著者
貝羽 義浩 大橋 洋一 佐藤 馨 佐藤 博子
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.987-990, 2016 (Released:2016-10-31)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

患者は80歳,男性.腹部大動脈瘤手術後に生じた腹壁瘢痕ヘルニアに対して,メッシュを6箇所の非吸収糸による筋膜固定と金属製コイル式タックで固定する腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア修復術を施行した.その約2年後,腹部の発赤・発熱が出現し,メッシュ感染による腹壁膿瘍の診断で入院した.膿瘍をドレナージした後,膿瘍腔を造影すると小腸と交通していたため,開腹手術を施行した.開腹所見では,メッシュの辺縁部の金属製コイル式タックが小腸と強固に癒着し穿通していた.メッシュ,膿瘍腔,癒着腸管を切除し,腸管を再建した.術後は創感染を認めたが,軽快し退院となった.腹腔内での金属製コイル式タックの使用は,金属の一部が腹腔内に突出して腸管が癒着,穿通しメッシュ感染の原因となることがあるため,吸収性タックなど金属製コイル式タック以外の固定具を用いるべきと考えられた.
著者
大橋洋一著
出版者
有斐閣
巻号頁・発行日
2017
著者
大橋 洋一
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、大規模災害時における警報・避難に関して比較法研究を進めた。災害対策基本法を始めとして、大規模災害時における住民避難や避難勧告等に関する法令や条例を精査した。わが国では、避難所設置や自宅から避難所への避難が主要な方策とされてきた。しかし、これは十分ではない。その理由は、そうした避難に十分な時間的余裕がない場合が見られるからである。他方、市町村長にとって、迅速に避難勧告や避難指示を発令することは容易ではない。したがって、市長が早く判断を下すことができ、市民が適切な避難行動をとることができるように、市町村は明確な判断基準を策定すべきである。結論として、災害対策基本法の改正が必要である。
著者
平石 貴樹 高橋 和久 大橋 洋一 柴田 元幸
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の基本的目的は英米圏文化における映画と文学との相互作用をその界面において考究すべく、電子化された映画映像と電子化された文学テクストを利用することであった。だが同時に利用できる電子媒体が、真摯な文化研究計画にとっては、十分に活用できない不備なものであったり、研究にふさわしくないものも多く、自らデータベースを立ち上げる必要に迫られ、その作業に着手した。利用可能でその有効性が飛躍的に高まるようなデーターベースの構築を進めると同時に、文学と映画をオリジナルとアダプテーションという観点から捉え、その関係を、境界画定と境界破壊の両面から考察することになった。計画は両面あり、ひとつは材料を限りなく収集し、電子化しデータベース化する作業、いまひとつは理論的考察によって文学文化における映画の意味、文学と映画の相互作用などを考える準備として、文学の映画化作品との関係を考慮することであった。最終結果としてのデーターベースの完成(このようなデータベースは完全なものはありえないが)を見なかったが、作業は継続している。理論的考察としては、オリジナルとアダプテーションとの関係が明確ではなくなるという難題に直面した。これは現代の複製文化から翻案文化すべてに共通する大きな問題で、文学と映画と載然と二分化することを困難にする理論的難題であって、完全な解決などありえないが、この問題を契機にさまざまな思考や理論を考案することになった。文学と映画との関係は英米圏文化では、従来考えられていた以上の予測不可能な多様な関係を形成していることが確認され、また両者の関係は他の社会的文化的分野に波及しており、この研究は文化研究からさらに教育の場においても有効であることも確認できた。