著者
林 文男 増永 元
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-17, 2001-05-25
被引用文献数
6

沖縄県において, ウミヘビ亜科3種(イイジマウミヘビ, クロガシラウミヘビ, クロボシウミヘビ)およびエラブウミヘビ亜科3種(エラブウミヘビ, ヒロオウミヘビ, アオマダラウミヘビ)の外部寄生性ダニ類の調査を行なった.前者のウミヘビ類からダニ類は採集されなかったが, 後者からはウミヘビキララマダニと3種のツツガムシ類を得た.ウミヘビキララマダニは1年を通して採集され, 幼虫および若虫はとくに夏期に寄生率や寄生数が高い傾向を認め, 野外では集中分布をしている傾向が強く示された.夜間に採餌(魚食)のため遊泳するエラブウミヘビ類では, 飽血個体(幼虫のみ観察)が昼間に離脱するという観察結果を得たが, これは海水中での離脱を避けることと関係があると推測される.人工海水中に24時間浸漬した実験では, 死亡個体は皆無であったが, これは未吸血個体の待機場所や飽血個体の生息する岩礁間隙が満潮で一時的に没した場合でも強い海水耐性によって生存可能であることを示している.3種のツツガムシ類については, マダニと同様の寄生習性(1年を通して寄生, 集中分布, 昼間に飽血離脱)が部分的ながら確かめられた.これらツツガムシ類の分類学的検討と宿主特異性の詳細は今後の課題である.
著者
太田 英利 増永 元 佐藤 寛之 安川 雄一郎
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬虫両棲類学会報 (ISSN:13455826)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.2, pp.78-87, 2003-09-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
32

A book entitled “A Photographic Guide; Amphibians and Reptiles in Japan” (coauthored by Ryu Uchiyama, Norio Maeda, Kenji Numata, and Shintaro Seki; ISBN4-582-54232-8; soft bind.; modified A 5 size; 336 pp.; 2800 JY exclusive of tax) was published in 2002 from Heibonsha, Tokyo. While showing with mostly attractive photographs all amphibian and reptile taxa known from Japan to the present (i. e., native Japanese taxa plus exotic taxa now having feral populations in Japan), the book also attempts in text to summarize up-to-date information regarding the diversity and natural history of Japanese herpetofauna. The first print, dated in colophon as 20 September 2002, however, has numerous errors of various categories, such as erroneous identifications of animals photographed, misleading statements regarding morphological and ecological features of taxa, and adoptions of obviously inappropriate classifications and scientific names. Many of these errors were corrected in the second version, which, despite its rather substantial changes from the original edition, was published simply as “the second print of the original edition” on 25 November of the same year (according to the date printed in its colophon). Obviously publication of this “second print” much preceded sellout of the first print, and surprisingly the first print was still in sell after publication of the second print despite its numerous errors. Such an attitude of the publisher should be severely criticized from an ethical point of view.
著者
高橋 守 三角 仁子 増永 元 田原 義太慶 角坂 照貴 鳥羽 通久 三保 尚志 高橋 久恵 高田 伸弘 藤田 博己 岸本 寿男 菊地 博達
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第62回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.45, 2010 (Released:2010-10-12)

ウミヘビツツガムシV. ipoidesはウミヘビの気管や肺に寄生する内部寄生性のツツガムシで、南西諸島で捕獲したエラブウミヘビ亜科の3種(エラブ、ヒロオ、アオマダラ)に寄生していた。未吸着幼虫は鼻腔内や気管入り口で吸着しないで生存しているのが観察された。気管や肺で観察された幼虫の多くは、体長5-8mmにも達する大型の幼虫であった。エラブウミヘビを水を張った飼育容器内で観察したところ、約2ヶ月後に口から吐き出された生きた満腹幼虫30個体と、肺に吸着している満腹幼虫4個体および未吸着幼虫1個体を得た。なお消化管内での寄生は全く認められなかった。以上のことから未吸着幼虫は、陸上の産卵場所などでウミヘビの鼻腔から侵入し、下顎に開く気管から肺に侵入し、体液を吸って満腹し、気管入り口から外に吐き出されるものと考えられた。満腹幼虫を25℃下で飼育すると、体表にある多数のイボ状突起は約1週間で消え、滑らかになり、やがて腹部に脚原基が形成され、背中の外皮が破れて8本足の成虫が出現した。これは、通常の哺乳類に寄生するツツガムシで見られる第二若虫や第三若虫の形態を経ないで成虫になるという、ウミヘビの生活に適応した生活環とみなされた。成虫になった1-2日後、雄は精包を産出し、雌がこれを取り入れて11日後に産卵した。産卵は16日間続き、1日平均16.5卵(3-31/日)、孵化率52.8%であった。他に発育速度およびstylostomeについても述べる。
著者
林 文男 増永 元
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-17, 2001 (Released:2006-06-14)
参考文献数
21
被引用文献数
4 6

沖縄県において,ウミヘビ亜科3種(イイジマウミヘビ,クロガシラウミヘビ,クロボシウミヘビ)およびエラブウミヘビ亜科3種(エラブウミヘビ,ヒロオウミヘビ,アオマダラウミヘビ)の外部寄生性ダニ類の調査を行なった.前者のウミヘビ類からダニ類は採集されなかったが,後者からはウミヘビキララマダニと3種のツツガムシ類を得た.ウミヘビキララマダニは1年を通して採集され,幼虫および若虫はとくに夏期に寄生率や寄生数が高い傾向を認め,野外では集中分布をしている傾向が強く示された.夜間に採餌(魚食)のため遊泳するエラブウミヘビ類では,飽血個体(幼虫のみ観察)が昼間に離脱するという観察結果を得たが,これは海水中での離脱を避けることと関係があると推察される.人工海水中に24時間浸漬した実験では,死亡個体は皆無であったが,これは未吸血個体の待機場所や飽血個体の生息する岩礁間隙が満潮で一時的に没した場合でも強い海水耐性によって生存可能であることを示している.3種のツツガムシ類については,マダニと同様の寄生習性(1年を通して寄生,集中分布,昼間に飽血離脱)が部分的ながら確かめられた.これらツツガムシ類の分類学的検討と宿主特異性の詳細は今後の課題である.
著者
増永元也 著
出版者
増永元也
巻号頁・発行日
vol.第73回, 1938