- 著者
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大武 由之
- 出版者
- 公益社団法人 日本畜産学会
- 雑誌
- 日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.12, pp.797-803, 1982-12-25 (Released:2008-03-10)
- 参考文献数
- 25
黒毛和種の去勢牛からの撓骨,〓骨および肋骨の各3点,食肉工場で豚枝肉から取り除いた上腕骨,大腿骨,肩甲骨,腰椎および肋骨の各3点,計24点の試料から,それぞれ骨髄脂質を抽出して試験に供した.試験した牛および豚の骨髄脂質は,ほとんど中性脂質から成っていた.牛骨髄脂質のおもな脂肪酸はC16:0,C16:1,C18:0およびC18:1で,とくにC18:1に富み,撓骨と〓骨のC18:0含量の少ないことが注目された.撓骨と〓骨との脂肪酸組成は類似していたが,肋骨は撓骨や〓骨に比べて,中性脂質ならびにリン脂質のいずれにおいてもC18:0が多くC18:1が少なかった.豚骨髄脂質のおもな脂肪酸はC16:0,C18:0,C18:1およびC18:2であって,中性脂質にあっても,リン脂質にあっても,解剖学的部位がちがっていても,それらの脂肪酸組域は比較的類似していた.概して,骨髄のリン脂質は中性脂質に比べてC16:1とC18:1が少なく,C20:3,C20:4,C22:5やC22:6などの多価不飽和脂肪酸が多かった.また,牛の骨髄脂質は豚の骨髄脂質よりもC16:1,,C18:1および飽和脂肪酸が多く,C16:0とC18:2が少なかった.牛骨髄のトリアシルグリセロール(TG)は,C16:0とC18:0は1-位置に多く結合し,C18:1は2-および3-位置に多く,C18:2は2-位置に多く存在していた.その結果,橈骨と〓骨とのTGの2-および3-位置は,90%近くが不飽和脂肪酸から成っていた.豚骨髄脂質ではC14:0,C16:0およびC16:1は,2-位置に多く結合し,一方C18:1は1-と3-位置に多く,C18:2もC18:1に似て1-と3-位置に多く存在していた.それらの結果,牛骨髄脂質とは対照的に,豚骨髄のTGでは2-位置は大部分飽和酸で占められ,3-位置は大部分不飽和酸で占められている.