著者
五島 史行 守本 倫子 泰地 秀信
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.91-96, 2013 (Released:2013-04-11)
参考文献数
17

小児心因性起立, 歩行障害の症例を呈示し, 文献的考察を行った. 症例1は10歳男児で心因性発熱, 心因性視力障害を合併した症例で, 発症後約4カ月経過して症状は改善した. 症例2は10歳男児で, 頭痛, 微熱, 倦怠感, 心因性視覚障害を合併したものであり, 約5カ月経過して症状が改善した. 小児の心因性起立, 歩行障害の頻度は高いものではないが, 診察に際しては臨床的特徴を熟知しておく必要がある. 治療にはある程度の期間が必要である. 器質的疾患を除外し, 診断を確定した後は呈示した症例のように治療を急がず, 時間をかけた対応が必要である.
著者
五島 史行 浅間 洋二 中井 貴美子
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.108, no.12, pp.1171-1174, 2005-12-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

線維筋痛症とは, 全身に強い痛みを起こす原因不明の疾患である. めまい, 耳鳴などの蝸牛前庭症状を主訴として耳鼻咽喉科を初診することがある. 症例は38歳女性, 主訴はめまい, 全身の痛み. 聴覚, 平衡機能検査では明らかな異常を認めなかった. 外来加療中に痛みが増悪し, カウンセリング, 自律訓練法を導入した. 入院し, A型ボツリヌス毒素注射, プレドニゾロン点滴などの治療を行い軽快退院となった. 入院中も嘔吐を伴う回転性めまい発作が定期的に認められたが, 明らかな眼振は観察されなかった. 神経の統合異常, 体性感覚の異常などがめまいの原因と考えられた. 薬物治療や心理的治療により疼痛を緩和することが結果的にめまいを抑制したと考えられた.
著者
五島 史行
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.122, no.8, pp.1102-1106, 2019-08-20 (Released:2019-09-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

心因性めまいは心因が関与するめまいであるが, 大きく分けると純粋に精神疾患によって発症する ① 狭義の心因性めまいと ② 合併する精神疾患が器質的前庭疾患 (メニエール病など) を悪化させている二つの場合がある. 両者をあわせて広義の心因性めまいと呼ぶ. 広義の心因性めまいに含まれ近年バラニー学会で診断基準が作成された持続性知覚性姿勢誘発めまい (PPPD) は従来めまい症とされていた患者の中に一定数含まれている. 診断では耳鼻咽喉科医は心因の評価には習熟していないので, まずは前庭疾患の有無を評価する. めまい症状を引き起こす可能性がある精神疾患は不安障害とうつ病, 身体表現性障害である. 特に不安とうつの評価は重要である. 質問紙によるスクリーニングが有用でありめまいによる生活障害を評価する DHI (dizziness handicap inventory) が有効である. DHI にて重症とされる46点以上では高率に不安障害やうつを合併していることが知られている. またこのような心因の評価をしなくても PPPD の診断は診断基準に沿って行うことが可能である. 診断のポイントは3カ月以上にわたってほとんど毎日存在するめまい症状であり, 立位姿勢, 頭の動き, 視覚刺激によって増悪するものである. また, 一部の心因性めまいは重心動揺計で特徴的な所見を示すことで診断可能である. 治療の上で最も大切なことは, 正確な診断である. めまいの原因として重大な病気が存在しないことを保証する. 心因性めまいの多くは純粋な心因性ではなく, 軽度の前庭機能障害を合併していることが多い. 原因不明という診断を行うことは予後を不良にさせる. 実際の介入では認知行動療法が中心となる. 具体的にはめまいが治らないという認知に対してめまいのリハビリテーションをすることで症状が改善することを説明する. 薬物治療は補助的なものであり, 患者の治したいという意欲をもり立て, 医師依存の治療関係から患者自らが治療に参加する形にしていくことが重要である.
著者
五島 史行 野村 恭子 中尾 睦宏 瀬戸 泰
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.148-156, 2016 (Released:2016-02-29)
参考文献数
21
被引用文献数
1

