- 著者
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大江 修造
横山 公彦
中村 正一
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
- 巻号頁・発行日
- vol.72, no.1, pp.313-316, 1969-01-05 (Released:2011-09-02)
- 参考文献数
- 8
- 被引用文献数
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8
イソプロピルアルコール(IPA)と水とは共沸混合物を形成し,その共沸点は69.0mol%であるので通常の蒸留によっては,69.0mol%以上にIPAを濃縮することは不可能である。したがって,純度の高いIPAを得るために,ベンゼン等をエントレーナとした共沸蒸留法が現今では採用されている。一方,アルコール類の水溶液に塩,例えば塩化カルシウム等を添加すると,共沸点が消滅することが報告されている。よって塩を添加剤として蒸留を行なえば,やはり純度の高いアルコールが得られるはずである。本報では,この点に着目し,IPA-水系に塩化カルシウムを添加し,まずその気液平衡関係を測定し,そのデータにもとづいて単蒸留によりIPAと水との分離濃縮を試みた。Othmer型平衡蒸留器により,塩化カルシウムをIPA水溶液1000gに対し,0.4,0.8,1.2,2.0,3.2,4.8molの割合で添加し,さらに飽和に溶解させた,おのおのの場合にっき気液平衡関係を大気圧下で測定した。その結果,共沸点は消滅し,塩飽和の場合は,IPA約1~63mol%の液相組成範囲で2液相を形成し,そのとき,91.3mol%のIPA蒸気を発生する。重量でIPA1に対して水1の溶液に塩化カルシウムを42.8%添加し,大気圧下で単蒸留を行なったところ,留出液の純度は96.3wt%,回収率は99.5%であった。