著者
大木 幹文
出版者
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌 (ISSN:21880077)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.176-179, 2020-11-20 (Released:2020-11-20)
参考文献数
16

アレルギーの治療の現状は内服薬が中心であるが,症状を和らげるには日常の局所管理が必要である.アレルギー性鼻炎の局所療法は点鼻療法が中心であるが,液体製剤では薬液が鼻腔底に多く沈着する恐れがある.そのため,液だれの少ないエアロゾル粒子を用いたネブライザー療法の検討もされ,保険適用には急性副鼻腔炎のみならずアレルギー性鼻炎も掲載されている.使用する薬剤は血管収縮薬とステロイド薬であり,日常診療では局所症状の改善と自己管理を補完する役割がある.将来,ネブライザーの特性を活かす目的で喘息用に開発された携帯型メッシュ式ネブライザーの応用も待たれる.鼻処置の意義は生体の生理学的・病理学的変化に対して恒常性の維持を目指す重要な役割を担っている.適切な診療方針を立てることが望まれる.
著者
大木幹文
雑誌
JOHNS
巻号頁・発行日
vol.12, pp.659-662, 1996
被引用文献数
2
著者
大越 俊夫 大木 幹文 持木 茂樹
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
no.49, pp.51-56, 2006

ネブライザー溶液の汚染・感染について検討したので報告する。<BR>ネブライザーの薬液汚染の原因は, (1) 薬液作製時・保管時の汚染, (2) 吸気および外部ホース, 内部ホースなどネブライザー機器の汚染によるもの, (3) 患者からの逆流による汚染が考えられる。<BR>超音波ネブライザー1台, 大型薬液内蔵型ジェットネブライザー2台について検討した。<BR>その結果, <BR>1. 作製時の薬液は3施設とも細菌は認められなかった<BR>2. 使用前では大型薬液内蔵式ジェットネブライザー, 超音波ネブライザーともに溶液作製時および空打ち後の検査でも細菌は認められなかった。<BR>3. 大型薬液内蔵式ジェットネブライザーにおいて患者使用後の外部チューブ, 内部チューブ, 薬液槽とも細菌は検出されなかった。<BR>4. 超音波ネブライザーにおいて患者使用後の外部チューブから細菌は検出されなかったが, 薬液槽残液からブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌が検出された。
著者
大木 幹文
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
雑誌
耳鼻咽喉科免疫アレルギー (ISSN:09130691)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-6, 2015 (Released:2015-03-25)
参考文献数
21

鼻アレルギーに対する局所療法には鼻腔洗浄法,点鼻液滴下療法,定量噴霧器噴霧療法,ネブライザー療法などがある。鼻洗浄は抗原の回避の意味合いがある。薬液治療法はまず薬液を直接点鼻する方法から始まった。ステロイド療法をコントローラとして考えると初期のベータメタゾン点鼻薬は,血中コーチゾール値が高値になることがある。フロンガスを用いた定量噴霧器が開発されたが,オゾン層破壊の危険のため使用が禁止となり,定量液体スプレーが現在は主体となっている。しかしながら,鼻粘膜への刺激や,液漏れという副作用も認められる。ドラッグディバリーの観点から,欧米ではエアロゾル化を見直した脱フロンの噴霧液が多く市販される様になり,鼻粘膜の吸着も広範囲に均一となる。また,抗ヒスタミン薬とステロイド薬の合剤による噴霧器もその有用性が検討されてきている。本邦においても内服薬のみでは無く局所薬の有益性の検討をさらに進めるべきである。
著者
大久保 仁 渡辺 勇 石川 紀彦 渋沢 三伸 石田 博義 大柿 徹 大木 幹文 羽成 敬一
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.495-499, 1985

The Eustachian tube opens and closes in response to swallowing movements. Sonotubometry records these opening and closing movements as changes in sound pressure. Moreover, it shows that the timing of the opening and closing of the Eustachian tube varies with the material swallowed (saliva, Barium, liquid, etc.) even in healthy adults. These differences effect the interpretation of the test results. We considered that the soft palate might have some relationship to nasal closure when the nasopharynx is closed in response to swallowing movements.<br>Since the contribution of the soft palate to nasopharyngeal closing can be estimated by observing pressure changes, its relationship to the tubal opening and closing time was examined by combining various swallowing movements with sonotubometry during Toynbee's maneuver. It was found that the incease in intranasal pressure during saliva swallowing was lower than that during liquid swallowing; however, its decrease was greater. This may indicate that the soft palate is moved more voluntarily during swallowing behavior which requires an increased negative pressure of the pharynx. It was further estimated that the movement of various muscular groups involved in the tubal opening may also be activated, ultimately providing more positive results sonotubometry.