著者
柿元 一樹 井上 栄明 伊藤 由香 田代 啓一朗 大野 和朗
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.49-56, 2015-11-28 (Released:2016-04-22)
参考文献数
33
被引用文献数
5

Effectiveness of conservation biological control against the cotton aphid Aphis gossypii Glover was evaluated in okra Abelmoschus esculentus(L.) Moench. fields at Ibusuki, Kagoshima from May to September in 2014. In a field where broad-spectrum insecticides had been applied frequently, natural enemies did not occur and A. gossypii populations increased rapidly in September. On the other hand, in a field where indigenous natural enemies were conserved and enhanced with selective insecticides and insectary plants (barley and sorghum), natural enemies such as aphid parasitoids, ladybird beetles, hoverflies, predatory gall midges, lacewings, and flower bug, occurred and cotton aphids remained at low density, indicating that conservation biological control can be effective against A. gossypii on okra.
著者
大野 和朗 山口 大輔 マリヤナ ニナ 嶽崎 研 嶽本 弘之
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-9, 1999-03-25
被引用文献数
2

マメハモグリバエの幼虫寄生蜂4種6系統について, 増殖効率を明らかにするとともに, 羽化蜂を効率的に回収するためペットボトル容器を用いた羽化蜂回収容器の有効性を検討した.1) 飼育箱に一定数の雌蜂を放飼し, 数百頭の寄主幼虫を与えた場合, 雌蜂あたり次世代数には種間で有意な差は認められなかった.2) しかし, 性比はC. pentheus, D. isaeaおよびH. varicornisで雄に偏り, 雌の割合が低かった.対照的に, N. formosaでは極端に雌に偏り, 雄はわずかであった.3) D. isaea(DI-KGS)の放飼雌数を5, 10, 20頭に変えて約800頭の寄主を供試した場合, 次世代の生産に利用された寄主の割合は20頭供試区でも27%と低く, 寄主体液摂取の対象となった寄主すなわち死亡幼虫の割合は30∿50%と高かった.4) ハモグリミドリヒメコバチN. formosaの産雄性単為生殖系統(NF-KHO)および産雌性単為生殖系統(NF-KGS)の成虫数百頭を飼育箱に維持しながら, 数百頭の寄主を供試した場合, 前者の次世代数は後者の2倍近い値となった.しかし, 前者の性比は雄に偏り, 後者ではほとんどの個体が雌であった.5) ペットボトルを用いた羽化蜂回収容器にはいずれの種も80%以上の個体が試験管に回収されたが, その割合はC. pentheusで有意に低かった.6) 以上の結果から, N. formosaの産雌性単為生殖系統が大量増殖に最も適していると考えられた.
著者
大野 和朗
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

農薬に高度の抵抗性を発達させたアザミウマ類の捕食性天敵であるヒメハナカメムシ類の生存や繁殖にオクラの分泌物である真珠体が重要な働きをすること、露地ナス圃場にオクラを植栽することで、ヒメハナカメムシ類等の天敵ほ働きが安定することを、世界で初めて明らかにした。室内実験により、真珠体そのものは動物質餌と同等の効果はないが、補助的な餌として、動物質餌が少ないとき、天敵の幼虫の体サイズが小さく、餌を捕獲できないときに、天敵の生存を高め、結果的に天敵個体群の持続性の向上につながると考えられた。圃場調査から、ナス上で餌昆虫(アザミウマ)がいなくなっても、ヒメハナカメムシ類の発生は続くことが明らかになった。