著者
宗景 志浩 山本 由徳 吉田 徹志 宮崎 彰 加藤 伸一郎 加藤 伸一郎 バクタ ジャティンドラ ナース
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ヴェトナムのエビ養殖池及びその周辺の底泥を採取して, 抗生物質, 重金属, 富栄養化物質の濃度を調べ, あわせて耐性菌の出現率や抗生物質の抵抗性に関する実験を行った。食料生産の場であるにもかかわらず, 重金属濃度は高く, 環境基準値を大きく超えるものもあった。多くの抗生物質や薬剤が使われており, 生物濃縮が危惧される。保全対策として光触媒と紫外線用いた蓄積抗生物質の分解, シリカセラミックを用いた重金属吸着除去法について研究した。
著者
MIAH Mohammad Noor Hossain 吉田 徹志 山本 由徳 新田 洋司
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.672-685, 1996-12-05
参考文献数
31
被引用文献数
5

多収性の半矮性インド型水稲品種(桂朝2号, IR36; SDI)と日印交雑型水稲品種(アケノホシ, 水原258号; JI)の乾物生産特性と穂重に対する出穂期前後に生産された乾物の分配率などについて, 日本型水稲品種[農林22号, コガネマサリ; 穂重型(JP), 金南風, 中生新千本; 穂数型(JN)]を対照品種として, 作期を2回[移植日1992年5月15日(ET), 6月9日(LT)]設けて圃場試験を行い検討した. 多収性品種(JI, SDI)の穂揃期の葉面積指数(LAI)は両作期ともJP, JNより高かったが, 登熟期間での減少割合が大きく, 収穫期には低い値を示した. SDIとJIの穂揃期地上部乾物重は, LTのアケノホシを除いて, 両作期ともJP, JNより高かったが, 登熟期間の乾物重の増加量に有意差はみられなかった. 特にSDIでは登熟期間のLAIの減少割合が大きく, また, 登熟期後半のSPAD値が大きく低下したことと相まって, 登熟期間の個体群生長速度は最も低くなった. SDIおよびJIの収穫期の穂重はJP, JNと比較してETでは20〜30%, LTでは18〜20%高かった. また, 両作期のSDIとJIの収穫期の地上部乾物重に対する穂重の割合は, JP, JNと比較して有意に高く, この差が穂重差に反映されたものと考えられた. 穂重に対する出穂期までに茎葉に蓄積された乾物の分配率をみると, ETではJPとJNの平均値よりSDIとJIが約2倍, LTではSDIが約4倍それぞれ高い値を示した. 穂揃期の穂重(シンク容量)は収穫期の穂重と有意な相関関係を示し, シンク容量の大きい品種は登熟期間の地上部乾物重増加量が少なくなる傾向がみられた. また, 茎葉に蓄積された同化産物の穂重への分配率はシンク容量と関係が深いことが認められた.
著者
小林 徹也 宮崎 彰 松澤 篤史 黒木 美一 島村 智子 吉田 徹志 山本 由徳
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.10-15, 2010 (Released:2010-02-12)
参考文献数
8
被引用文献数
3 1

ウコンおよびハルウコンの根茎におけるクルクミンの蓄積経過を調査した.ウコンにおいてクルクミン含有率は種イモで最も高く,次に2次分岐根茎,1次分岐根茎,主根茎,3次分岐根茎であり,地上部および根にはほとんど含まれていなかった.ウコンおよびハルウコンを5月に植付けると,種イモの乾物重は7月にかけて減少し,1次分岐根茎重は9月から11月にかけて急激に増加した.特にハルウコンでは9月から10月の生育中期に,ウコンでは生育中期(2006年)または10月から11月の生育後期(2007年)に根茎生長が最も盛んであった.ウコンにおいて種イモのクルクミン含有率は乾物重の減少に伴い増加し,1次分岐根茎より高濃度となった.1次分岐根茎のクルクミン含有率は9月から10月の根茎形成直後に増加したが,10月から11月の根茎肥大期にほとんど増加しないかやや減少した.一方,ハルウコンのクルクミン含有率は種イモにおいて5月から11月まで緩やかに増加したが,1次分岐根茎において9月から10月の根茎形成直後に有意に減少した.このようなクルクミン含有率の減少の結果,成熟期のクルクミン含有量(含有率×乾物重)はウコンに比べハルウコンで有意に低くなった.株当たりのクルクミン含有量は根茎収量の増加に伴い増加し,クルクミン含有量の増加のためには根茎収量の増加が重要であることが示唆された.貯蔵期間中のクルクミン含有率はウコンおよびハルウコンともほとんど変化しなかった.
著者
細川 卓也 小松 秀雄 前田 幸二 中村 和洋 吉田 徹志 福元 康文
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.39-44, 2006 (Released:2006-04-11)
参考文献数
15
被引用文献数
4 6

