著者
内堀 昭宜 川上 照彦 石田 充 武末 和彦 牧 晋一郎 奥村 隆
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.F0888, 2006

【目的】スポーツ現場においては、運動後に筋疲労を残さないために、ストレッチングやクーリングダウンが行われている。しかし短時間に筋疲労を回復させるにはその効果に限界がある。そこで我々は、筋疲労を早期に回復させる手段として、交代浴や温浴の末梢循環促進効果に着目し、これらの筋疲労回復に及ぼす影響について、血中乳酸値と筋出力の視点から検討したので報告する。<BR><BR>【対象と方法】健常男性10例(21.7±1.3歳)を被験者とし、サイベックスによる2回の運動負荷によって筋疲労試験を行った。運動負荷は屈伸回数を50回とし、比較的早い角速度である180deg/s、膝関節屈伸運動の等速度運動に設定した。また、運動負荷の間隔は58分とし、初回運動後2度目の運動まで何もせずに安静にした群と、19分間交代浴をした群、温浴をした群の3群につき血中乳酸の変化を調べた。血中乳酸は指尖部より採血し、ラクテート・プロを用い10回測定した。また、交代浴と温浴は、温浴を38~42度、冷浴を10~15度に設定し、両下腿部に部分浴を行なった。<BR><BR>【結果】血中乳酸値の経時的変化を反復測定分散分析した結果、交代浴群において安静群・温浴群より有意に血中乳酸値が減少していた。しかし、安静群・温浴群では、有意差は認められず、温浴の効果を確認することはできなかった。また、筋疲労試験については、膝関節伸展筋群で、温浴群が安静群より有意に筋力が低下しており、温浴後に筋力を発揮できない結果となった。<BR><BR>【考察】我々は、交代浴・温浴ともに、その血管拡張作用による血流量の増加により、乳酸の処理を促進し、血中乳酸値を減少させると考えた。しかし、交代浴では有意に血中乳酸が低下したにもかかわらず、温浴群ではその効果が確認できなかった。これは、交代浴の冷浴における血管収縮が、その後の温浴の血管拡張効果を増大させ、温浴のみよりも有意に血流量を増加させ、血中乳酸値の低下に差を生じさせたものと思われた。一方、筋力の低下に関しては、筋力と持久力は温熱を加えることにより30分間は低下するという報告があり、2度目の運動負荷試験時には、血中乳酸値は低下したものの筋力としては発揮できなかったものと思われた。以上我々の行なった疲労回復処置は、時間の短いインターバルでは筋力の回復の点から不向きであると思われるが、疲労した筋力の回復には、冷浴の時間配分が多い交代浴が効果的であるという報告もあり、今後の検討課題と思われた。<BR><BR>【まとめ】交代浴、温浴の筋疲労回復効果を血中乳酸及びサイベックスを用いた筋疲労試験により検討した。交代浴群において有意に血中乳酸は低下したが、筋力の回復効果は認められず、逆に、温浴群において、筋出力の低下が認められた。交代浴は、温・冷浴の時間配分を検討すれば、時間の短いインターバルにおける筋疲労回復処置の有効な手段になりうるものと思われた。
著者
内堀 昭宜 川上 照彦 石田 充 武末 和彦 牧 晋一郎 奥村 隆
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.F0888, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】スポーツ現場においては、運動後に筋疲労を残さないために、ストレッチングやクーリングダウンが行われている。しかし短時間に筋疲労を回復させるにはその効果に限界がある。そこで我々は、筋疲労を早期に回復させる手段として、交代浴や温浴の末梢循環促進効果に着目し、これらの筋疲労回復に及ぼす影響について、血中乳酸値と筋出力の視点から検討したので報告する。【対象と方法】健常男性10例(21.7±1.3歳)を被験者とし、サイベックスによる2回の運動負荷によって筋疲労試験を行った。運動負荷は屈伸回数を50回とし、比較的早い角速度である180deg/s、膝関節屈伸運動の等速度運動に設定した。また、運動負荷の間隔は58分とし、初回運動後2度目の運動まで何もせずに安静にした群と、19分間交代浴をした群、温浴をした群の3群につき血中乳酸の変化を調べた。血中乳酸は指尖部より採血し、ラクテート・プロを用い10回測定した。また、交代浴と温浴は、温浴を38~42度、冷浴を10~15度に設定し、両下腿部に部分浴を行なった。【結果】血中乳酸値の経時的変化を反復測定分散分析した結果、交代浴群において安静群・温浴群より有意に血中乳酸値が減少していた。しかし、安静群・温浴群では、有意差は認められず、温浴の効果を確認することはできなかった。また、筋疲労試験については、膝関節伸展筋群で、温浴群が安静群より有意に筋力が低下しており、温浴後に筋力を発揮できない結果となった。【考察】我々は、交代浴・温浴ともに、その血管拡張作用による血流量の増加により、乳酸の処理を促進し、血中乳酸値を減少させると考えた。しかし、交代浴では有意に血中乳酸が低下したにもかかわらず、温浴群ではその効果が確認できなかった。これは、交代浴の冷浴における血管収縮が、その後の温浴の血管拡張効果を増大させ、温浴のみよりも有意に血流量を増加させ、血中乳酸値の低下に差を生じさせたものと思われた。一方、筋力の低下に関しては、筋力と持久力は温熱を加えることにより30分間は低下するという報告があり、2度目の運動負荷試験時には、血中乳酸値は低下したものの筋力としては発揮できなかったものと思われた。以上我々の行なった疲労回復処置は、時間の短いインターバルでは筋力の回復の点から不向きであると思われるが、疲労した筋力の回復には、冷浴の時間配分が多い交代浴が効果的であるという報告もあり、今後の検討課題と思われた。【まとめ】交代浴、温浴の筋疲労回復効果を血中乳酸及びサイベックスを用いた筋疲労試験により検討した。交代浴群において有意に血中乳酸は低下したが、筋力の回復効果は認められず、逆に、温浴群において、筋出力の低下が認められた。交代浴は、温・冷浴の時間配分を検討すれば、時間の短いインターバルにおける筋疲労回復処置の有効な手段になりうるものと思われた。
著者
中谷 多哉子 近藤 城史 位野木 万里 津田 道夫 堀 昭三 片峯 恵一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.150, pp.25-30, 2009-07-16
被引用文献数
2

多くの要求がプロジェクトの遂行中に変更され,それによる手戻りで納期が遅れることがある.この問題を解決するために,我々はPRINCEモデルと名付けた要求獲得のプロセスモデルを提唱している.このモデルは,要求獲得のプロセスを3+1の型に分類することによって,プロジェクトの全期間にわたって要求を獲得する計画を立案するためのモデルである.要求獲得を立案するためには,過去のプロジェクトで行われた要求獲得の実態を明らかにし,要求獲得プロセスを計画するための指針を導出しなければならない.本稿では,PRINCEモデルの概要を述べた後に,要求を観測する方法をガイドラインとしてまとめた結果を紹介し,ガイドラインを適用した結果を示すことによって,ガイドラインの今後の課題を検討する.