著者
中路 重之 坂本 十一 菅原 和夫 岩根 覚 太田 昌徳 森 文平
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.628-637, 1993
被引用文献数
2 4

Based on the result of the Aomori Nutrition Survey, we have calculated daily dietary fiber (DF) intake using modified Southgate and Prosky methods. Result obtained were as follows: DF intake in Aomori was 23.7±8.4g by the modified Southgate method, and 22.2±8.5g by the modified Prosky method. As for supply sources of DF, 32.3% was from grains; 22.7%, vegetables; 15.6%, beans; and 7.8%, fruits calculated by the modified Southgate method, and 31.3%, vegetables; 19.0%, grains; 18.0%, beans; and 11.6%, fruits by the modified Prosky method. As to types of DF, intake of hemicellulose was 11.5±4.2g, cellulose 7.8±3.0g and lignin 4.4±2.3g. In the group with DF intake below 10.0g, DF came mainly from grains and fruits, while the group with DF intake above 30.0g took DF from various foods.
著者
飯野 勢 三上 達也 五十嵐 崇徳 相原 智之 石井 健太郎 坂本 十一 東野 博 福田 眞作
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.1663-1672, 2017 (Released:2017-08-20)
参考文献数
20

【目的】上部消化管出血患者に対して予後予測におけるスコアの有用性が報告されているが,内視鏡治療の適応において,これらのスコアの有用性は十分に評価されていない.われわれは,日本人における上部消化管出血患者の,内視鏡治療の必要性のために,予測スコアの有用性を検討し,新たなスコアモデルを構築した.【方法】吐下血を主訴に受診し,緊急内視鏡検査を行った上部消化管出血患者の212例を対象とした.内視鏡治療,手術,IVRをアウトカムとし,初めに,Glasgow-Blatchford score(GBS)とClinical Rockall score(CRS)とAIMS65のROC曲線下面積(AUC)の比較を行った.次に,上部消化管出血に関連する因子についてロジスティック回帰分析を行い,その回帰係数より新たなスコアモデルを作成した.最後に,新予測スコアと既存の予測スコアにおける有用性の評価を行った.【結果】治療を必要としたのは109例(51.4%)であった.AUCはGBSが0.75[95% CI 0.69-0.81],CRSが0.53[0.46-0.61],AIMS65が0.52[0.44-0.60]で,GBSが治療必要性の予測においてCRSやAIMS65より優れていた.ロジスティック回帰分析の結果,収縮期血圧<100mgHg,失神,吐血,ヘモグロビン<10g/dL,尿素窒素≧22.4mg/dL,eGFR≦60ml/min/1.73m2,抗血小板剤内服の7つが有意な因子であった.これらの因子に基づいて作られた新予測スコアのAUCは0.85[0.80-0.90]で,治療適応の予測において,既存のスコアより優れていた.【結論】日本人の上部消化管出血患者における治療適応を予測するために新スコアは既存のスコアより優れていた.
著者
中路 重之 梅田 孝 坂本 十一 高橋 一平 辨野 義己
出版者
弘前大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究では、各食物繊維摂取後の呼気中に排出される水素、メタン濃度から、大腸内の発酵の有無と程度を推測し、腸内細菌叢をいくつのパターンに区分することを目的とする。平成19年度は、ラフィノース、難消化性澱粉の検討を行ったが、20年度はペクチン、セルロース、ラクツロースその検討を行った。平成21年度の実験手順は以下の様であった。(1) 対象者を3グループ(ペクチン、セルロース、ラクツロース)にわけ、各グループに各食物繊維20グラムを摂取させる。(2) 食後呼気採集バックで終末期呼気を300cc採集。操作を39分毎に食後15時間迄実施。(3) 呼気ガス中の水素、メタン濃度をガスクロマトグラフィーにて測定。(4) 同時に全対象者の腸内細菌(光岡方式による13種類)を培養法で同定。(5) その結果、水素発酵の有無で以下の3パターンに分類された。1群 : ラクツロース・ペクチン発酵、セルロース非発酵群(4例)2群 : ラクツロース発酵、ペクチン・セルロース非発酵群(7例)3群 : ラクツロース・ペクチン・セルロース非発酵群(3例)腸内細菌叢に関して3群を比較すると、Clostridia(lecithinase negative)が1群で他の群より有意に高い陽性率を示した。そのためクロストリジウムが呼気水素の上昇(発酵の有無)に関係する可能性が示唆された。以上より、食物繊維摂取後の呼気水素を測定することで、腸内細菌の状態を推測する可能性が示唆された。
著者
福田 眞作 下山 克 坂本 十一 菅原 和夫 棟方 昭博 中路 重之
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

食物繊維が人の消化吸収機能に及ぼす影響を以下のように検討した。(1)まず、小腸液灌流法を用いて回腸末端部の小腸液の食物繊維(難消化性澱扮とペクチン)含有量を測定し経口摂取したそれと比較した。(2)大腸内の発酵によるカロリー摂取状況を評価するために食物繊維(難消化性澱粉、ペクチン、セルロース、ラクツロース)摂取後の呼気ガス(水素とメタン)を測定した。(3)^<13>Cにより標識された中性脂肪をペクチンとともに摂取させ、呼気中の^<13>CO_2と^<12>CO_2を測定してペクチンの中性脂肪吸収に及ぼす影響を評価した。本研究で得られた主要な結果を列挙すると以下のようになる.1.内視鏡的逆行性腸管挿管法を用いた小腸液灌流法による食物繊維の回収実験で,食物繊維の一種である難消化性澱粉の回収率は平均値±標準偏差値で345±9.7%であった。これは難消化性澱粉の食物繊維としての価値が平均でわずか34.5%しかないことを示唆した。また個体差が非常に大きく約20%の幅がみられた。2.同様方法で同じく食物繊維の一種であるペクチンの回収実験を行ったところ,平均値±標準偏差値は88.4±10.5%であった。以上よりペクチンは難消化性澱粉に比較し,食物繊維としての価値はほぼ90%と高かった。しかし,難消化性澱粉と同様に20%以上の個体差がみられた.以上より食物繊維はその種類によって真の食物繊維としての価値は大きく異なり,また個人差が大きいことが明らかになった。このことは食物繊維の真の値がin vivo系で明らかにされるべきであることを示唆し,また個人によって異なる消化吸収システムが食物繊維の真の値に大きく影響するものと考えられた.3.食物繊維の大腸内における発酵パターンにはいくつか存在することが明らかになった。この相違は腸内細菌叢の種類と量、食物繊維の小腸通過時間・通過率及び食物繊維の種類に依存していると考えられた。4.短時間における食物繊維の脂肪の消化吸収に及ぼす影響は,想定されているほど大きくないことが明らかになった。食物繊維は1971年のバーキットの繊維仮説の提唱以来注目を浴びてきた。しかし,それは根拠のない健康ブームに乗っかった側面もあった。近年,食物繊維の種類分け,測定法が厳密化し,食物織維と健康に関する研究そのものも,より厳密化してきた。したがって,食物繊維の厳密な評価による,さらなる説得力のある研究が始まりつつある.本研究は食物繊維の評価を科学的に厳密に追及したものであり,今後のより成熟した食物繊維の研究に資するところ大であると信じる。