著者
安西 航 髙橋 洋生 戸田 光彦 遠藤 秀紀
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.40, pp.45-52, 2017-05-31

小笠原諸島では、固有昆虫を保護するべく、粘着トラップを主としたグリーンアノールの駆除事業が進んでいる。しかし小笠原に生息する集団の基本的な生態はあまり調べられておらず、捕獲の効率化の検討に資する生態学的知見は少ない。本研究では、グリーンアノールの利用する止まり木に着目し、父島と母島の集団間あるいは雌雄間で、利用する微小環境を定量的に比較した。その結果、両島ともに雌雄差がみられ、雌の方が細い枝や根が混み合った微小環境を利用していることがわかった。このことから、効率的に雌を捕獲するには、樹幹や太い枝だけではなく、雌が好むような微小環境にもトラップを設置することが有効と考えられる。
著者
戸田 光彦 吉田 剛司
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬虫両棲類学会報 (ISSN:13455826)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.2, pp.139-149, 2005-09-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
32
被引用文献数
3
著者
小松 謙之 戸田 光彦
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.83-84, 2019-06-25 (Released:2019-08-07)
参考文献数
9

鹿児島県徳之島にて2018年7月7日にスズキゴキブリ(雄成虫1個体)を捕獲した.この記録は,標本に基づく徳之島での初めての報告となる.
著者
成瀬 貫 戸田 光彦 諸喜田 茂充
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-6, 2003
参考文献数
15

A hypogeal atyid shrimp, Halocaridinides trigonophthalma (Fujino and Shokita, 1975), is newly recorded from Hatoma Island, Southern Ryukus, Japan, and Hatoma Island becomes the fourth island which H. trigonophthalma occurs. H. trigonophthalma was collected from the old well, which is 7-8 m in depth and its wall seem to consist of limestone. There was about 1.0 by 1.5 m clear water pool on the bottom of well, with about 10 cm in depth and sedimental soil and broadleaves, roughly dozens of small shrimps were observed. Water was licked but salinity was not felt. Detailed description of the specimens obtained shows that the numbers of spines on diaeresis of uropodal exopod overlap with the only congener, H. fowleri (Gordon, 1968), though Gurney (1984) assigned the fewer number of spines as one of two distinguishable characters between two species. Instead, the relative length of distal end of endopod peduncle of antenna and the relative length of exopod of 3rd maxilliped can differentiate H. trigonophthalma and H. fowleri.
著者
戸田 光彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.88, pp.1-8, 2004-08-26

情報システムの機能進化とネットワーク社会への変容の関係について論じる.情報システムが社会環境と相互作用して引き起こされる社会変化をマクロに捉えて分析する.近年の知識情報技術の進歩により,情報システムの機能が自動処理からオートポイエーシスに進化する可能性が高いと考えられる.オートポイエティックな情報システムが機能分化して普及する社会を情報社会と定義する「オートポイエティック情報社会論」を考察枠組みとし,知識情報システムのオートポイエーシス機能への高度化を具体例により検討すると共に,ネットワーク組織等の社会的構造・機能と相互作用して実現するネットワーク社会のメカニズムを考察する.Functional evolutions of information systems are studied in connection with the rise of network societies. A macroscopic point of view is applied to analyze interactions of information systems and social environments which will result in social transformations. Recent progresses in knowledge information technology inspire us to foresee probable functional evolution of automatic information systems into autopoiesis. An autopoietic framework for information society analysis is adopted, which defines information society as a society where autopoietic information systems are widely utilized. Examples of knowledge information systems to realize autopoiesis are discussed, and mechanisms of the rise of network societies are analyzed.
著者
森 哲 戸田 光彦 門脇 正史 森口 一
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬虫両棲類学雑誌 (ISSN:02853191)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.107-115, 1992-06-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
42
被引用文献数
5

シマヘビ,アオダイショウ,および,ヤマカガシは直射日光により体温を上げて餌を探しまわる昼行性の捕食者であることがこれまで報告されているが,今回,モリアオガエルの繁殖池で夜間に活動しているのが観察された.これらのヘビの夜間の季節活動のピークは,モリアオガエルの季節活動のピークとよく一致した.観察されたヘビのほとんどは樹の枝上で胴体前部をのばして頭部を幹または下方向に向け静止していた.これらのヘビは下顎または側頭部を幹の表面にぴったりと接していることが多かった.3種のヘビによるモリアオガエルの捕食行動は10例観察された.以上の事実から,これらのヘビは,繁殖期間中に樹の幹を日周活動の通り道に利用しているモリアオガエルを,この位置で“積極的に”待ち伏せしていることが示唆された.ヘビの捕食戦術に影響を与えている要因について考察した.