著者
妻鹿 ふみ子
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.3-15, 2010-02-28

本稿は,福祉国家が新たな危機に直面しているとの認識の下,その危機への対応には社会的連帯を再編することが欠かせないことを議論するものである.すなわち,社会的連帯を基盤とした社会保障制度を核として脱近代化=脱工業化がもたらした社会の問題に対応してきたのが20世紀型福祉国家であったが,社会的連帯が著しく後退した今日,福祉国家の基盤が揺らいでおり,福祉国家は家族,地域,企業という社会システムが変容するなかでもたらされた新しい社会的リスクに対応できないでいる.したがって福祉国家の再編にはその思想的基盤としての社会的連帯の再編が不可避である.その際,人称の連帯の再編のあり方を探ることが求められるが,一方で非人称の連帯としての社会保障制度の後退を見過ごさないことも重要である.人称の連帯の再編にあたっては,親密圏の再編の構想を枠組みとして用いながら,支え合いのシステムの可能性を探ることが実際的である.
著者
妻鹿 ふみ子
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2014-07-25)

本研究は、公共哲学の視座から、地域コミュニティにおける人びとの支えあいのあり方を探ってきた。研究は、規範理論の研究と、実証研究としての地域の居場所の事例研究とに分けられる。規範理論の研究においては、コミュニタリアニズムという規範理論の「徳」「共通善」という構想が、支え合いのバックボーンとなることが示唆された。ケーススタディにおいては、支え合いを体現する居場所づくりの実践が、オルタナティブな人称的な連帯を作り出し、結果としてオルタナティブな親密圏が構築されることが明らかになった。