有機質成型培地を用いたトマトの長段どり栽培での高糖度果実の多収生産を目的とし,有機質成型培地の水分保持特性を調査し,日射比例給液制御装置を試作してこれを用いた場合の給液量の違いが収量・品質に及ぼす影響を検討した.スギ樹皮やヤシガラとバーク堆肥の混合資材からなる有機質成型培地ではロックウールスラブに比べて排水性が優れ,高pFでの水分率が高い水分保持特性を示した.長段どり栽培では,長期間にわたって葉面積の変動が小さく,積算日射と蒸発散量の間には高い正の相関関係が認められた.ヤシガラ・バーク培地を用い積算日射で1.71 MJ・m−2,1.93 MJ・m−2,2.13 MJ・m−2(第2果房下の葉を除去するまではそれぞれ1.50 MJ・m−2,1.71 MJ・m−2,1.93 MJ・m−2)ごとに100 ml・株−1を給液する3区を設けて収量・品質を比較した結果,可販果収量は給液量の多い区ほど多く,平均糖度は給液量の少ない区ほど高かった.高糖度果実(Brix 8%以上)の収量は,1.93 MJ・m−2(第2果房下の葉を除去するまで1.71 MJ・m−2)ごとに給液する区で最も多かった.
著者
細川 卓也 小松 秀雄 前田 幸二 中村 和洋 吉田 徹志 福元 康文
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.39-44, 2006-04-01
参考文献数
15
被引用文献数
2 6

有機質成型培地を用いたトマトの長段どり栽培での高糖度果実の多収生産を目的とし,有機質成型培地の水分保持特性を調査し,日射比例給液制御装置を試作してこれを用いた場合の給液量の違いが収量・品質に及ぼす影響を検討した.スギ樹皮やヤシガラとバーク堆肥の混合資材からなる有機質成型培地ではロックウールスラブに比べて排水性が優れ,高pFでの水分率が高い水分保持特性を示した.長段どり栽培では,長期間にわたって葉面積の変動が小さく,積算日射と蒸発散量の間には高い正の相関関係が認められた.ヤシガラ・バーク培地を用い積算日射で1.71MJ・m^<-2> 1.93MJ・m^<-2>, 2.13MJ・m^<-2>(第2果房下の葉を除去するまではそれぞれ1.50MJ・m^<-2>, 1.71MJ・m^<-2>, 1.93MJ・m^<-2>)ごとに100ml・株^<-1>を給液する3区を設けて収量・品質を比較した結果,可販果収量は給液量の多い区ほど多く,平均糖度は給液量の少ない区ほど高かった.高糖度果実(Brix8%以上)の収量は,1.93MJ・m^<-2>(第2果房下の葉を除去するまで1.71MJ・m^<-2>)ごとに給液する区で最も多かった.
著者
福元 康文 吉田 徹志 島崎 一彦 土佐 幸雄 西村 安代
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

農薬に頼らない安全な野菜や果実の供給が求められており、新たな殺菌方法としてオゾンが注目されている。しかし、安全性の面から気体でオゾンを利用するには問題があり、オゾンを水と反応させて利用することが有効と考え本研究を行った。マイクロバブルオゾン水は水中でゆっくりと浮上し、オゾンを完全に水中へ溶かし込んで、オゾンが空気中に排出されることがないため安全性が高い。マイクロバブルを用いた場合、水中オゾン溶解濃度は温度が高くなるにつれ低下したが、常に高い溶解能力を示した。水中溶存オゾン濃度の半減期は既存技術と比較すると3倍も長く維持できた。マイクロバブルオゾン水の作物への茎葉への散布ではなんら障害は認められなかった。養液栽培では循環式養液栽培の普及が求められ、培養液のリサイクルでは一部でも病害虫に汚染されると、培養液が循環しているためすべての植物が最悪の場合全滅する恐れがある。マイクロバブルオゾン水によるトマトの青枯れ病予防試験ではオゾン5ppm処理の低濃度接種区で発病を完全に抑制した。なおトマト根部へのオゾン水に対する耐性試験では18ppmの高濃度に対し生育障害は認められなかった。オゾン水の土壌灌注が雑草の発生と生育に及ぼす影響ではオゾン水の土壌灌注回数が増えるにつれ雑草の発芽と生育は抑制された。チンゲンサイの養液哉培(NFT)におけるマイクロバブルオゾン水の利用で生育は促進された。マイクロバブルオゾン水のイチゴへの茎葉散布では生育と果実の収量・品質収量の増加が認められた。これらのことより、マイクロバブルオゾン水を利活用による、農薬に依存しない安心・安全な環境保全型農業の構築への展望が得られた。
著者
山本 由徳 吉田 徹志 宮崎 彰 坂田 雅正
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

