著者
本郷 美奈子 大島 郁葉 清水 栄司 桑原 斉 大渓 俊幸
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

成人の高機能自閉スペクトラム症(High-functioning Autism spectrum disorder:HF-ASD)者 は「自分は異端である」などのスティグマを持ちやすく,そのため定型発達者の社会に過剰適応する「社会的カモフラージュ行動」を取りやすいが,その行動はメンタルヘルスに負の影響をもたらすことが指摘されている.本研究では,成人のHF-ASD者の社会的カモフラージュ行動の要因について解明する.その知見をもとに,成人のHF-ASD者に対する新たな対処方略の構築を目的とした認知行動療法を開発・施行し,その効果を検証する.
著者
大島 郁葉
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、スキーマ療法の概念である早期不適応的スキーマと発達障害(自閉症スペクトラム障害)の関連性を調べ、認知行動療法の効果を検討した。媒介分析を行った結果、早期不適応的スキーマが媒介すると成人の自閉症スペクトラム障害のメンタルヘルスが損なわれることがわかった。したがって、成人の自閉症スペクトラム障害には早期不適応的スキーマの介入がターゲットとなりうることが示唆された。
著者
永岡 麻貴 大島 郁葉 平野 好幸 中川 彰子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

強迫症の治療には,暴露反応妨害法を含む認知行動療法が有効である。しかし,認知機能の低下や自閉スペクトラム症の併存や、それに伴う実行機能の低下が、認知行動療法の治療効果に影響を与えている可能性がある。強迫症の治療効果に影響を与える要因を調査した結果、実行機能の機能の一部である作業記憶と、自閉スペクトラム症の特性を示すコミュニケーション能力の低下が、強迫症の認知行動療法に対する効果を低下させる可能性が示され、自閉スペクトラム症を併存する強迫症の実行機能に着目した心理プログラムを開発の助けとなる知見を得た。
著者
大島 郁葉
出版者
大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
雑誌
子どものこころと脳の発達 (ISSN:21851417)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.55-61, 2020 (Released:2020-09-24)
参考文献数
22

自閉スペクトラム症の(ASD)の正しい理解に基づく対処スキルの向上を目的とした介入は乏しい.我々は先行研究を基に「児童思春期の高機能ASD者とその保護者を対象とした認知行動療法(CBT)を用いたASDの心理教育プログラム(Aware and Care for my Autistic Traits: ACAT)」を開発した.本研究はACATの有効性を多施設型ランダム化比較試験によって明らかにする.48名の参加者を24名ずつACAT群および通常治療群に割り付け,ACAT群は,通常治療(通院精神療法)に加え週1回100分のセッションを6週間,10週目にフォローアップセッションを受けた.両群間に対し,効果指標の変化量の比較を行う.主要評価はAutism Knowledge Questionnaireである.本研究は児童思春期のASD者に対するエビデンスに基づく治療戦略に貢献するものと期待される.