著者
坂越 正樹
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.87, pp.102-103, 2003-05-10 (Released:2009-09-04)

本書は、Rudolf Lassahn; Einfuhrung in die Pädagogik, 8.erg.Auflage, Uni-Taschenbücher;178, Quelle & Meyer, 1995.を訳出したものである。ドイツでは、一九七四年の初版以来、すでに八版を重ねており、教育学の全体領域を見通し、研究動向を的確に把握することのできる優れた教育学入門書として評価を得ている。部分的には一九世紀にさかのぼって論究しつつ、ほぼ二〇紀初頭から一九七〇年代までのドイツを中心とした教育学の状況が、次のような章構成によって見渡されている
著者
利島 保 樋口 聡 鳥光 美緒子 坂越 正樹 藤川 信夫 小笠原 道雄
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

ポスト・モダン的状況下における教育科学の課題に関して日独協力研究を実施した結果、下記の諸点について新たな知見が得られた。美学、身体性の観点から:「ミーメーシス」は美学の特殊な術語として理解されてきたが、「模倣」「倣う」「写す」という日本語の意味の広がりにおいて捉えるとき、ゲバウア、ヴルフ等のドイツにおける研究と連関させられる。模倣の身体性、芸術制作の創造性とともに日本の伝統的な学びのスタイルが模倣と習熟にあったことが学びの復権として改めて注目されるべきである。環境問題の視点から:環境は今や教育の一対象領域にとどまらず、今日の教育を再構築する根底的視点となっている。ドイツにおいても「持続可能な発展」のキーワードのもと、多様な文化的能力、課題発見・解決能力の形成がめざされており、日本での「生きる力」「新学力」との共通教育課題が確認された。研究の全体を通して以下のことが指摘される。教育学のポストモダン体験以降、理論レベルでは人間形成に関する理解の流動化が認められた。実践レベルでも「教育の実定性」への懐疑から、近代学校教育の周縁部で新たな人間形成理解が胚胎しつつあった。近代の理性に基づいた知から感性、身体性に基づいた教育の知への転換は、閉塞状態にある今日の教育と教育学の枠組みを組み換え、新たに展開する可能性を示唆している。その契機となるものが、芸術や環境との身体を伴った相互体験、プログラム化されない他者との一回的出会い等であることも明らかにされた。
著者
坂越 正樹
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.68, pp.28-40, 1993-11-10 (Released:2010-05-07)
参考文献数
32

H. Nohl's Auffassung von der Reformpädagogik ist als eine Art Kanon angesehen worden, Dieser Kanon und die Richtigkeit der darauf beruhenden geschichtlichen Darstellung ist bereits kritisch beleuchtst worden - in diesem Aufsatz soil die Bedeutung und die Funktion dieses Kanons als solchen hinterfragt werden.Meine Überlegungen werden wie folgt entwickelt; Erstens : Nach einem Überblick über die reformpädagogische Diskussion in der deutschen Erziehungswissenschaft wird H. Nohl's Selbstverständis der Reformpädagogik erläutert. Meines Erachtens war es Nohl's Wunsch, die Reformpädagogik als einheitliche Bewegung für den Wiederaufbau des Bildungswesens seines Volkes auszurichten. Zweitens : Indem die Distanz zwischen Nohl's Kanon und der Reformpädagogik festgestellt wird, zeigt es sich kiar, daß Nohl's Kanon eine kulturpädagogische Rekonstruktion der Reformpädagogik war. Dadurch wurde die radikale Ausrichtung der Reformpädagogik gezügelt und sie konnte dann große Auswirkungen auf die deutsche Pädagogik gewinnen.