著者
照屋 寛善 宮城 重二 平良 一彦
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.108-115, 1982 (Released:2011-02-25)
参考文献数
9

We have tried to classify the health/medical services administration in Okinawa after World War II into five periods and to describe the trends of major communicable diseases and causes of death for each period. First period (1945-49, the period under the administration of the U.S. Military Government (USMG)): In those days, the major activities of health/medical services for Okinawa Civilians were first, supplying food and second, controlling acute communicable diseases; especially, malaria which was very prevalent. USMG executed an aggressive sanitation program which included DDT spraying. Second period (1950-51, the period during which the USMG administration turned control over to a civil administration): Acute communicable diseases were eradicated by the aggressive sanitation control, but chronic communicable diseases - leprosy, tuberculosis, venereal disease and others became more prevalent. USMG issued many ordinances to affect "control of communicable diseases". USMG especially showed deep concern for controlling venereal disease and established district health centers and began free treatment for venereal disease in these centers. Third period (1952-64, the period of full-scale construction of U.S. Military bases): Markets, crowded houses, slums, so-called red-light districts and other similarly difficult living situations developed around U.S. Military bases with the full-scale construction of the bases, and chronic communicable diseases, especially, tuberculosis were very prevalent in the 1950's and 1960's. However in the 1960's the death rate due to tuberculosis decreased gradually as did the rates for gastroenteritis and pneumonia or bronchitis. On the other hand, the death rate due to adult diseases such as cerebrovascular disease, cancer, heart disease and others increased year by year. Fourth period (1965-71, the period of a great increase in financial and technological aid from the Government of Japan to Okinawa): The period started from the time when the late Prime Minister Mr. Sato made a speech on his visit to Okinawa in 1965 that a medical school should be established in University of the Ryukyus. From that time the financial and technological aid from the Government of Japan to Okinawa was substantial. A vaccination program to fight tuberculosis for health personnel, families of tuberculosis patients, students of the first and second year of junior high school was established in 1966, and consequently the morbidity rate due to tuberculosis decreased year after year. Fifth period (1972-, the period after Japanese laws were applied). After the application of Japanese laws, the condition of health/medical services in Okinawa improved considerably. The mortality and morbidity rates due to adult diseases increased significantly as the rates for communicable diseases declined.
著者
秋山 由美 宮城 重二
出版者
女子栄養大学
雑誌
女子栄養大学紀要 (ISSN:02860511)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.61-67, 2003-12-01

沖縄県の一農村における "ミニデイサービス" 利用者126人について, その健康状態および生活習慣, 食生活の実態に関する調査を行った。その結果は以下のとおりである。1) 対象者の実態 (1)基本的属性 : 家族構成では, 60〜74歳より75歳以上において1世代世帯が多かった。配偶者「あり」の割合は75歳以上で約30%, 60〜74歳で約70%であった。(2)生活習慣 : 起床時間では, 60〜74歳より75歳以上では7時以降に起床する者が多かった。睡眠時間では, 75歳以上で60〜74歳に比較して, 9時間以上の者が多かった。(3)食生活 : 60〜74歳・75歳以上とも, 3食を「毎日食べる」者が9割以上であった。間食は「よくある」者の割合が60〜74歳で約5割, 75歳以上で約4割であった。(4)健康状態 : 「健康である」者の割合は, 60〜74歳・75歳以上では40%台であった。夜間尿回数は75歳以上で2回以上と多かった。2) 生活習慣別健康状態75歳以上において, 就寝時間が24時以降と遅い群ほど自覚症状得点が高かった。3) 食物摂取頻度区分別健康状態60〜74歳において, 蛋白質源食品摂取頻度の高得点群が低得点群より持病数が少なかった。ビタミン・ミネラル源食品摂取頻度では, 高得点群が低得点群に比較して自覚症状得点が低かった。
著者
宮城 重二
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.33-45, 1998-02-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
30
被引用文献数
15 8

首都圏における高校, 専門学校, 短期大学, 大学の女子1,014人について, その肥満度の実態を明らかにし, また, 肥満度と食生活, 健康状態, 体型意識との関係を検討した。更に, 肥満度や健康状態に影響を与える因子についても検討を加えた。その結果は次のとおりであった。1) BMIの平均値は全体で20.4であった。やせ群 (BMI<18) は全体の10.1%, 肥満群 (BMI≧24) は全体の5.6%であった。中間の普通群 (18≦BMI<24) は84.3%であった。2) 朝食を“毎日食べる”者の割合は, 普通群に比べてやせ群では高く (p<0.05), 肥満群では低かった(p<0.01)。食事を“満腹するまで食べる”者の割合は, 普通群に比べてやせ群では低かった (p<0.05)。間食を“よく飲食する”者の割合は, 普通群に比べてやせ群では高かった (p<0.05)。清涼飲料水を“毎日飲む”者の割合は, 普通群に比べてやせ群では高かった (p<0.01)。“元気である”という主観的健康の割合は, 普通群に比べてやせ群でも肥満群でも低かった (p<0.05)。3) 現在の体型を過大評価している者が多く, しかも, 今後の体型意識も強いやせ志向がみられた。体型誤認や過激なダイエットによって健康障害に陥りやすいと考えられる者の推定値は, BMIが18未満のやせ群で約10~20%, 若年女子全体では約1~2%であった。4) 肥満度に影響を与える因子としては, 清涼飲料水が有意な関連を示し, 朝食, 食事量, 間食, 運動には関連が認められなかった。主観的健康に影響を与える因子としては, 朝食, 運動が有意な関連を示し, 肥満度, 食事量, 間食, 清涼飲料水には関連が認められなかった。
著者
野原 真理 宮城 重二
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.849-862, 2009

