著者
新井 基洋
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.753-754, 2015 (Released:2016-01-15)
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
新井 基洋 五島 史行 保坂 隆
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.919-926, 2011-10-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1

集団めまいリハビリテーションとSSRIの併用療法によるQOLの改善内容を明らかにする目的で,入院時のSDS検査におけるスコアが50以上の患者を対象としたレトロスペクティブな検討を行った.めまい治療は,薬物治療としてbetahistine mesilate(メリスロン^[○!R])18mg/日とATP製剤(10%アデホス顆粒^[○!R])3g/日の内服とし,さらに集団めまいリハビリテーション併用加療を施行した.また,うつ状態の治療にはSSRIのfluvoxamine(デプロメール^[○!R])50mg/日を初期投与量として開始,退院後は150mg/日に増量し,4週間後にめまい症状および心理学的症候について評価した.結果:SSRIの併用療法により,各種心理学的評価項目だけでなく,めまい症状に対しても十分な改善が認められた.結論:SSRI(fluvoxamine)はうつ状態を併存する難治性めまい患者に対し有効であり,至適投与量は150mgであった.
著者
五島 史行 新井 基洋 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.9, pp.1016-1023, 2013-09-20 (Released:2013-10-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

めまいのリハビリテーションの継続には十分な動機付けが必要である. その有効性の機序については, 純粋に前庭機能改善による効果なのか, 心理的な効果なのかまだ不明な点が多い. 施行に当たって医師以外の職種の関与も必要である. 今回臨床心理士, 臨床検査技師と協力し, めまいリハビリテーションを行った. 最低6カ月以上めまい症状を訴える慢性のめまい患者16例を対象として, 初回は動機付けセッションとして個別に臨床心理士がめまいのリハビリテーションの意義, 方法を十分に説明し, 動機付けした. その後リハビリテーションを自宅で継続させた. 介入前, 介入後1, 2, 3カ月の時点でDHI日本語版 (dizziness handicap inventory), 抑うつ尺度, 不安尺度などの質問紙を用いて評価を行った. また静的平衡機能評価として重心動揺計, フォーム重心動揺計, および動的平衡機能評価として頭振りなどの動作に必要な時間を測定した. 15例 (93.8%) で継続可能であった. 不安, 抑うつレベルは介入後変化を認めなかったがDHI日本語版は介入後1, 2, 3カ月の時点で介入前と比べ改善を示した. 開閉眼での頭振り, および固視点を注視したまま行う頭振り動作の所要時間は横方向, 縦方向ともに改善を認めた. 重心動揺計の開眼の矩形面積 (REC AREA) は2カ月後に改善を認めた. フォーム重心動揺計の閉眼軌跡長 (LNG) は2カ月後, 3カ月後, および開閉眼のREC AREAは3カ月後に改善を認めた. これらより患者のめまいの自覚症状の改善は抑うつ, 不安といった心理面での変化ではなく静的, 動的平衡機能が改善した結果得られたものであることが示された.
著者
新井 基洋
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.5, pp.307-314, 2020-05-20 (Released:2020-06-05)
参考文献数
21

めまい・平衡障害は, 前庭機能ならびに視機能, 体性感覚などの複合感覚障害であり, その治療法としてのめまいのリハビリテーション (以下めまいリハ) は耳鼻咽喉科領域において関心の高い事項の一つである. 1989年日本平衡神経科学会 (現, 日本めまい平衡医学会) の “「平衡訓練の基準」掲載にあたって” の中で, めまいリハは, 一側前庭障害代償不全や各種めまい後遺症のみならず, めまい・平衡障害の治癒促進を目的とした治療法の一つとして扱われている. 筆者は1989年に北里大学耳鼻咽喉科の徳増厚二教授 (現名誉教授) から北里式めまいリハの指導を受け, 以来, めまい・平衡障害の治癒促進を目的としためまいリハを「平衡訓練の基準」にのっとり施行してきた. めまいリハは, 体系的なメニューを採用する Cawthorne-Cooksey 法を元にした方法と, 特定の疾患や病態を対象として考案された方法に大別される. 後者の代表が良性発作性頭位めまい症における Brandt 法で, 最近の時流である患者個人ごとのめまいリハ治療も後者に該当する. 当院でも, 効率良くめまいリハを行うために個人の疾患を踏まえたリハを選択して外来指導をしており, そのポイントとなる適切なリハの見極め方について述べる. 一側前庭障害代償不全では中枢代償獲得促進が, 加齢性めまいなど両側前庭機能障害は視覚と深部感覚などによる機能補充を目標とする. 頭位治療や Brandt 法では改善しなかった良性発作性頭位めまい症例には頭位変換を用いた寝起きめまいリハも選択肢となる. そのほか, メニエール病, 前庭性片頭痛, 持続性知覚性姿勢誘発めまいに対するめまいリハについても触れる. さらに, めまいリハの歴史と根拠, 治療に導入できるめまいの対象疾患と方法の選択, 評価方法についても述べる.
著者
樋口 彰宏 斉藤 大 新井 基洋 岡本 牧人 八尾 和雄
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.438-443, 1997

