変化を認めなかった (ARB変更群前87±11ml/分6カ月後84±7ml/分ns, ARB併用群前86±10ml/分6カ月後80±11ml/分ns). 血清尿酸がACE継続群で有意に上昇したが, 血清力リウムやヘモグロビンはどの群でも有意な変化を認めなかった. ACE阻害薬とARBの併用療法は早期ないし顕性腎症合併2型糖尿病患者の腎症進展抑制に有用であることが示唆された.
著者
有馬 久富 清原 裕 土井 康文
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

1.福岡県久山町在住の一般住民を対象に生活習慣病予防健診を実施した。健診では、既往歴・家族歴の聴取、喫煙・飲酒習慣・身体活動度の調査、食事調査、身体計測、随時血圧測定、医師による診察、眼科検診、検尿、血計、血液生化学検査、心電図検査、胸写、骨密度測定などを行った。医師がすべての結果を説明し、適切な事後措置を実施した。2.久山町住民の心血管病発症の有無に関する予後調査を継続して行った。3.福岡県久山町の一般住民(40歳以上)を1961年から32年間追跡した成績より、未治療の高血圧と脳卒中発症との関連を検討し、国際高血圧学会で発表した。4.福岡県久山町の一般住民(40歳以上)を1988年から14年間追跡した成績より、至適血圧(<120/80mmHg)に比べて正常血圧(120-139/80-85mmHg)から心血管病発症率が有意に上昇することを明らかにし、日本高血圧学会で発表した。5.福岡県久山町の一般住民(40歳以上)を1988年から14年間追跡した成績より、高感度CRPと冠動脈疾患発症との関連を検討し、日本高血圧学会で発表し、Arteriosclerosis Thrombosis and Vascular Biolog誌に論文公表した。6.福岡県久山町の一般住民(40歳以上)を1988年から14年間追跡した成績より、日本人における心血管病発症予測モデルを作成し、日本高血圧学会で発表した。7.福岡県久山町の一般住民(40歳以上)における断面調査の成績より、心電図におけるQT間隔とPulse Wave Velosity (PWV)との関連を検討し、Hypertension Research誌に論文公表した。8.国際共同研究であるINTERACT試験の成績より、脳出血急性期の積極的降圧療法が血腫増大を予防しうることを、国際高血圧学会で発表し、Lancet Neurology誌に論文公表した。9.下降圧療法の脳卒中再発予防効果を明らかにした国際共同研究であるPROGRESS試験のサブ解析の結果をKidney International誌およびNeurology誌に論文公表した。