著者
大関 真之
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.123, 2022-02-05 (Released:2022-02-05)

学界ニュース2021年ノーベル物理学賞:Giorgio Parisi氏「原子スケールから天体スケールまでの物理系における無秩序と揺らぎの関連の発見」
著者
観山 正道 大関 真之
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
表面と真空 (ISSN:24335835)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.104-111, 2020-03-10 (Released:2020-03-10)
参考文献数
16

We will review the principles and applications of recently developing quantum annealers represented by D-Wave machines, and discuss the applicability to material materials science.
著者
大関 真之 西森 秀稔
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.252-258, 2011-04-05
参考文献数
11

量子アニーリングというのは,量子揺らぎを巧みに利用して最適化問題を解くアルゴリズムである.量子力学を用いて最適化問題の解を与えるような情報処理を行うという意味では,量子計算のひとつの技法ともいえる.実験技術の進歩もあって,このような量子力学的な自由度を制御する研究が理論・実験両面で盛んになっている.量子アニーリングは,量子計算の中でも汎用性という意味において際だった特徴を持つ.量子アニーリングの今とこれからについて紹介していこう.
著者
大関 真之
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.194-201, 2021-04-05 (Released:2021-04-05)
参考文献数
12

機械学習では,入力と出力の関係がよくわからないものに対して,とりあえず自分たちが扱うことのできる簡素な関数を用意する.猫の姿を見て,猫だと認識するのは,入力が画像データであるのに対して,猫だという指摘をする結果をはじき出すのだからよくわからない入出力関係があるのは間違いない.しかしそれをコンピュータが実践できるように扱いがしやすい関数を用意する必要がある.ただし,その関数には変更可能なパラメータを複数含ませておき,できるだけ広い豊富な表現力をもつようにしておく.後で微調整を行い,実際に入力を与えた時に適切な出力が与えられるようにする.関数に変更を加えてなんとか辻褄を合わせるというのは変分法に相当する.変更可能なパラメータ以外にも機械学習では,非線形変換を伴う関数を利用して,その表現能力を増強することができる.ニューラルネットワークが深層化を経て,非常に複雑な非線形変換を獲得するのも,そうした目的があるためだ.非線形変換というのは,ある種の飛躍であり,計算の難しさの象徴として現れる.例えば高校生のときに二次関数まで学んだのちに,三角関数をはじめ,指数関数と対数関数を学び,その豊富な数学の表現力に魅了される.しかし同時にその扱いに厄介さを覚えることもある.ただ慣れてくれば,その扱いもその存在も親しみをもって普段使いをする対象となる.人間というのはなかなか勝手なものである.そうした機械学習の分野で一つ気になる用語が登場しつつある.量子機械学習である.その冠にある量子力学は理解をすんなりと許さない,厄介な対象となる代表例である.交換しない演算子を利用して微視的な自由度の変化を追う際に新しい計算方法や概念を学ぶため,私たちの感覚のアップデートを必要とするというのも大きい.この量子力学は,機械学習とは一切関係のなさそうなものである.しかし人類はそうしたものですら,より豊富な表現力を得るために,機械学習において利用する関数に取り込もうとしている.量子力学では,エネルギーの固有状態を調べるのに,原理的には高次元の行列の対角化を伴い,最終的には数値計算に頼る.また時間発展にしても,ハミルトニアンが指数関数化されて状態ベクトルにかかることにより,そう単純ではない変化を生み出し,やはり数値計算に頼る他なかった.問題設定そのものは単純に行えるとしても単純ではない変化を生み出すのが量子力学の難しさである.しかしこの部分を積極的に利用すれば,機械学習で利用されうる「複雑な非線形変換」を作り出せることが期待される.量子機械学習とはそういう営みであると換言できる.他にもニューラルネットワークでなされる誤差逆伝播法から始まる勾配法による最適化を,運動方程式により駆動される系の変化と捉えれば,その運動方程式をシュレーディンガー方程式に置き換えるなどして量子力学の原理を導入することも考えられる.これも量子機械学習の一つのあり方と言える.こうした自然に量子力学を取り入れようとする発想が出てきた理由は,近年注目される量子コンピュータを始めとして制御可能な量子デバイスの進展があり,実際に動作する量子デバイスを手にしているという現状にある.人類にとって,もはや量子力学は親しみをもって普段使いする対象になりつつあるのだ.
著者
大関 真之
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

