著者
五島 史行 堤 知子 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.8, pp.953-959, 2013-08-20 (Released:2013-10-09)
参考文献数
17
被引用文献数
4 4

片頭痛関連めまいは通常型の片頭痛とめまいが共通の病因によって生じると考える疾患単位として提唱されたものである. 原因不明の反復性めまい患者には片頭痛関連めまいが含まれていると考えられる. 本邦における片頭痛関連めまいの臨床像を明らかにするため, 外来めまい患者を対象に検討を行った. 片頭痛関連めまいの診断基準として, めまい発作の反復, 国際頭痛分類の診断基準を満たす片頭痛を有するか, 既往がある, めまい発作に同期して, 片頭痛の症候 (片頭痛性頭痛, 音過敏, 光過敏, 閃輝暗点) があったことがある, 一側性の関連を想定させる難聴がない, 他の疾患が除外できる, を用いた. 553名のめまい外来患者のうち片頭痛関連めまいと診断した症例は46例 (8.3%) であった. 典型的な片頭痛関連めまい患者の臨床像は, 30~40台の女性であり, めまいを発症する以前から片頭痛を発症し, 1~10年前から年に一度程度の, 頭痛を随伴した1~24時間程度続く回転性+浮動性のめまいを認める症例である. 片頭痛関連めまいの診断基準に難聴のある症例を含めるかどうかについてはメニエール病との鑑別の問題もあり, 議論がある. めまいを反復し難聴を認め, 片頭痛を合併した症例の扱いについては今後の検討が必要である.
著者
五島 史行 堤 知子 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.11, pp.1208-1213, 2013-11-20 (Released:2014-01-16)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

耳鼻咽喉科を受診するめまい患者のうち, 心因性めまいの占める割合は10~30%程度といわれている. これらの患者には適切な治療が行われていないことが多い. chronic subjective dizziness (CSD) はStaabとRuckensteinによって報告されためまい疾患である. 過去1年間に日野市立病院を受診しためまい患者のうち, 心因性めまいは40例 (14%) であった. そのうちCSDの診断基準を満たした7例について治療や予後などを検討した. 治療はセロトニン再取り込み阻害薬 (SSRIs) を投与し, 全例で自覚症状の改善が認められた. CSDは自覚的めまいを主訴とし耳鼻咽喉科を受診する. そのため, 耳鼻咽喉科医が薬物治療を行って治療することができる疾患として重要である. SSRIsは本来抗うつ薬であり, 実際のSSRIsの投与に当たっては嘔気, アクティベーション症候群などSSRIsの持つ副作用を熟知した上で行う必要がある.
著者
万田 正治 堤 知子 山本 彰治
出版者
鹿児島大學農學部
雑誌
鹿児島大学農学部学術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
no.34, pp.p75-82, 1984-03

日本ザーネン種(雌雄各3頭), 日本在来種(雄2頭, 雌3頭)の計11頭を用い, 脳波と眼球運動の測定により山羊の睡眠について検討を行った.1.1日の総睡眠時間は, 日本ザーネン種雄200.4分, 雌233.6分, 日本在来種雄89.9分, 雌111.2分となり, 日本ザーネン種の方が有意に多かった.このうち日本ザーネン種ではN-REM睡眠はREM睡眠の約2倍であったが, 日本在来種では両者間に差は認められなかった.1日における睡眠の出現頻度においてもN-REM, REM睡眠ともに日本ザーネン種の方が有意に多く, とくにN-REM睡眠で顕著であった.1睡眠当りの持続時間については, N-REM睡眠では日本ザーネン種の方が長い傾向が見られたが, REM睡眠ではすべての山羊で4〜5分とほぼ一定であった.したがって睡眠時間はおもにN-REM睡眠の出現頻度と持続時間に左右されるものと考えられる.2.1時間毎の平均睡眠時間を算出し, 睡眠の日内変動を検討したところ, 睡眠はどの時間帯にでも出現するが, 昼間よりも夜間に多い傾向が認められた.これはとくに日本ザーネン種で顕著であり, 昼間の2倍以上の睡眠を夜間に取った.3.環境変化が睡眠にどのような影響を及ぼすかを温度と照明時間について検討した結果, REM睡眠の出現頻度に多少の変化が見られたが, 1日の睡眠時間に有意な差は認められなかった.したがって, 温度や照明時間の変化は睡眠を阻害するまでには至らないものと推察される.
著者
五島 史行 堤 知子 新井 基洋 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.9, pp.742-750, 2010 (Released:2011-05-28)
参考文献数
17
被引用文献数
7 8

めまい患者の身体症状とストレスに着目し調べることを目的とした. めまいの治療のため集団リハビリテーション治療を目的として入院した患者145例を対象とした. 今回作成した問診票を用いて調査した. 質問項目の内容は現在有している身体症状としてめまい, 頭痛, 不眠, 下痢, 便秘, 腹痛, 胸痛, 心臓がドキドキする, 息が切れやすい, 疲れやすいの項目, さらに現在感じているストレスの内容として仕事 (学業), 家庭内の問題, 社会に対して, 金銭面, 自分の健康, 生活環境, 近所づきあいの項目について数値評価尺度 (Numerical Rating Scale: NRS) によって回答するものである. また不安, 抑うつの程度, めまいによる障害度をHADS (hospital anxiety and depression scale), DHI (dizziness handicap inventory) にて評価を行った. 身体症状として疲れやすい, 不眠, 頭痛を多く認めた. これらの症状は抑うつや不安にしばしば認められる症状である. NRSにて数値化しためまいと頭痛症状の間には相関関係が認められた (R=0.48, P<0.0001). 今回の結果, めまい患者はめまい以外にもさまざまな身体愁訴を有していることが明らかになった. めまい患者の治療においてはめまい以外の身体症状に焦点をあて, 適切に症状聴取を行い対応していくことが必要である.
著者
五島 史行 堤 知子 新井 基洋 小川 郁
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.9, pp.742-750, 2010-09-20
被引用文献数
2 8

めまい患者の身体症状とストレスに着目し調べることを目的とした. めまいの治療のため集団リハビリテーション治療を目的として入院した患者145例を対象とした. 今回作成した問診票を用いて調査した. 質問項目の内容は現在有している身体症状としてめまい, 頭痛, 不眠, 下痢, 便秘, 腹痛, 胸痛, 心臓がドキドキする, 息が切れやすい, 疲れやすいの項目, さらに現在感じているストレスの内容として仕事 (学業), 家庭内の問題, 社会に対して, 金銭面, 自分の健康, 生活環境, 近所づきあいの項目について数値評価尺度 (Numerical Rating Scale: NRS) によって回答するものである. また不安, 抑うつの程度, めまいによる障害度をHADS (hospital anxiety and depression scale), DHI (dizziness handicap inventory) にて評価を行った. 身体症状として疲れやすい, 不眠, 頭痛を多く認めた. これらの症状は抑うつや不安にしばしば認められる症状である. NRSにて数値化しためまいと頭痛症状の間には相関関係が認められた (R=0.48, P<0.0001). 今回の結果, めまい患者はめまい以外にもさまざまな身体愁訴を有していることが明らかになった. めまい患者の治療においてはめまい以外の身体症状に焦点をあて, 適切に症状聴取を行い対応していくことが必要である.