著者
中里 浩也 大場 孝信 板谷 徹丸
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.1-10, 1996 (Released:2006-12-13)
参考文献数
14
被引用文献数
6 8

The geology and K-Ar geochronology of the Gassan volcano in Northeast Japan were carried out to establish the volcanic history.     This volcano is belonging to the Chokai volcanic zone, and composed of several volcanic edifices. On the basis of the field geology and K-Ar dating of the ejecta, the volcanic history is divided into five stages;      Stage I (0.88 Ma): the Amamoriyama was formed by dacite volcanism. The dacite lava is composed with hypersthene, augite, hornblende, biotite and quartz phenocrysts.     Stage II (0.7 Ma): The Yudonosan, which is composed of a stratovolcano and two lava domes of mainly dacite lava and pyroclastics.     Stage III: The volcanism occurred in the north of the Yudonosan. The dacite lava and pyroclastics covered on the basements in the caldera and the lower Yudonosan lava in the Ishihane river.     Stage IV (younger than 0.6 Ma): The volcanism of the major stratovolcanoes of central Gassan, the Waratahageyama and the Ubagatake, which are composed of lavas and pyroclastics. The rocks are calc-alkali andesite containing hypersthene, augite, sometimes a small amount of olivine and rarely hornblende.     Stage V: The collapse of the northwestern half of Gassan stratovolcano, caused the formation of a horseshoe-shaped caldera and dry avalanche deposits.     The rocks of the Gassan volcano are divided into two groups, dacite and andesite in their temporal as spatial distributions.
著者
大場 孝信 宮川 建二
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.359-367, 2001-10

最近,稔合学習の実施にともない野外観察が再び重要となってきた。しかし多くの高校では,地学の授業がなく,また受けたとしても実物をみたことがない,暗記するだけの授業が多かった。このため多くの中学校,小学校の教師にとって野外で大地の変動や岩石の説明をすることは難しい。一般的に知られている花崗岩も地域により,色,鉱物の量,鉱物の大きさなどが違っているため,花崗岩と思わない場合もある。このため多くの中学校,小学校の教師が間違った認識をもっていることがある。これらの間違いを少なくするため,登山の途中で見られる岩石を使って教育現場で使える岩石や火山についての自然観寮を考える観察路を開拓した。
著者
富田 克利 上野 孝幸 河野 元治 三浦 英樹 北村 良介 大場 孝信
出版者
日本粘土学会
雑誌
粘土科学 (ISSN:04706455)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, 2003-03-28

第38次南極地域観測隊(1996-1997)によって採取されたリーセルラルセン山地域の地表から140cmの深さまでの試料について,粘土鉱物学的研究を行った.本研究では,粘土鉱物の種類や性質について,垂直的な変化や,風化の違いによる平面的な変化があるかを考察した.
著者
渡辺 隆 大場 孝信
出版者
上越教育大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

鉱物の組み合わせや鉱物の組成は温度や圧力などの物理条件が一定の時は母岩の組成に支配されることが良く知られているが、混合層鉱物の生成を母岩の化学組成との関係で考察されたものがほとんどない。これに関係するいくつかの研究があるが、世界の泥岩中の続成作用でできたイライト/スメクタイト混合層の化学組成や層電荷は、比較的良く似ていると述べている。このことは、世界の砕屑性堆積物の化学組成が似ており、そこからできるイライト/スメクタイト混合層の化学組成が似ていること示している。また、SiO2活性度がイライト化に関係があると報告している。これまでの研究で我々も、同じ層準で泥岩中のスメクタイトの方が砂岩中のスメクタイトよりイライト化がわずかに速いことを確認した。しかしながら、東頚城ボーリング試料を見るかぎり、砂岩と泥岩のSiO2量に違いはみられない。Altaner(1986)は、K-長石からのKの溶脱は、イライト化にともなうKのスメクタイトへの固定に比べ、はるかに大きいことを報告している。このことも、堆積物の粒子の大きさより鉱物の組み合わせが重要である事を示唆する。これらの結果と本研究の結果から考えると、新潟平野ボーリング試料と東頚城ボーリング試料の化学組成の違いは小さく、イライト化に重大な影響を与えていないように見える。深度増加にともなう温度の増加と、反応が進む継続時間の方が、イライト化進行にとって重要だと考えられる。また、東頚城ボーリング試料の砂岩と泥岩の化学組成はほとんど同じことから、砂岩と泥岩にイライト化進行の違いを認めるとするなら、源岩の化学組成の違いでない別の要因を考える必要がある。このため、スメクタイトからイライト化にともないKの供給物として、K-長石、火山ガラスや黒雲母の表面がどのように溶脱していくのかを詳細に検討をする必要がある。