著者
大村 華子
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.26-42, 2011 (Released:2017-07-03)
参考文献数
70

政治代表をめぐる実証分析は,1980年代後半にアメリカ政治に関する一国研究として本格的に始動したが,2000年以降は多国間比較研究として,ヨーロッパ諸国を対象としながら研究が進展しつつある。本稿は,そうした有権者と政府・政党間の応答関係をめぐるマクロ次元での比較分析が発展してきた経緯を,その分析対象国の拡張,分析内容の変化,そして方法論上の深化に注目しながらリヴューするものである。またそうした比較研究において,日本の事例は分析に組み込まれてこなかった。本稿では,その理由の考察に加え,関連のマクロ次元での日本政治分析の動向を整理しながら,日本政治における有権者と政府・政党の連関を今後の比較分析に取り込んでいく意義や,応用上の課題について論じる。
著者
福元 健太郎 前田 幸男 飯田 健 大村 華子 籠谷 公司
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は、国内外の政治的・経済的な出来事が内閣支持率に対して複雑な影響を与えることを明らかにした。この影響は、時期によって大きく異なることはなかった。また、韓国と北朝鮮に関する報道がそれらの国々に対する好き嫌いの度合いに影響すること、経済に関する報道が内閣支持率に影響することも明らかとなった。さらには、各個人が内閣を支持する確率は収斂することが明らかとなった。これは、内閣が存続すればするほど、情報が行き渡るためである。
著者
大村 華子
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.104-119, 2011 (Released:2017-06-12)
参考文献数
39

本稿は,戦後日本政治において,政党の政策が世論の変化に連動してきたのか,そして世論に従って政策を変更する政党は選挙に強かったのかという,2つの密接に関連した問いを分析する。分析に際しては,各国の政党の政策公約を数量化した「マニフェスト国際比較プロジェクト(CMP)」のデータを用いることによって,日本の政党の政策位置を指標化し,世論の変動に関しては,内閣府による「国民生活に関する世論調査」のデータを使用して有権者の特定の政策分野に関する期待を操作化した。経済政策分野と外交政策分野の分析を通して,戦後日本の各政党は,(i)世論の動向に配慮して政策を決定してきたこと,(ii)世論に配慮することで政党の選挙パフォーマンスが向上することの2点が明らかになった。
著者
大村 華子
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、どういった国内外の要因が、国家の限りある予算を安全保障と社会保 障する際に影響を与えているのかを明らかにすることを目的に進められた。分析の結果、議会で左派が多く、選挙制度が比例代表制であるほど社会保障費の割合は高まり、そうではない場合に、安全保障費の割合が高まることが明らかになった。研究の成果は、2012 年3 月には海外査読誌への投稿し、査読を受けているところである。