はじめに : めまいの多くは末梢前庭障害によるものであり, 一時的な症状で改善することが多い. しかし, 一部では症状が遷延化する. 本研究では, 3カ月以上にわたりめまい症状が遷延している難治性めまい患者における重症度に影響している要因について検討した.  対象と方法 : 都内単一医療施設耳鼻咽喉科外来にて3カ月以上一般的治療を行ったにもかかわらず, めまい症状が遷延した患者のうち, 2012年4~11月の間に入院による積極的な治療を希望した難治性末梢性めまい210例 (女性75%, 平均年齢65歳) を対象とした. 検討した項目は性別, 年齢, 就労の有無 (無職/就労), 最終学歴 (短期大学以下/大学以上), 心理尺度である. 心理尺度には, (a) 身体感覚に対する破局的思考尺度 (Somatosensory Catastrophizing Scale : SSCS), (b) 身体感覚増幅尺度 (Somatosensory Amplification Scale), (c) 身体症状評価 (Medical Symptom Checklist), (d) 自己評定式抑うつ尺度 (Self-rating Depression Scale : SDS) のそれぞれについて自記式質問紙を用いて尋ねた. めまいの頻度が週に1回以上をめまい重度群, それ未満をめまい軽度群と定義し, それぞれの因子との関連を統計学的に検討した.  結果 : めまい軽度群に比べて, めまい重度群は有意に若く (p=0.001), 就労しており (p=0.001), 最終学歴は大学以上であった (p=0.013). また, 心理尺度のSSCS (p<0.0001) ならびにSDS (p=0.049) の平均点はめまい重度群が軽度群よりも有意に高かった. めまいの重症度に影響する因子を検討するロジスティック回帰分析では説明変数としてSSCSの合計値を投入したモデル1とSSCSの各因子の値を投入したモデル2を行い, 就労していない場合に比べ就労しているとめまいは約3倍重症化しやすく (モデル1 OR 3.47, 95%CI : 1.51~8.00;モデル2 OR 3.18, 95%CI : 1.36~7.45), モデル1にてSSCSの合計点が1点上昇するごとにめまいは3% (95%CI : 1.01~1.05) 重症に傾きやすい傾向を, モデル2にてSSCSの第二因子 (生活上の支障) が1点上昇するごとにめまいは11%重症化に転じる傾向 (OR 1.11, 95%CI : 1.03~1.19) を認めた.  考察 : 難治性めまいにおいて身体感覚に対する破局的思考は重症度に影響を与えていることが明らかとなり, 認知の歪みの影響を受ける病態であることが示唆された. その他の背景因子の中では, めまい重度群では就労しているものが多く, 今後の検討事項に外的な要因として職場での人間関係やサポートなどの社会的環境因子が考えられた.
著者
五島 史行
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.69-73, 2009 (Released:2011-08-01)
参考文献数
7

メニエール病患者が耳痛を訴えることはまれではない。インターネットを用いてメニエール病患者における耳痛、その特徴などについて検討を行った。インターネット上で 2008 年 2 月から 4 カ月間の間に  “メニエール病と耳痛について”  のアンケートに回答を得た 59 例のデータを解析した。耳痛は耳鳴りに随伴することが多かった。痛みの頻度は毎日から週 1 回という高い頻度であり持続時間は短時間から長時間なこともあった。診断治療については医師には話していない例も多く、積極的な治療を行っている例は無かった。片頭痛の合併が 30 %に認められ、メニエール病の耳痛が片頭痛発作と類似した機序で起こっている可能性が示唆された。インターネットアンケートのため患者の偏り、および診断の正確さの問題があるが、メニエール病患者における耳痛はメニエール病の病態、治療を考える上で重要であると推察された。
著者
五島 史行 矢部 はる奈
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.273-276, 2008-10-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
5
被引用文献数
2 1

