著者
南崎 信樹 桜井 千里 栗原 千佳子 大竹 徹 宮下 元 長谷川 紘司
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.681-688, 1990-06-28 (Released:2010-11-29)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本実験では, 歯肉縁上のプラークコントロールとポケット内洗浄が歯肉縁下細菌叢や臨床的な各指数に及ぼす影響を検討した。被験者は9人の成人型歯周炎患者を用いた。各々の患者から5mmの歯周ポケットを選択して, 実験に供した。細菌数の検査は, 位相差顕微鏡を用いてスピロヘータ数, 総細菌数を算定した。臨床的には, PL-I, GI , Probing PocketDepthを計測した。診査時期は0, 2, 4週目に行なった。歯肉縁上のプラークコントロールはスクラッビング法によるブラッシングと歯問ブラシやフロスを徹底させた。また, 実験群には1週間に2回Perio-Pik ® によるポケット内洗浄を行なった。その結果, 歯肉縁上プラークコントロールが良好にできた群と, ポケット内洗浄を行なった群ではポヶット内の総細菌数, スピロヘータ数とGIを除いた臨床的な診査項目において, 初診時と比較して著明な減少をしていた。さらに, ポケット内洗浄は歯肉縁下の細菌叢を洗い流していること, また歯肉縁上のプラークコントロールとポケット内洗浄の併用効果も示唆された。
著者
山崎 謙治 大竹 徹
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.117-121, 2005
被引用文献数
1

2003年4月から2004年7月の間に大阪府下の医療機関で採取されたエンテロウイルス (EV) 感染症の可能性のある患者860名 (996検体) から, ウイルス分離および, viral protein1領域を増幅するRTPCRによるウイルス遺伝子の検出を行った.両法を合わせた臨床材料別のウイルス陽性率は糞便48.2%, 咽頭拭い液38.3%, 髄液18.0%であった.診断名別の陽性率ではヘルパンギーナが44.7%と最も高かったが, 脳炎は13.4%と最も低い検出率であった.全検体からの分離によるウイルス陽性率は15.6%, RT-PCRによる陽性率は22.3~24.7%であり, 両法を合わせたウイルス陽性率は29.8%であった.viral protein1領域のRT-PCR法によるEVの検出は, 分離法よりも迅速であり, さらにコクサッキーA群ウイルスの検出に優れていたことから, ヘルパンギーナの診断には非常に有用な方法であると思われた.
著者
奥田 亮 赤堀 匠 大竹 徹
出版者
松江市立病院
雑誌
松江市立病院医学雑誌 (ISSN:13430866)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.75-78, 2015 (Released:2019-07-11)
参考文献数
5

現在では稀となった中毒にメタノール中毒がある.メタノール中毒ではその代謝産物であるホルムアルデヒド,ギ酸が主に毒性を発揮するため潜伏期間を経ることが特徴である.入院時,向精神薬の過量服薬による急性薬物中毒の疑いとして入院したが,入院27 時間後に急変し,肺塞栓等の合併症や他の疾患の突然発症などを考慮するも原因を特定できず,当初急変の原因は不明であった.その後,ご家族からの情報提供により本人のインターネット閲覧履歴からメタノール中毒と推察するに至った.メタノール中毒は早期診断が重要となるが,本症例では向精神薬,制吐薬等を重複して服用していたこともあり,早期の診断に至ることができなかった.稀な自殺方法であってもインターネットなどから情報を得ることが可能で,特に周到,詳細な方法までもが記載されていることに注意しておく必要がある.
著者
大竹 徹 桜井 千里 長谷川 紘司 吉江 弘正 大藤 泰人 原 耕二
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.499-507, 1993-09-28
被引用文献数
4

本研究はポケット掻爬後の治療効果の細菌学的判定と,臨床変化との経時的関連を検策する目的で実施した。治療効果の細菌学的判定には,歯周病原菌の酵素活性を利用した迅速診断法であるペリオチェック^[○!R]を用いた。術後の2週目での判定では,歯周ポケットが深いほど,前歯部と臼歯部を比較すると臼歯部ほど,また,根分岐部病変の有無では,根分岐部病変を有する方が,ペリオチェック活性の陽性率が高かった。さらに,術後2週目のペリオチェック判定が陰性,陽性を示した2群間で,18周目までの臨床変化を比較した。2週目でのペリオチェック活性陰性群の方が,陽性群に比べて術後18週の臨床的検査項目において有意な改善が認められた。このことから,ペリオチェック判定による細菌学的検査は術後の歯周組織の将来の臨床的変化を先取りする先行性を有する検査法である可能性が示唆された。