最適化問題に関連するスピングラス模型の解析を通じて、Jarzynski等式や揺らぎの定理からなる非平衡関係式による最適化問題の解法を検討・提案した.【平成24年度成果】Masayuki Ohzeki, Phys. Rev. E 86, 061110 (2012), 【平成25年度成果】Akihisa Ichiki and Masayuki Ohzeki, Phys. Rev. E 88, 020101(R) (2013), 【平成26年度成果】Masayuki Ohzeki and Akihisa Ichiki, Phys. Rev. E 92, 012105 (2015)
著者
大関 真之 一木 輝久
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

機械学習アルゴリズムの多くは勾配降下法に基づき、その都度パラメータを更新する。その更新に際して極小の谷に落ち込むことがしばしばある。その回避のために熱揺らぎに相当するガウスノイズを導入する、シミュレーテッドアニーリング法、さらには量子揺らぎを導入する量子アニーリング法が物理学サイドからは提案されている。現在投稿中の論文は、深層学習における量子揺らぎの導入によってもたらされる効果の検証を行ったものである。量子揺らぎの導入により、トンネル効果によって極小の谷を超える効果を期待することはもちろんであるが、有限の量子揺らぎにより、谷の中における谷の形状の探索が可能であることが判明した。この形状の探索により、機械学習アルゴリズムの性能指標として最も重要な汎化性能が向上することが判明した。数値実験として極めて汎用的なオープンデータセットについて検証を行ったところ、良好な汎化性能を獲得した。この汎化性能の起源について、解析的検討を行ったところ、極小の周りの揺らぎをガウス分布の形で取り入れており、MM勾配降下法を採用すると、エントロピー勾配効果法として知られる海外の有力グループの手法を系統的に導出することができた。またこの手法は計算リソースを大半に割くため、MM勾配降下法だけでなく簡易的な手法にする他のタイプの近似を導入する可能性についても検討を行った。特に励起状態への遷移を考慮した離散的ノイズを導入すると、対応するフォッカープランク方程式に補正項が加わり、確率分布の形状による改善効果がもたらされることが判明した。この成果も突如得られたものであるため、最終年度である次年度に出版をする予定である。
著者
大関 真之 西森 秀稔
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.252-258, 2011-04-05 (Released:2018-08-14)
参考文献数
11
被引用文献数
2

量子アニーリングというのは,量子揺らぎを巧みに利用して最適化問題を解くアルゴリズムである.量子力学を用いて最適化問題の解を与えるような情報処理を行うという意味では,量子計算のひとつの技法ともいえる.実験技術の進歩もあって,このような量子力学的な自由度を制御する研究が理論・実験両面で盛んになっている.量子アニーリングは,量子計算の中でも汎用性という意味において際だった特徴を持つ.量子アニーリングの今とこれからについて紹介していこう.
著者
田中 利幸 池田 思朗 大関 真之
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

医学班や天文班などと協力して,圧縮センシングを活用して,MRIや超長基線電波干渉計において少数の観測データから画像を再構成する方法を開発した.MR分光画像法(MRSI)によってマウスに注入されたブドウ糖の代謝の時空間ダイナミクスを非侵襲的に可視化した研究成果の事例では,注入されたブドウ糖が体内に広がり,腫瘍組織で嫌気的に代謝され乳酸が産生されていく様子を見ることができる.圧縮センシングを使わない撮像法では一枚の画像の観測にも数時間を要し,時空間ダイナミクスの計測は不可能であるが,提案手法では間引き観測により体内の生化学反応の時空間ダイナミクスを非侵襲的に可視化できることを示した.