- 著者
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福元 康文
吉田 徹志
島崎 一彦
土佐 幸雄
西村 安代
- 出版者
- 高知大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2006
農薬に頼らない安全な野菜や果実の供給が求められており、新たな殺菌方法としてオゾンが注目されている。しかし、安全性の面から気体でオゾンを利用するには問題があり、オゾンを水と反応させて利用することが有効と考え本研究を行った。マイクロバブルオゾン水は水中でゆっくりと浮上し、オゾンを完全に水中へ溶かし込んで、オゾンが空気中に排出されることがないため安全性が高い。マイクロバブルを用いた場合、水中オゾン溶解濃度は温度が高くなるにつれ低下したが、常に高い溶解能力を示した。水中溶存オゾン濃度の半減期は既存技術と比較すると3倍も長く維持できた。マイクロバブルオゾン水の作物への茎葉への散布ではなんら障害は認められなかった。養液栽培では循環式養液栽培の普及が求められ、培養液のリサイクルでは一部でも病害虫に汚染されると、培養液が循環しているためすべての植物が最悪の場合全滅する恐れがある。マイクロバブルオゾン水によるトマトの青枯れ病予防試験ではオゾン5ppm処理の低濃度接種区で発病を完全に抑制した。なおトマト根部へのオゾン水に対する耐性試験では18ppmの高濃度に対し生育障害は認められなかった。オゾン水の土壌灌注が雑草の発生と生育に及ぼす影響ではオゾン水の土壌灌注回数が増えるにつれ雑草の発芽と生育は抑制された。チンゲンサイの養液哉培(NFT)におけるマイクロバブルオゾン水の利用で生育は促進された。マイクロバブルオゾン水のイチゴへの茎葉散布では生育と果実の収量・品質収量の増加が認められた。これらのことより、マイクロバブルオゾン水を利活用による、農薬に依存しない安心・安全な環境保全型農業の構築への展望が得られた。