著者
坪井 裕子 李 明憙
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.335-346, 2007-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
22
被引用文献数
1 3

本研究の目的は自己記入式のYouth Self Report (YSR) と職員が評価するChild Behavior Checklist (CBCL) を用いて虐待を受けた子どもたちの行動と情緒の特徴を明らかにするとともに, 臨床的応用可能性を探ることであった。児童養護施設に入所中の子ども142名を対象に, YSRとCBCLを実施した。両方有効だったのは124名 (男子75名, 女子49名) だった。問題行動得点では, CBCLとYSRの間で一定の相関が認められたが, コンピテンスに関しては両者で捉え方が異なる可能性が示された。被虐待体験の有無による比較では, CBCL, YSRいずれにおいても被虐待体験が子どもの行動や情緒の問題に影響を及ぼすことが確認された。職員は子どもが気づきにくい「社会性の問題」や「注意の問題」などを客観的に捉えることが示された。反面, 「身体的訴え」や「思考の問題」など, 子ども側の主観的な問題を捉えにくいことが挙げられた。臨床的応用例の検討からは, 自己評価と他者評価を組み合わせることによって, 虐待を受けた子どもの行動と情緒の問題を, より多面的に理解できることが示唆された。
著者
坪井 裕子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.110-121, 2005-03-31 (Released:2013-02-19)
参考文献数
27
被引用文献数
5 6

本研究の目的は児童養護施設に入所している虐待を受けた子どもたちの行動と情緒の特徴を明らかにすることであった。児童養護施設に入所中の子ども142人 (男子: 4~11歳40人, 12~18歳45人, 女子: 4~11歳 25人, 12~18歳32人) を対象に, Child Behavior Checklist (CBCL) の記入を職員に依頼した。その結果, 女子は男子に比べて内向尺度得点が高く, 特に高年齢群女子は身体的訴えと社会性の問題の得点が高かった。被虐待体験群 (n=91) と被虐待体験のない群 (n=51) に分けて比較したところ, 社会性の問題, 思考の問題, 注意の問題, 非行的行動, 攻撃的行動の各尺度と外向尺度, 総得点で, 被虐待体験群の得点が有意に高かった。被虐待体験群は, 社会性の問題, 注意の問題, 攻撃的行動, 外向尺度, 総得点で臨床域に入る子どもの割合が多かった。虐待を受けた子どもの行動や情緒の問題が明らかになり, 心理的ケアの必要性が示唆された。
著者
坪井 裕子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.110-121, 2005-03-31
被引用文献数
4 4

本研究の目的は児童養護施設に入所している虐待を受けた子どもたちの行動と情緒の特徴を明らかにすることであった。児童養護施設に入所中の子ども142人(男子: 4〜11歳40人, 12〜18歳45人, 女子: 4〜11歳25人, 12〜18歳32人)を対象に, Child Behavior Checklist (CBCL)の記入を職員に依頼した。その結果, 女子は男子に比べて内向尺度得点が高く, 特に高年齢群女子は身体的訴えと社会性の問題の得点が高かった。被虐待体験群(n=91)と被虐待体験のない群(n=51)に分けて比較したところ, 社会性の問題, 思考の問題, 注意の問題, 非行的行動, 攻撃的行動の各尺度と外向尺度, 総得点で, 被虐待体験群の得点が有意に高かった。被虐待体験群は, 社会性の問題, 注意の問題, 攻撃的行動, 外向尺度, 総得点で臨床域に入る子どもの割合が多かった。虐待を受けた子どもの行動や情緒の問題が明らかになり, 心理的ケアの必要性が示唆された。
著者
坪井 裕子 李 明憙
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.335-346, 2007-09
被引用文献数
1

本研究の目的は自己記入式のYouth Self Report (YSR)と職員が評価するChild Behavior Checklist (CBCL)を用いて虐待を受けた子どもたちの行動と情緒の特徴を明らかにするとともに,臨床的応用可能性を探ることであった。児童養護施設に入所中の子ども142名を対象に,YSRとCBCLを実施した。両方有効だったのは124名(男子75名,女子49名)だった。問題行動得点では,CBCLとYSRの間で一定の相関が認められたが,コンピテンスに関しては両者で捉え方が異なる可能性が示された。被虐待体験の有無による比較では,CBCL,YSRいずれにおいても被虐待体験が子どもの行動や情緒の問題に影響を及ぼすことが確認された。職員は子どもが気づきにくい「社会性の問題」や「注意の問題」などを客観的に捉えることが示された。反面,「身体的訴え」や「思考の問題」など,子ども側の主観的な問題を捉えにくいことが挙げられた。臨床的応用例の検討からは,自己評価と他者評価を組み合わせることによって,虐待を受けた子どもの行動と情緒の問題を,より多面的に理解できることが示唆された。
著者
松本 真理子 森田 美弥子 栗本 英和 青木 紀久代 松本 英夫 灰田 宗孝 坪井 裕子 鈴木 伸子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

子どものロールシャッハ法に関する多角的視点からの研究を包括することによって、現代に生きる日本人一般児童のパーソナリティの特徴が解明され、また日本における被虐待児の心理的特徴も明らかにされた。さらに脳画像と眼球運動という生理学的視点からも子どものロールシャッハ反応の意味するものについてアプローチした結果、国内外において初の知見が得られ、さらに発達障害児との比較などについて、現在、研究を継続中である(平成21年度~25年度科学研究費基盤研究(B)(課題番号21330159)にて継続)。これまでに得た知見は国内外の学会および論文として既に発表している。平成21年度中には図書として成果の一部を刊行する予定である(2009年9月刊行予定)。