1996年6月より我々は整形外科関節手術用シェーバーシステムである, SE5, ペースセッター (ラージハンドピース) をESSに使用し始めた。56例 (99側) にSE5 (あるいはペースセッター), ハマー, 通常手術器具でESSを行い, その有用性の検討を行ったところ, SE5 (あるいはペースセッター) 使用症例 (あるいは側) はハマー, 通常器具使用症例 (あるいは側) に比して, 手術時間, 出血量, 術中副損傷, 創傷治癒など全てにおいて優れていた。シェーバーの安全性, 有用性はそのままで, ハマーの欠点を克服できた。SE5, ペースセッターは整形外科で広く普及していて, すでに所有している施設も多いため, 多くの耳鼻咽喉科医が, すぐにでもESSにシェーバーを使用できるという利点もある。
著者
五島 史行 堤 知子 新井 基洋 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.9, pp.742-750, 2010 (Released:2011-05-28)
参考文献数
17
被引用文献数
7 8

めまい患者の身体症状とストレスに着目し調べることを目的とした. めまいの治療のため集団リハビリテーション治療を目的として入院した患者145例を対象とした. 今回作成した問診票を用いて調査した. 質問項目の内容は現在有している身体症状としてめまい, 頭痛, 不眠, 下痢, 便秘, 腹痛, 胸痛, 心臓がドキドキする, 息が切れやすい, 疲れやすいの項目, さらに現在感じているストレスの内容として仕事 (学業), 家庭内の問題, 社会に対して, 金銭面, 自分の健康, 生活環境, 近所づきあいの項目について数値評価尺度 (Numerical Rating Scale: NRS) によって回答するものである. また不安, 抑うつの程度, めまいによる障害度をHADS (hospital anxiety and depression scale), DHI (dizziness handicap inventory) にて評価を行った. 身体症状として疲れやすい, 不眠, 頭痛を多く認めた. これらの症状は抑うつや不安にしばしば認められる症状である. NRSにて数値化しためまいと頭痛症状の間には相関関係が認められた (R=0.48, P<0.0001). 今回の結果, めまい患者はめまい以外にもさまざまな身体愁訴を有していることが明らかになった. めまい患者の治療においてはめまい以外の身体症状に焦点をあて, 適切に症状聴取を行い対応していくことが必要である.
著者
五島 史行 堤 知子 新井 基洋 小川 郁
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.9, pp.742-750, 2010-09-20
被引用文献数
2 8

めまい患者の身体症状とストレスに着目し調べることを目的とした. めまいの治療のため集団リハビリテーション治療を目的として入院した患者145例を対象とした. 今回作成した問診票を用いて調査した. 質問項目の内容は現在有している身体症状としてめまい, 頭痛, 不眠, 下痢, 便秘, 腹痛, 胸痛, 心臓がドキドキする, 息が切れやすい, 疲れやすいの項目, さらに現在感じているストレスの内容として仕事 (学業), 家庭内の問題, 社会に対して, 金銭面, 自分の健康, 生活環境, 近所づきあいの項目について数値評価尺度 (Numerical Rating Scale: NRS) によって回答するものである. また不安, 抑うつの程度, めまいによる障害度をHADS (hospital anxiety and depression scale), DHI (dizziness handicap inventory) にて評価を行った. 身体症状として疲れやすい, 不眠, 頭痛を多く認めた. これらの症状は抑うつや不安にしばしば認められる症状である. NRSにて数値化しためまいと頭痛症状の間には相関関係が認められた (R=0.48, P<0.0001). 今回の結果, めまい患者はめまい以外にもさまざまな身体愁訴を有していることが明らかになった. めまい患者の治療においてはめまい以外の身体症状に焦点をあて, 適切に症状聴取を行い対応していくことが必要である.