良食味米生産の産地間競合が激化する中で,沖縄県を除く国内で最も早い収穫,出荷を目指して,高知県では早期栽培用極早生品種とさぴか(多収性,良食味)を育成した.しかし,普及を開始した1998年に,農家水田において異常(不時)出穂が多発し,収量,品質が不安定となったため普及面積が伸び悩んでいる.本研究では,極早生品種とさぴかに発生した異常(不時)出穂現象を取り上げて,その発生要因と発生防止のための栽培技術的な方策を明らかにしようとした.得られた結果は以下のように要約される.1.とさぴかは北海道育成品種に比べ,最終主稈葉数が少ないため,早晩性を示す播種から止葉展開までの有効積算温度(基準温度10℃)が低く,播種からの有効積算温度が301〜348℃日で幼穂形成期(平均幼穂長1mm)に達することが明かとなった.また,とさぴかは感光性・感温性および基本栄養生長性程度も比較的小さく,これらの特性は交配母本の高育27号と類似していた..2.とさぴかの幼穂分化苗を移植して,不時出穂(主稈)が発生すると,収量は,不時出穂の発生しなかった幼穂未分化苗区に比べ9〜15%少なかった.これは,m^2当たり穂数は多いが,分げつ穂の発育が劣り,1穂籾数が少なく,m^2当たり籾数が減少したことと,発育停止籾割合が高く,登熟歩合が低くなったためであった.また,玄米品質も青米の増加により低下した.3.不時出穂を防止・軽減するために,育苗期間中での幼穂の分化,発育を遅らせるには,播種から200℃日(3.5齢)以上では窒素追肥は行わず,箱当たり播種量を多くして,地上部乾物重/草丈比を低くする管理が必要であると考えられた.また,育苗時の基肥窒素の増施や育苗期間中の剪葉処理も効果的であることが明らかとなった.
著者
福元 康文 吉田 徹志 島崎 一彦
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

河川湖沼の水質浄化については、その必要性が理解されていながら、河川の環境基準達成率(BOD)は81%と前年同様で、湖沼の環境基準達成率(COD)に至っては僅か40.9%に過ぎず、過去25年間ほぼ同レベルに低迷しており、早急な浄化対策が望まれている。浄化対策で除去された汚泥の処理技術は確立されていない。今までの研究で、セルロースとリグニン主体の製紙スラッジの特性を生かし、それを成型した土壌還元型育苗ポットを開発した。また江の口川と石手川の脱水汚泥を培土とした各種植物の栽培試験より、植物の成長と発育には異常が認められないばかりでなく、むしろ成育が促進される傾向が認められた。脱水汚泥土壌にはもろもろの有機、無機の成分が含まれており、また土壌細菌検査による結果より、土壌消毒の必要が無いほどに有害土壌微生物は少なかったが、それらが植物成育に有利に作用したものと思われた。しかしながらCaやNaに見られる土壌中に含まれる塩類の上昇と汚泥土壌から流亡する同種塩類が周辺土壌へ流れ込み、注意を怠ると塩類集積を招来し植物の成育に悪影響を及ぼすようになる懸念がある。また培土としての利用に当たり、施肥も汚泥土壌に含まれている要素は減じて行う必要がある。今回使用した江の口川と石手川の脱水汚泥土壌に含まれる有害な重金属は微量であったが、これらは今回の2つの川の汚泥土壌でも認められたように、河川によりその含有されている物質と含有量が異なるものと思われるので、利用に当たり事前の化学調査は欠かせない。脱水汚泥は名前からは想像できないほど匂いも無く、見栄えは普通の腐食に富んだ土壌と遜色はない。道路工事現場への入れ土としての利用には未耕地山土より抑草作用が劣ったため、利用上問題が認められたが、逆に植栽度あるいは土壌改良をともなった畑土への客土としての利用の可能性が強く示唆された。
著者
宗景 志浩 吉田 徹志 益本 俊郎 バクタ ジャティンドラナース
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

鹿沼土や赤玉土等を素材に熱処理を行ってシリカセラミックスを作成した。これを使って環境汚染物質(重金属類、富栄養化物質、抗生物質)の吸着能・分解能を調べ、その応用に関して検討した。ここではシリカセラミックスの物理・化学的特性とその改良法、活性化法、有害重金属(Hg^<2+>, Cd, As, Cs)の吸着除去能、カラムを用いた実用化への展開に限って取りまとめる。