難聴を一定期間放置すると語音明瞭度が低下することは長期間の難聴に伴う聴取能の剥離として知られている.高齢者の補聴器装用者の問題は語音明瞭度の低下によるものが多い.近年, 言語聴覚士の積極的介入を軸とした補聴器フィッティング, 装用訓練を導入し補聴器装用訓練が奏功する可能性が報告された.言語聴覚士を積極的に活用できる医療施設等は限定されるため, より簡便な聴能回復リハビリテーション法が必要である.今回われわれは, 自宅での音読トレーニングなどを指導することによって裸耳の語音明瞭度の改善を認めた症例を経験したので報告する.症例は77歳女性.2005年7月に感音難聴を主訴に初診.両側高度感音難聴を認めた.語音明瞭度は右30%, 左20%であった.書籍“脳を鍛える大人の音読ドリル―名作音読・漢字書き取り60日”を用いたトレーニング, 新聞の音読をすることを指示した.6ヵ月後右耳の語音明瞭度は60%まで改善した.
著者
五島 史行 堤 知子 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.8, pp.953-959, 2013-08-20 (Released:2013-10-09)
参考文献数
17
被引用文献数
4 4

片頭痛関連めまいは通常型の片頭痛とめまいが共通の病因によって生じると考える疾患単位として提唱されたものである. 原因不明の反復性めまい患者には片頭痛関連めまいが含まれていると考えられる. 本邦における片頭痛関連めまいの臨床像を明らかにするため, 外来めまい患者を対象に検討を行った. 片頭痛関連めまいの診断基準として, めまい発作の反復, 国際頭痛分類の診断基準を満たす片頭痛を有するか, 既往がある, めまい発作に同期して, 片頭痛の症候 (片頭痛性頭痛, 音過敏, 光過敏, 閃輝暗点) があったことがある, 一側性の関連を想定させる難聴がない, 他の疾患が除外できる, を用いた. 553名のめまい外来患者のうち片頭痛関連めまいと診断した症例は46例 (8.3%) であった. 典型的な片頭痛関連めまい患者の臨床像は, 30~40台の女性であり, めまいを発症する以前から片頭痛を発症し, 1~10年前から年に一度程度の, 頭痛を随伴した1~24時間程度続く回転性+浮動性のめまいを認める症例である. 片頭痛関連めまいの診断基準に難聴のある症例を含めるかどうかについてはメニエール病との鑑別の問題もあり, 議論がある. めまいを反復し難聴を認め, 片頭痛を合併した症例の扱いについては今後の検討が必要である.
著者
五島 史行 堤 知子 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.11, pp.1208-1213, 2013-11-20 (Released:2014-01-16)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

耳鼻咽喉科を受診するめまい患者のうち, 心因性めまいの占める割合は10~30%程度といわれている. これらの患者には適切な治療が行われていないことが多い. chronic subjective dizziness (CSD) はStaabとRuckensteinによって報告されためまい疾患である. 過去1年間に日野市立病院を受診しためまい患者のうち, 心因性めまいは40例 (14%) であった. そのうちCSDの診断基準を満たした7例について治療や予後などを検討した. 治療はセロトニン再取り込み阻害薬 (SSRIs) を投与し, 全例で自覚症状の改善が認められた. CSDは自覚的めまいを主訴とし耳鼻咽喉科を受診する. そのため, 耳鼻咽喉科医が薬物治療を行って治療することができる疾患として重要である. SSRIsは本来抗うつ薬であり, 実際のSSRIsの投与に当たっては嘔気, アクティベーション症候群などSSRIsの持つ副作用を熟知した上で行う必要がある.
著者
五島 史行 室伏 利久
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.299-301, 2015-08-31 (Released:2015-10-01)
参考文献数
6
被引用文献数
2
著者
矢部 はる奈 五島 史行 林 賢 國弘 幸伸 小川 郁
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.491-495, 2007-06-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

It is not easy to treat patients with intractable Meniere's disease. Intratympanic injection of gentamicin or steroid is one option. The other is a surgical procedure like endolymphatic shunt surgery. Middle ear pressure treatment using the Meniett device, which has not been approved by the Japanese government is widely accepted in foreign countries. We had a chance to use this Meniett device under approval of the ethic's committee of Hino Municipal Hospital since September 2004. ‹Methods› Four patients with intractable Meniere's disease who suffered intensive vertigo attack for more than 5 months with conservative medical treatment were employed in the study. Ages ranged from 67 to 72, with 3 females and 1 male. After a ventilation tube was inserted under local anesthesia, treatment with the Meniett was performed 3 times a day at home. ‹Results› Two patients improved and 2 slightly improved concerning vertigo attacks. One showed no change, 1 experienced a worsening, and 2 showed slight improvement concerning the hearing level. ‹Conclusion› The Meniett device is less invasive and may be suitable for elderly patients who prefer conservative treatment. The mechanism involved in the reduction of vertigo attacks is not clear so far, but we speculate that middle ear pressure may suppress serum vasopressin (antidiuretic hormone) secretion and thereby reduce endolymphatic hydrops. It is necessary to accumulate treatment data with the Meniett in Japan to obtain official approval by the government.
著者
五島 史行 岩倉 昌岐
出版者
一般社団法人 日本頭痛学会
雑誌
日本頭痛学会誌 (ISSN:13456547)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.148-151, 2023 (Released:2023-09-20)
参考文献数
9

