著者
小野寺 敦子 青木 紀久代 小山 真弓
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.121-130, 1998-07-30
被引用文献数
15

はじめて父親になる男性がどのような心理的過程を経て父親になっていくのか, そして親になる以前からいだいていた「親になる意識」は, 実際, 父親になってからのわが子に対する養育態度とどのように関連しているのかを中心に検討を行った。まず, 父親になる夫に特徴的だったのは, 一家を支えて行くのは自分であるという責任感と自分はよい父親になれるという自信の強さであった。そして父親になる意識として「制約感」「人間的成長・分身感」「生まれてくる子どもの心配・不安」「父親になる実感・心の準備」「父親になる喜び」「父親になる自信」の6因子が明らかになった。親和性と自律性が共に高い男性は, 親になる意識のこれらの側面の内, 「父親になる実感・心の準備」「父親になる自信」が高いが「制約感」が低く, 父親になることに肯定的な傾向がみられた。また, これらの「親になる意識」が実際に父親になってからの養育態度にどのように関違しているかを検討した。その結果, 「制約感」が高かった男性は, 親になってから子どもと一緒に遊ぶのが苦手である, 子どもの気持ちをうまく理解できないと感じており, 父親としての自信も低い傾向がみられた。さらにこれらの男性は, 自分の感情の変化や自己に対する関心が高い傾向が明らかになった。
著者
小野寺 敦子 青木 紀久代 小山 真弓
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.121-130, 1998-07-30 (Released:2017-07-20)
被引用文献数
4

はじめて父親になる男性がどのような心理的過程を経て父親になっていくのか, そして親になる以前からいだいていた「親になる意識」は, 実際, 父親になってからのわが子に対する養育態度とどのように関連しているのかを中心に検討を行った。まず, 父親になる夫に特徴的だったのは, 一家を支えて行くのは自分であるという責任感と自分はよい父親になれるという自信の強さであった。そして父親になる意識として「制約感」「人間的成長・分身感」「生まれてくる子どもの心配・不安」「父親になる実感・心の準備」「父親になる喜び」「父親になる自信」の6因子が明らかになった。親和性と自律性が共に高い男性は, 親になる意識のこれらの側面の内, 「父親になる実感・心の準備」「父親になる自信」が高いが「制約感」が低く, 父親になることに肯定的な傾向がみられた。また, これらの「親になる意識」が実際に父親になってからの養育態度にどのように関違しているかを検討した。その結果, 「制約感」が高かった男性は, 親になってから子どもと一緒に遊ぶのが苦手である, 子どもの気持ちをうまく理解できないと感じており, 父親としての自信も低い傾向がみられた。さらにこれらの男性は, 自分の感情の変化や自己に対する関心が高い傾向が明らかになった。
著者
古志 めぐみ 青木 紀久代
出版者
お茶の水女子大学心理臨床相談センター
雑誌
お茶の水女子大学心理臨床相談センター紀要
巻号頁・発行日
no.19, pp.13-23, 2018-03-01

1990 年代よりひきこもりが日本の若者の問題として取り上げられてきた。これまで,精神科医などの専門家の見解からひきこもり状態にある本人が捉えられてきたが,昨今,本人を対象とした調査研究がなされ始めている。本研究では,ひきこもり本人がどのように自分を捉えているかを明らかにすることを目的に,本人を対象とした調査研究を整理した。その結果,以下の二点が示された。第一に,自己否定感の高さはひきこもりの親和性が高い者の心理的特徴とも共通するが,他者とのコミュニケーション場面への困難感は本人の方がより抱いていることである。第二に,ひきこもり状態から抜け出すプロセスには,本人がひきこもり状態にあることを受け止め,意味を見出していく経過をたどるということである。一方で,ひきこもりへの社会や文化の影響が指摘されているにも関わらず,本人たちがどのように社会や他者を認知しているか,主観的体験にどう表れているか捉えられておらず,今後の課題として見出された。
著者
青木 紀久代
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.102-105, 1991-06-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

The present study was to explore the molding of sexual identity in early-adolescent females. First, a questionnaire was administered to 168 9th grade girls. Out of all the respondents, 12 who did not have conflicts with sexual identity as an accepting group and 10 who had them as a non-accepting group were selected for the interview. Analyses of the results revealed that the contents of their conflicts cover various phases of femininity, which are concerned with body, character, and sex role etc. Moreover, it was found that not only their good images of parents, but also those of males were important when they achieve their sexual identity.
著者
井梅 由美子 平井 洋子 青木 紀久代 馬場 禮子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.181-193, 2006 (Released:2006-03-31)
参考文献数
40
被引用文献数
4 2

本研究では,青年期における対象関係を評価する尺度を作成した.分析1では,単純構造の尺度を目指して,各尺度の内容が重複しないよう測定内容の整理を行い,5つの測定内容を設定した.因子分析の結果 (N=566),「(1) 親和不全」「(2) 希薄な対人関係」「(3) 自己中心的な他者操作」「(4) 一体性の過剰希求」「(5) 見捨てられ不安」の5因子で単純構造を示す尺度構成が確認された.分析2-1では,異なるサンプル (N=1041) を用いて交差妥当性を確認した.その結果,分析1とほぼ同様の因子構成が見られ,5つの測定領域を設定することの交差妥当性が示された.分析2-2では,性差・年齢差の検討を行い,予想された箇所で予想された方向に性差と年齢差が得られた.分析2-3では,NEO-FFI (NEO Five Factor Inventory) を用いてパーソナリティ特性との関連を検討し,概ね仮説を支持する内容の相関が見られた.これらの結果から,作成された尺度の構成概念妥当性が確認された.
著者
松本 真理子 森田 美弥子 栗本 英和 青木 紀久代 松本 英夫 灰田 宗孝 坪井 裕子 鈴木 伸子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

子どものロールシャッハ法に関する多角的視点からの研究を包括することによって、現代に生きる日本人一般児童のパーソナリティの特徴が解明され、また日本における被虐待児の心理的特徴も明らかにされた。さらに脳画像と眼球運動という生理学的視点からも子どものロールシャッハ反応の意味するものについてアプローチした結果、国内外において初の知見が得られ、さらに発達障害児との比較などについて、現在、研究を継続中である(平成21年度~25年度科学研究費基盤研究(B)(課題番号21330159)にて継続)。これまでに得た知見は国内外の学会および論文として既に発表している。平成21年度中には図書として成果の一部を刊行する予定である(2009年9月刊行予定)。
著者
伊藤 亜矢子 青木 紀久代
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではスクールカウンセラーの学校全体への支援を可能にするツールづくりを国際比較によって行うことを目的とした.米国,スコットランド,香港などの研究者・実践者との協議や現地調査,共同研究を行った結果,(1)学級を切り口に学校全体への支援を行うための学級風土質問紙小学校版の公開と,中学校版も含めた自動分析システムの構築,(2)子どもの肯定的資質をアセスメントする質問紙の作成試行,(3)SCと教師の協働を促進する教師向けパンフレット,テキスト作成,(4)支援サイト試行などを行えた(一部継続中).