著者
新居 清美 宮内 昭 岡本 公子 前田 昌純
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.81-83, 1992

1家系内に3例の甲状腺乳頭癌を認めた家系を報告する.患者は1人の女性とその娘2人である. 3名とも健康で,放射線被曝歴はない.発端者は甲状腺両側に腫瘤のある53歳の女性で,母親が,気管に浸潤する甲状腺癌のため67歳のとき甲状腺亜全摘気管環状切除を行っていた.家族性発生がみられたため家系内の13名に対して家族調査を行ったところ, 46歳になる発端者の妹に小さい甲状腺乳頭癌が見つかった.家族性発生していることを考慮して, 2例ともに甲状腺全摘,両側頸部郭清を行った.病理組織学的には2例とも両葉に乳頭癌が認められた.家族性発生した甲状腺乳頭癌には甲状腺全摘が適切であることが示唆された.また,早期発見のためには家族調査が重要であると考えられた.
著者
門田 康正 正岡 昭 西川 栄郎 前田 昌純 中原 数也 大嶋 仙哉 谷 靖彦 清家 洋二 中岡 和哉 谷岡 恒雄 篭谷 勝巳
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.59-70, 1979-03-31 (Released:2011-08-10)
参考文献数
30

I期からIV期までの原発性肺癌患者32例を対象に健康人新鮮白血球の輸注を実施した.本法単独では腫瘍縮少効果は認められなかったが, アジュバント治療として術後や放射線治療後の再発, 転移の防止, 腫瘍縮少状態維持の効果は期待できる.また本法による生存期間の延長, 全身状態 (Status Index) の改善が認められ, この効果はIII, IV期の姑息手術例, 手術不能例の末期患者にもみられた.副作用として血清肝炎がみられたほか, 重篤なものはみられなかった.
著者
清水 信義 寺本 滋 人見 滋樹 伊藤 元彦 和田 洋巳 渡辺 洋宇 岩 喬 山田 哲司 山本 恵一 龍村 俊樹 山口 敏之 岡田 慶夫 森 渥視 加藤 弘文 安田 雄司 三上 理一郎 成田 亘啓 堅田 均 鴻池 義純 福岡 和也 草川 實 並河 尚二 木村 誠 井上 権治 門田 康正 露口 勝 宇山 正 木村 秀 香川 輝正 斉藤 幸人 武内 敦郎 森本 英夫 垣内 成泰 横山 和敏 副島 林造 矢木 晋 西本 幸男 山木戸 道郎 上綱 昭光 長谷川 健司 山田 公彌 岡本 好史 中山 健吾 山内 正信 佐々木 哲也 毛利 平 江里 健輔 宮本 正樹 森田 耕一郎 平山 雄 中川 準平 吉松 博 村上 勝 永田 真人 溝口 義人 大田 満夫 原 信之 掛川 暉夫 枝国 信三 足達 明 富田 正雄 綾部 公懿 川原 克信 西 満正 島津 久明 三谷 惟章 馬場 国昭 岡田 浪速 内藤 泰顯 櫻井 武雄 岡田 一男 西村 治 前部屋 進自 前田 昌純 南城 悟
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1011-1019, 1991-12-20
被引用文献数
1

西日本地区30施設の共同研究により,肺癌の治癒切除例に対する補助化学療法の有用性を検討した.このtrialが終了した後5年の観察期間が経過したのでその成績を報告する.対象は絶対的治癒切除,相対的治癒切除となった肺腺癌であり,A群はMMC(20+10mg)+tegafur600mg1年間経口投与,B群はMMC(20+10mg)+UFT400-600mg1年間経口投与とした.1982年11月から1985年11月までにA群113例,B群111例の計224例が集積された.不適格例が43例であり,A群88例,B群93例を解析対象とした.背景因子には差は認めなかった.成績は5年生存率および5年健存率で検討した.両群の全症例の5年生存率はA群64.3%,B群55.6%で有意差は認めず,健存率でも差はなかった.後層別解析で,N2症例において5年生存率および5年健存率とも,B群が良好であった(p=0.029,p=0.048).
著者
前田 昌純 中元 賢武 中村 憲二 南城 悟 太田 三徳 谷口 清英 坪田 典之 多田 弘人 成毛 韶夫
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.350-358, 1988

1, 562例の気管・気管支形成例の術型について分析, 追補した。術型数は, 1, 569手術例に57, 施行されていた。12の基幹術式のなかで, BBが974手術(62.1%)と最も多く, 続いてTTの282手術(18.0%), TBの92 (5.9%)の順位となる。Tp18手術(1.1%), CRは32手術(2.0%)施行されていた。CR, TB, BB術式は, 各々10, 10, 28のsub type術型にわかれる。手術数の上位3位を示すと, CRでは_<TI>__-CR, _<MM>__-CR_<TM>, ^^<CR>T-IM, TBでは左右のSP, 左右のWPと_<TI>SL, BBでは左右の上葉スリーブ(_<MI>SL SL_<ML>), 左右上葉のWL, 左右のMU吻合術型となる。術型別の合併症では, Tpの77.8%, TMTの40.0%, Teの37.9%, CRの34.4%が目立つ。7気管軟骨輪以下切除のTT, BBのうち_<MI>SL, SL_<ML>, _<MI>WL, WL_<ML>を標準術型とした。合併症頻度は, 各々, 20.3%と12.1%であった。
著者
谷口 清英 坪田 典之 川口 仁 林 栄一 中元 賢武 前田 昌純
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1071-1076, 1991-12-20

症例は74歳男性.1期肺腺癌術後肝転移に対し,rhG-CSF併用chemotherapy(MVP療法:CDDP80mg/m^2,VDS3mg/m^2,MMC8mg/m^2,2週間隔,5クール)で画像上PR(PertialResponse)を得た.化療中のCEA値を経時的に測定した結果,腫瘍体積と有意の相関をみた.画像上PRであったがCEA値は完全に正常化した.このことは,縮小した塊状影が腫瘍の壊死組織である可能性を示している.本症例の血清CEA値は,予後判定のうえで再発の指標となり,抗腫瘍効果のマーカーとして鋭敏に反応した.血清CEA値は画像診断の限界を補う新たな化療効果判定方法になりうることが示唆された.