- 著者
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大戸 安弘
梅村 佳代
川村 肇
木村 政伸
天野 晴子
八鍬 友広
- 出版者
- 筑波大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2002
本研究は概ね以下の三つの方向で行われ、それぞれにおいて一定の成果を収めたということができる。(1)古文書資料合同調査、(2)刊本資料分担髑査、(3)視点別個別研究調査の三っである。このうち中心となったのは(1)と (2)であるが、(3)についても、本格的な展開は今後を待たねばならないとはいえ、注目すべき成果を得ている。(1)の目的は、前近代日本における識字状況を解明するために、民衆の花押(白署)をともなう資料、たとえば、人別帳・起請文・村掟・契約書などを収集することにある。2002年8月から2005年11月にわたって、各地の歴史資料所蔵機関を訪問し、花押を有する原文書ないしはその複製資料を調査し収築した。花押を有する資料は概ね17世紀以前のものであり、貴重資料に属するものが多い。報告書に掲載した資料は、すべてこの調査によって収集されたものの一部であり、識字資料としての花押原型が磯認できるよう、有力な資料を可能な限り採録した。(2)の目的は、公刊されている諸文献のなかに、花押を有する有力な資料、とくに民衆の花押を有する資料を確認することにある。それらのなかには、短期間で原文書を確認することが困難であったり、あるいはすでに原文書が滅失したりしているものも少なくない。「平安遺文」「鎌倉遺文」などの綱羅的資料群、各県で編纂されている自治体史を分担して調査し、数多くの資料を収集した。(3)は、調査結果によりながら、職業・宗教・女性・地域・学問・花押と印章などの観点から、研究代表および各研究分担者において個別に研究を深めた成果である。