著者
宮口 右二 境 久美子 米倉 政実 堤 将和
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.720-725, 1989-09-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
21
被引用文献数
4 6

グロビンのサクシニル化を行って,サクシニル化グロビンを調製し,その性状について検討した. (1) グロビンはpH 3.0以下で可溶であり,中性付近(pH 7.0~8.0)で最も低い溶解性を示した.これに対してサクシニル化グロビンはpH 4.0付近で最も低い溶解性を示すが,中性からアルカリ性側では高い溶解性を示した. (2) グロビンは硫酸アンモニウム0.1飽和(pH 2.0)で,サクシニル化グロビンは0.4飽和(pH 7.0)で完全に塩析された. (3) サクシニル化グロビンの起泡性はグロビンよりも優れていたが,気泡安定性の面ではグロビンよりも劣っていた. (4) グロビンはpH 2.0, 4.5, 7.0, 9.0, 11.0という条件下では加熱ゲルを形成しなかったが,サクシニル化グロビンはpH 2.0で明瞭なゼリー状ゲルを形成した. (5) グロビンはpH4.0でオボアルブミンの加熱凝集を強く防止した.一方サタシニル化グロビンはグロビンよりも中性に近いpH (pH 6.0)で凝集防止効果を発現した.