<b>目的</b>&emsp;本研究では,妊産婦に対する親族サポートの実態を確認し,妊産婦の QOL と親族サポートとの関連性を明らかにする。<br/><b>方法</b>&emsp;都心にある病院産科の母親学級に参加した妊婦362人を対象に自己記入式質問紙を配布し,妊娠後期・生後 1 か月・生後 6 か月(以下妊娠育児 3 時期)に郵送法にて調査した。有効回答を得た151人を解析した。調査内容は,属性,親族サポート,育児,健康状態,QOL である。QOL に関してはオリジナルスケールを使用した。分析方法としては,特に QOL 等の要因分析については,パスモデルによる重回帰分析を行った。<br/><b>結果</b>&emsp;1) 夫のサポートは妊娠育児 3 時期を通して徐々に高まり,親のサポートは生後 1 か月で最も高かった。しかも,親族サポートが夫や親の協働の中で進められていた。<br/>&emsp;2) 親族サポートを 4 類型化し,タイプI(夫・親とも高得点群)の割合は妊娠後期より出産後に増え,逆に,タイプIV(夫・親とも低得点群)は減る。しかも,タイプIではタイプIVに比べて,妊娠育児 3 時期において,育児要因,健康状態,QOL の平均得点が高かった。<br/>&emsp;3) QOL のオリジナルスケールは因子分析をした結果,第 1 因子(心理ポジティブ因子),第 2 因子(物的生活因子),第 3 因子(日常生活因子)が抽出・命名された。<br/>&emsp;4) QOL の 3 因子に対する要因分析の結果,心理ポジティブ因子では,妊娠育児 3 時期を通して,夫サポートが,物的生活因子では,妊娠後期,生後一か月で夫サポートが,日常生活因子では,生後 6 か月に夫サポートが強い影響要因となる。<br/><b>結論</b>&emsp;妊産婦への親族サポートの存在とその意義が実証され,しかも,親族サポートと妊産婦の QOL との関わりが確認された。良好な親族サポートが維持されれば,妊産婦の育児,健康状態,QOL も良好であることが示された。
著者
佐久川 政吉 大湾 明美 宮城 重二
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.65-69, 2010-03
被引用文献数
1

自己決定や権利擁護など、当事者主体のケアが求められている今日、強さや長所を意味する「ストレングス」の概念を整理し、高齢者ケアの実践と研究に活かしていくことは重要である。本研究の目的は、高齢者ケアの実践と研究にストレングスを用いるために、ストレングスの概念を整理することである。ストレングスの定義は、人間の持つポジティブな面を現わし、構成要素は、「本人」だけでなく周りの「環境」も含めて捉えていた。実践研究において、ストレングスの概念やモデルを用いているが、操作的定義が曖昧であり、研究対象者の実態に基づいているのかについては、吟味が必要であった。今後、ストレングスを高齢者ケアの実践に活かすためには、個人と環境の構成要素について、丁寧にアセスメントを行い、ストレングスを導くことが必要である。また、研究においては、概念を操作的に定義し、構成要素を対象の特性に合わせて焦点化して用いることが求められる。
著者
平良 一彦 松崎 俊久 宮城 重二 佐藤 弘明 名嘉 幸一 崎原 盛造
出版者
琉球大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

本研究の最終年次の追求課題は、調査地域(大宜味村)の老人の精神心理的側面の特徴、各種指標と加齢との関連性、死亡構造の特徴、児童・生徒の健康像を明らかにすることであった。調査はおおむね順調にすすめられ、成績は以下のごとく要約される。1.調査地域の老人のモラ-ルに関する要因についての調査結果から(1)男性ではADL障害の有無、女性では健康度自己評価が、モラ-ルに大きな影響を及ぼす。(2)対人関係の依存パタ-ンの分析結果から、男性は子供・配偶者が重要であり、女性は友人関係であった。このことから特に女性老人の場合、家族以外の人と親密な関係をもつことがモラ-ルを高める大きな要因となることが示唆された。2.調査地域の過去10年の集検の成績より(1)身長は男女共に年齢とともに低下し、特に女性では顕著であった。(2)体重は男女共に加齢による減少は見られず、女性の40歳、50歳代では逆に増加していた。(3)血圧は収縮期血圧は加齢とともに上昇傾向を示し、拡張期血圧は40歳代では上昇し、逆に50歳以降は加齢とともに減少傾向を示した。3.調査地域住民の過去10年間の死亡の特徴は、男性が女性よりかなり高く、70歳代まで有意差が見られた。また死因の特徴は男性では40歳〜69歳、70歳以上の両群で悪性新生物が多く、女性では40歳〜69歳で多かった悪性新生物が、70歳以上では特に少なかった。4.小・中・高校生を対象とした検診成績から成人病予防の観点から何らかの指導・管理を要すると思われる者が15%程みられた。血液生化学値を肥満度別に検討した結果、性、年齢を問わず肥満群は非肥満群に比べ、高血圧、高脂血症などの成人病発生のリスクが高いことが示唆された。