頭痛外来において耳鳴の有病率やその支障度について検討を行った.対象は,頭痛を主訴に頭痛専門外来を受診した231例とした.耳鳴の苦痛度をTHI-12,気分状態をHADSにて評価した.耳鳴を訴えたものは61例 (約30%) であった.疾患では片頭痛,特に慢性片頭痛で高い傾向が認められた.これらの耳鳴は生活への障害はあまり高度ではなかった.また耳鳴を有する患者はめまいも有している割合が高かった.前庭性片頭痛は41例あったがそのうち13例 (31.7%) で耳鳴を認めた.前兆のない片頭痛で耳鳴のある41例中7例に難聴を認め,4例は突発性難聴の既往があった.頭痛外来において耳鳴の訴えが高率に認められることが分かった.
著者
新井 基洋 五島 史行 保坂 隆
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.919-926, 2011-10-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1

集団めまいリハビリテーションとSSRIの併用療法によるQOLの改善内容を明らかにする目的で,入院時のSDS検査におけるスコアが50以上の患者を対象としたレトロスペクティブな検討を行った.めまい治療は,薬物治療としてbetahistine mesilate(メリスロン^[○!R])18mg/日とATP製剤(10%アデホス顆粒^[○!R])3g/日の内服とし,さらに集団めまいリハビリテーション併用加療を施行した.また,うつ状態の治療にはSSRIのfluvoxamine(デプロメール^[○!R])50mg/日を初期投与量として開始,退院後は150mg/日に増量し,4週間後にめまい症状および心理学的症候について評価した.結果:SSRIの併用療法により,各種心理学的評価項目だけでなく,めまい症状に対しても十分な改善が認められた.結論:SSRI(fluvoxamine)はうつ状態を併存する難治性めまい患者に対し有効であり,至適投与量は150mgであった.
著者
近藤 真前 清水 謙祐 五島 史行 北原 糺 今井 貴夫 橋本 誠 下郡 博明 池園 哲郎 中山 明峰
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.489-497, 2016-12-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2

