著者
大河内 勇 大川畑 修 倉品 伸子
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.125-129, 2001-05-16
被引用文献数
3

道路側溝への両生類の転落死は両生類減少の一因として問題とされている。それを防止するために, 簡易な後付けスロープ型脱出装置をつけた場合の効果, 脱出装置の改良方法を調べた。スロープ型脱出装置をつけた場合, アズマヒキガエルでは側溝からの脱出数が多くなるという効果がみられたが, ニホンアカガエルでは装置がなくともジャンプによる脱出が可能なため効果はわからなかった。脱出装置は, 一部の種とはいえ効果があるので, 道路側溝につけるべきである。移動力の弱いアズマヒキガエルの幼体を用いた脱出装置の改良実験では壁面の角度が30度以下になると, 壁面が乾燥条件でも全個体脱出できた。これらから, 100%脱出可能な側溝は, 角度が30度より浅いV字溝になることを示した。
著者
大河内 勇 大川畑 修 倉品 伸子
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.125-129, 2001-05-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
15
被引用文献数
2

道路側溝への両生類の転落死は両生類減少の一因として問題とされている。それを防止するために, 簡易な後付けスロープ型脱出装置をつけた場合の効果, 脱出装置の改良方法を調べた。スロープ型脱出装置をつけた場合, アズマヒキガエルでは側溝からの脱出数が多くなるという効果がみられたが, ニホンアカガエルでは装置がなくともジャンプによる脱出が可能なため効果はわからなかった。脱出装置は, 一部の種とはいえ効果があるので, 道路側溝につけるべきである。移動力の弱いアズマヒキガエルの幼体を用いた脱出装置の改良実験では壁面の角度が30度以下になると, 壁面が乾燥条件でも全個体脱出できた。これらから, 100%脱出可能な側溝は, 角度が30度より浅いV字溝になることを示した。
著者
大河内 勇 吉村 真由美 安部 哲人 加賀谷 悦子
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.796, 2005 (Released:2005-03-17)

小笠原諸島では、近年昆虫類が固有種を中心に急速に減少しており、減少の時期と、減少の及んでいる地理的範囲、及び減少している種の生態が、1960年代以降侵入して拡がった北米からの外来種グリーンアノールAnolis carolinensis(爬虫類、有鱗目)と一致することから、グリーンアノールが主要な減少要因と影響と考えられている。グリーンアノールの影響は単に固有種の減少にとどまらず、生態系にひろく浸透している。例えばこれまでに本種が小笠原の固有のハナバチを激減させ、花粉媒介のシステムを劇的に変えてしまったことがわかっている。 本報告では、これに加え、二つの生態的影響を報告する。一つ目は、グリーンアノール自身が花粉の媒介者となる可能性である。昼行性のトカゲ類が花粉媒介を行うことは、インド洋、太平洋の熱帯の島々では知られている。その理由として、トカゲ類の密度が高く、天敵が少なく、餌不足になることが挙げられている。この点について、グリーンアノールの密度との関連で報告する。 二点目はやはり外来のマツノザイセンチュウ病との関係を報告する。小笠原には戦前に外来のリュウキュウマツが導入された、全島を覆ったが、1970年代に侵入したマツノザイセンチュウ病で急速な松枯れが始まった。しかし、いかなる防除もしていないのに、松枯れは数年で終息、いまや激減してリュウキュウマツが復活しつつある。これも外来種でマツノザイセンチュウの媒介者、マツノマダラカミキリがグリーンアノールに激減させられているためと考えられる。
著者
牧野 俊一 後藤 秀章 岡部 貴美子 井上 大成 大河内 勇
出版者
Forestry and Forest Products Research Institute
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.121-128, 2021 (Released:2021-11-09)
参考文献数
17

茨城県北部の、林齢が異なる天然広葉樹二次林10か所(林齢1~178年)と、スギ人工林8か所(3~76年)においてマレーズトラップを用いた有剣ハチ類の採集を4~11月に行った。広葉樹二次林系列では1年間で合計12科167種3605個体、スギ林系列では11科136種2645個体が得られた。種数が最も多かったのはギングチバチ科で、クモバチ科がそれに次いだが、個体数ではクモバチ科がどの林分でも最も多かった。有剣ハチ類全体の種数と個体数は、広葉樹二次林系列、スギ人工林系列ともに林齢3~4年の林分で最多で、いずれにおいても林齢とともに減少した。有剣ハチ類の多くは若齢林分を好んで出現したが、より林齢の高い林分に偏って出現する種も見られた。
著者
大河内 勇 大川畑 修 倉品 伸子
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.125-129, 2001

道路側溝への両生類の転落死は両生類減少の一因として問題とされている。それを防止するために, 簡易な後付けスロープ型脱出装置をつけた場合の効果, 脱出装置の改良方法を調べた。スロープ型脱出装置をつけた場合, アズマヒキガエルでは側溝からの脱出数が多くなるという効果がみられたが, ニホンアカガエルでは装置がなくともジャンプによる脱出が可能なため効果はわからなかった。脱出装置は, 一部の種とはいえ効果があるので, 道路側溝につけるべきである。移動力の弱いアズマヒキガエルの幼体を用いた脱出装置の改良実験では壁面の角度が30度以下になると, 壁面が乾燥条件でも全個体脱出できた。これらから, 100%脱出可能な側溝は, 角度が30度より浅いV字溝になることを示した。