著者
山田 晋也 大竹 正剛 大場 孝裕 山口 亮 大橋 正孝
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物と社会 (ISSN:24240877)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-5, 2013-12-20 (Released:2017-06-16)

We evaluated the stress in deer that were captured using corrals, foot snare traps, grand hunt, and sharp shooting by determining the cortisol and creatine kinase levels. The means of the cortisol levels were 2.5±1.3μg/dL, 11.3±5.3μg/dL, 2.1±2.5μg/dL, and 0.4±0.1μg/dL for deer captured using corrals, foot snare traps, grand hunt, and sharp shooting, respectively. The means of the creatine kinase levels for deer captured using corrals, foot snare traps, grand hunt, and sharp shooting were 93.5±129.1×10^3U/L, 253.6±303.3×10^3U/L, 46.6±70.1×10^3U/L, and 2.6±2.0×10^3U/L, respectively. The means of the cortisol levels of the deer captured using corral, grand hunt, and sharp shooting were significantly lower than that of the deer captured using foot snare traps (p<0.01). The mean of the creatine kinase levels of deer captured using corrals was significantly higher than that of the deer captured using sharp shooting (p<0.01), but was equal to that of the deer captured using foot snare traps and grand hunt.
著者
大場 孝裕 大橋 正孝 山田 晋也 大竹 正剛
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

鳥獣保護法が、鳥獣保護管理法に改正された。増え続けるニホンジカ(以下、シカ)に対しては、個体数削減のための管理、そのための捕獲事業の実施強化と、それを担う事業者制度の導入が明確化された。しかし、従前の銃やわなを用いた捕獲が困難な場所や状況も存在し、無理な捕獲強化は、人身事故の増加や、錯誤捕獲など他の動物への悪影響も懸念される。シカを減らすためには、従来の方法に加え、新たに安全で効率的な捕獲技術の開発が必要と考えた。<br> 反芻動物は、硝酸イオンを摂取すると、第一胃にいる微生物が、これを亜硝酸イオンに還元する。亜硝酸イオンは、血中で酸素運搬を担っているヘモグロビンと反応し、酸素運搬能力のないメトヘモグロビンに変える。進行すると酸素欠乏症に陥り、死に至ることもある。人間など単胃動物の酸性の胃では、亜硝酸イオンは増加しない。<br> シカ飼育個体の胃に硝酸イオンを注入し、致死量を明らかにした後、作成した硝酸塩添加飼料を採食したシカ野生個体の捕獲(致死)に成功した。この硝酸塩経口投与によるシカ捕獲について、インターネット上で行われた意識調査では、実用化すべきとの意見が過半数を占めた。
著者
小野 悦郎 大竹 正剛
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

アフリカ豚コレラ(ASF)や豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)は、多様な抗原性を示すウイルスによる感染症であり、有効なワクチンの開発は極めて困難である。本研究課題では、そのような感染症の新たな制圧方法として、遺伝子改変技術によるAFSおよびPRRS抵抗性ブタの開発を目的に、先ず、CRISPR/Cas9システムを利用して、両ウイルスのレセプター分子であるCD163を本来のスカベンジャー機能は保存し、レセプター機能を削除するゲノム編集により両ウイルスに対する感染抵抗性を付与した細胞株を樹立する。次に、ゲノム編集細胞の核移植による体細胞クローン技術により、ASFおよびPRRS抵抗性MMPを作製することを目的とする。平成29年度は、以下のような成果が得られた。1. ゲノム編集マイクロミニピッグ(MMP)胎仔線維芽細胞(PEF)株の樹立にピューロマイシン耐性遺伝子を含むプラスミドを使用するとプラスミド配列のブタゲノムへの導入が起こり、体細胞クローンを作製するに当たり、予期せぬ副作用が生まれる可能性があったので、プラスミドに変えて、sgRNA、Cas9蛋白およびピューロマイシン抵抗性DNA断片を使用する方法を確立した。2. 1の方法により、抗ウイルス作用が期待される可溶型CD163を発現するゲノム編集MMP PEF株を樹立した。3. PRRSウイルスに対するレセプター活性を有するCD163の5番目のScavenger receptor cysteine-rich (SRCR5)ドメイン内のレセプター活性に重要と考えられるアミノ酸に点変異を導入するためのプラスミドおよびゲノム編集用sgRNAを構築した。4. MMPのPEFのiPS細胞への誘導では、ES細胞様の形態を有する細胞を樹立したが、初期化因子としては、Oct-4AおよびSox2の発現を確認するに留まっている。