Introduction: The vertigo symptom scale-short form (VSS-sf), which has three factors, the vestibular-balance symptom with long duration, the vestibular-balance symptom with short duration, and the autonomic symptom, was developed for measurement of the therapeutic effect in vestibular diseases. However, clinical use of the VSS-sf has not been reported in Japan, and there are very few analyses using scores of the factors or each item of the VSS-sf. The aims of this study is to report both clinical use of the VSS-sf in Japan and analyses using scores of the factors or each item of the VSS-sf. Methods: Participants included both adult inpatients and outpatients with either non-central dizziness/vertigo or vertebrobasilar insufficiency which occurred more than one month before, diagnosed by expert neuro-otologists. Participants completed three questionnaires: the VSS-sf, the dizziness handicap inventory, and the hospital anxiety and depression scale (HADS). We conducted a multiple regression analysis with the scores of the three factors of the VSS-sf, to evaluate how much influence there was from vestibular and autonomic symptoms on any handicap due to dizziness. We analyzed the scores of each item of the VSS-sf to examine profiles of the symptoms in major vestibular diseases. Results: The results of 159 participants were analyzed. Standard partial regression coefficients of anxiety, depression, and the vestibular-balance symptom with long duration were significant, however, those of the vestibular-balance symptom with short duration and the autonomic symptom were not. Most frequent autonomic symptoms were headache, chill/flashes, and palpitation in Ménière's disease, benign paroxysmal positional vertigo, vestibular neuronitis, and psychogenic dizziness. Conclusion: The VSS-sf can be conducted without major problems in Japan, and may be useful for patients with vestibular diseases, not only to measure therapeutic effect but also to analyze the influence of, or relation between the vestibular-balance symptom/autonomic symptoms and other clinical variables.
著者
五島 史行
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.233-238, 2021-06-30 (Released:2021-08-04)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Patients with chronic dizziness often complain of headache; conversely, patients with headache complain of dizziness. Patients with migraine complain of dizziness more often than patients with tension-type headache. Diagnostic criteria for both Meniere disease and vestibular migraine have been reported recently. However, in some cases, it is difficult to clearly distinguish between Meniere's disease and vestibular migraine. In the patients complains symptom, which is described in the diagnostic criteria of Meniere disease and vestibular migraine at the same time may define as Patients complaining of symptoms described in both the diagnostic criteria for Meniere's disease and vestibular migraine may be defined as having vestibular migraine and Meniere's disease overlap syndrome. Here, I would like to describe the etiology of migraine and Meniere's disease. In Japan, migraine is reported to occur at a prevalence of 3.6% in men and 12.9% in women, while Meniere's disease is reported to occur at a prevalence of approximately 2-30 cases per 1,000,000 inhabitants. In otorhinolaryngologic? outpatient practice, Meniere's disease and vestibular migraine are reported to account for about 8%-10% of patients. There are no objective tools yet to clearly diagnose either vestibular migraine or Meniere's disease. Recently, the habituation of middle latency response was reported as a potential objective evaluation tool for the diagnosis of vestibular migraine. Further study is required to identify objective tools for the diagnosis of vestibular migraine and Meniere's disease.
著者
五島 史行 矢部 はる奈 五島 一吉 小川 郁
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.330-332, 2007

"Ear popper<SUP>&reg;</SUP>" は自宅または外来で小児滲出性中耳炎に対する通気を行うための機器である。外来にてポリッツエル球の代わりに本機を用いて2歳から9歳の小児滲出性中耳炎症例18例 (男児8例, 女児10例) に対して通気治療を行った。通気治療前後の鼓膜, ティンパノグラム, 聴力検査所見により評価を行った。<BR>〈結果〉17例において苦痛なく確実に通気可能であった。〈まとめ〉日本では国民皆保険制度が整備され, 医療機関へのアクセスも比較的容易なため患者自身で病気を治療しようという意欲はアメリカに比べると低い。また自治体によっては小児の医療費は無料であり通院治療が経済的には負担にならないため在宅治療器の普及はあまり進んでいない。今回は外来での使用にとどまったが頻回な通院が必要な難治性の滲出性中耳炎児に対しては容易に在宅でも通気治療できる本装置のメリットは大きいと考えられた。
著者
鈴本 典子 五島 史行 齋藤 弘亮 金田 将治 関根 基樹 大上 研二 飯田 政弘
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.541-548, 2020
被引用文献数
1

<p> Dizziness can arise from diverse causes. According to reports, 20%-80% of patients presenting with vertigo have psychogenic vertigo. Diagnosis of psychogenic vertigo is not always easy. Until date, there is no objective examination tool for the diagnosis of psychogenic vertigo. Therefore, it is important for physicians to evaluate patients presenting with vertigo both physically and psychologically in order to make a definitive diagnosis of psychogenic vertigo. Posturography is the conventional method for evaluating the postural perturbation in patients with vertigo or dizziness, and there are many ways of analyzing the results of posturography. One such method is with the use of the "gravichart," and a characteristic finding in patients with psychogenic vertigo is a teardrop-shaped "gravichart." However, the detailed characteristics of patients showing the teardrop-type "gravichart" are still unknown. In this study, we attempted to identify the clinical importance of the teardrop-shaped "gravichart" in patients with psychogenic vertigo. While many patients with a teardrop-shaped "gravichart" are diagnosed as having psychogenic vertigo, not all patients with psychogenic vertigo show a teardrop-shaped "gravichart". Thus, while a teardrop-shaped "gravichart" may be useful for the diagnosis of psychogenic vertigo, it is necessary to clarify what types of patients with psychogenic vertigo show a teardrop-shaped "gravichart" in a future study.</p>