- 著者
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吉田 満梨
二宮 麻里
三井 雄一
大田 康博
- 出版者
- 日本マーケティング学会
- 雑誌
- マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.2, pp.30-41, 2023-09-29 (Released:2023-09-29)
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
-
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先行研究では,起業家の機会認識や目的達成の動機が,起業の行動や成果に影響を与えることが指摘されてきた。一方で,起業家がスタートアップの起業,成長,株式上場(IPO)といった目的を,どのようなプロセスを経て形成するのかは,十分に議論されてこなかった重要な研究課題である。本研究では,2004年3月に福岡市で創業し,2022年6月に東証グロース市場への上場を果たした,株式会社ヌーラボの事例研究を通じて,この課題に答えることを目的としている。分析の結果,ヌーラボの起業,成長,上場という新たな目的が見出された3つのフェーズにおいて,自発的パートナーとのコラボレーションの結果として新たな目的が形成される一貫したパターンが確認された。最後に,理論的示唆と実践的示唆を議論する。