著者
市川 一宏 室田 信一 原田 正樹 小松 理佐子 妻鹿 ふみ子 菱沼 幹男 永田 祐 高野 和良 渋谷 篤男 佐甲 学 秋貞 由美子
出版者
ルーテル学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

地域福祉の実践と理論を結ぶことを目的に、地域福祉政策において先駆的な取り組みを展開している「東京都三鷹市」「長野県茅野市」「宮崎県都城市」という3 つのフィールドの比較研究をもとに、それぞれの地域で地域福祉が形成されていく過程を明らかにし、その裏付けになった理論的背景を踏まえつつ、地域福祉の発展型モデルを提示した。さらに、その結果を踏まえ、包括的支援体制の構築の必要性を検討し、2017年9月に厚生労働省がまとめた「最終とりまとめ」における「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制のあり方に関する検討会」での検討内容と改正された社会福祉法を検証し、包括的支援体制をについて検証した。
著者
菱沼 幹男
出版者
日本社会事業大学
雑誌
日本社会事業大学研究紀要 = Study report of Japan College of Social Work : issues in social work (ISSN:0916765X)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.5-20, 2021-03

Because of recent amendments in Japan's long-term care insurance system, life support coordinators have been assigned to each municipality to foster community building. However, as such assignments are relatively new, some coordinators have been struggling to execute their tasks. In this study, in order to explore the factors and solutions to the difficulties faced by life support coordinators in community work, we conducted a questionnaire survey in two cities in 2018 targeting Level 2 life support coordinators posted in Community General Support Centers, and obtained responses from 73 persons. Based on the results of factor analysis, "the method of community work," "workplace support," "community information," and "the lack of cooperation with other organizations" were identified as the "causes of the difficulties in community work." Further, "understanding community information and building relationships," "workplace support," "objective reflection," "learning about other communities," and "attending community work meetings," were identified as the "solutions to the factors causing difficulties in community work." It is important to utilize these findings for the training of those presently posted and for training certified social workers in the future. for the training of those presently posted and for training certified social workers in the future.介護保険制度改正により、地域づくりを担う人材として生活支援コーディネーターが各市区町村に配置された。しかし、配置されて間もないことから業務遂行において困難さを感じている人々もいる。そこで本研究では、生活支援コーディネーターの地域支援を困難にさせる要因と、その困難を解決する方法は何かを探索的に探るため、2018 年に2 つの市で地域包括支援センターに配置されている第2 層生活支援コーディネーターへアンケート調査を行い、73 名から回答を得た。因子分析の結果をふまえて「地域支援困難要因」として「地域支援方法」、「職場内サポート」、「地域情報」、「他機関連携」の不足、「地域支援困難要因解決方法」として「地域情報把握と関係形成」、「職場内サポート」、「客観的省察」、「他地域の学習」、「地域支援会議出席」が見えてきた。これらを今後の現任研修や社会福祉士養成に生かすことが重要である。
著者
菱沼 幹男
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.32-44, 2012-08-31
被引用文献数
1

福祉専門職による地域生活支援において,先行研究では地域支援スキルの弱さが示されているがその影響要因の解明には至っていない.そこで本研究は福祉専門職による地域支援スキルの促進要因を実証的に明らかにしようとするものである.研究方法として,全国500か所の地域で福祉専門職を対象にアンケート調査を行い,地域生活支援スキルに対する意識の実態や影響要因について分析した.その結果,先行研究と同様に地域アセスメントや地域住民との連携に関するスキルの弱さが意識されており,これらを促進する要因として地域担当制の有効性や担当地域人口規模として2万人が参考値となることが明らかとなった.しかし一方で地域担当制はサービス開発の支障要因となることも明らかとなり,今後コミュニティソーシャルワークを展開していくシステムを構築するためには,地域担当制と広域運営管理体制の二層構造とする必要性があることを提言した.