著者
市川 一宏 室田 信一 原田 正樹 小松 理佐子 妻鹿 ふみ子 菱沼 幹男 永田 祐 高野 和良 渋谷 篤男 佐甲 学 秋貞 由美子
出版者
ルーテル学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

地域福祉の実践と理論を結ぶことを目的に、地域福祉政策において先駆的な取り組みを展開している「東京都三鷹市」「長野県茅野市」「宮崎県都城市」という3 つのフィールドの比較研究をもとに、それぞれの地域で地域福祉が形成されていく過程を明らかにし、その裏付けになった理論的背景を踏まえつつ、地域福祉の発展型モデルを提示した。さらに、その結果を踏まえ、包括的支援体制の構築の必要性を検討し、2017年9月に厚生労働省がまとめた「最終とりまとめ」における「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制のあり方に関する検討会」での検討内容と改正された社会福祉法を検証し、包括的支援体制をについて検証した。
著者
小松 理佐子
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
vol.134, pp.31-47, 2016-03-31

高齢者の増加に伴う社会保障費の増加を背景にして,地域包括ケアシステムの構築は,重要な政策課題となっている.活用できる資源に乏しい過疎地域では,従来からのサービスの不足 2)に加えて,人口減少による地域力の弱化という課題を抱え,システムの形成を困難にしている.以上の関心から,過疎地域における地域包括ケアシステムの形成方法を考察した. Ⅰでは,先行研究をもとに地域包括ケアシステムの構築における過疎地域の固有の課題を検討した.Ⅱでは,相互支援に限界が生じている二地区の事例をもとに,システム形成に必要な要件を検討し,中間支援機能が必要であることを明らかにした.Ⅲでは中間支援機能の内容を考察するために,独自のサービスを創出した地域の事例を分析した.それを踏まえてⅣでは,過疎地域で地域包括ケアシステムを形成するためには,地域の状況の変化を的確に見極め,外からの支援者による支援が円滑に行うことができるようにするためのスーパービジョンの機能を担う機関が必要であることを指摘した.
著者
小松 理佐子
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.124, pp.39-54, 2011-03-31

社会福祉基礎構造改革の集大成として 2000 年に制定された社会福祉法の第 1 条に, 法の目的として 「地域における社会福祉の推進を図る」 ことが掲げられて以降, 地域を基盤とした社会福祉システムの形成に向けた政策が推進されてきた. その一環として, 第 1 条の改正と並行して, これを実現するための社会福祉関係法の制定・改正も行われてきた. それにもかかわらず, 孤独死の発生など, 地域で生活する人々への支援が十分に行われていない実態が明らかになっている. 本稿は, 地域で生活する人々の生活を支えるための社会福祉供給のあり方を明らかにすることを目的にして, 社会福祉供給の基本枠組みであるニーズとその充足1)について考察する.はじめに, 従来の公的社会福祉サービスの提供を地域を基盤とした支援体制へと転換するための課題を検討する. 次に, 地域生活支援におけるニーズを明らかにする. それを踏まえて, ニーズに対応する支援手段の充足の方法を考察する.
著者
小松 理佐子
出版者
中部学院大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本年度は、岐阜県内において介護保険事業者として介護保険サービスを提供している農業協同組合(以下、農協とする)を対象として、介護保険事業開始1年半を経過した時点での事業の実態に関するヒアリングを実施した。さらに、農協のヘルパー研修の修了者と現在農協に雇用されているヘルパーに対する意識調査を行った。それを通して明らかになったのは以下の点である。(1)介護保険事業の運営の実態…介護保険事業に参入した農協のなかでも、当初の見込み通りに事業が展開されているところと、見込みどおりではないところとがみられた。両者を比較してみると、事業が順調に展開されているところでは、住民の二ーズを把握するためのアンケート調査を実施するなど、地域のニーズをもとにして事業の内容を検討し運営がなされていた。介護保険事業を展開する際に、行政による需要見込みによってサービスを決定するのではなく、住民のニーズから出発するという運営が鍵であるといえる。(2)マンパワーの育成と確保…農協はこれまで農協の事業を担うマンパワーの養成を目的として、ヘルパーの養成研修を実施してきた。それによって多くの3級又は2級のヘルパー資格を所持している会員が存在している。それにもかかわらず、介護保険事業を担うヘルパーが不足したりみつけるのが困難であったりしている。資格を取得した人びとの多くは、会員となっている農協の事業だからとか、介護の知識や技術を家族のために活用したいという動機が多く、仕事としてヘルパーを考えている人が少ないのが実態である。(3)生活の総合的支援…介護保険の給付対象となるサービス以外のサービス(例えば、大掃除、倉庫の整理など)に対して、農協で組織している助け合いの会が対応し、ヘルパーと助け合いの会が連携を取ることによって、総合的な支援を展開しようと取り組まれている。これによって今後総合的な年活支援が可能になると考えられる。