- 著者
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山内 健生
岸本 年郎
角坂 照貴
杉浦 真治
岡部 貴美子
藤田 博己
- 出版者
- 日本衛生動物学会
- 雑誌
- 日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第60回日本衛生動物学会大会
- 巻号頁・発行日
- pp.39, 2008 (Released:2008-07-01)
東京都の小笠原諸島は特異な生物相を有する海洋島で,コウモリ類を除く陸生哺乳類は本来分布していなかった.しかし,19世紀以降,様々な陸生哺乳類が同諸島へ持ち込まれ,現在では,こうした哺乳類が外来種問題を引き起こしている.これまで同諸島のマダニ相に関する知見は皆無であったため,われわれは2007年4~10月に同諸島父島列島の弟島(5.2 km2)と父島(23.8km2)においてマダニ相調査を実施した.
弟島では,外来生物対策として駆除されたノヤギとノブタの体表を調査して寄生個体を採集したほか,フランネルを用いて植生上から未寄生個体を採集した.父島では,外来生物対策として駆除されたクマネズミの体表を調査して寄生個体を採集した.
採集されたマダニ類は,Boophilus microplus(弟島),Haemaphysalis flava(弟島),Haemaphysalis hystricis(弟島),Ixodes granulatus(弟島,父島)の3属4種であった.なお,採集法別の内訳は以下のとおりであった.
植生上:H. flava(NL),H. hystricis(NL),I. granulatus(L)
ノヤギより:B. microplus(♂♀),H. flava(N),H. hystricis(♂♀N)
ノブタより:H. hystricis(♂♀)
クマネズミより:I. granulatus(♀)
(L:幼虫,N:若虫)