著者
長谷川 卓 中村 英人 黒田 潤一郎 守屋 和佳
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

C4植物は700万年前頃に顕在化した被子植物で,通常の光合成回路の前段にCO2濃縮回路を持ち効率的な炭素固定を行う.この形質の成立過程は謎に包まれているが,「白亜紀中期の約1億年以上も前のオーストラリア南西~南極大陸にかけてがC4植物誕生の場である」という仮説を立て,これを検証する.炭素循環の大きな攪乱期の前後の試料から有機分析を進め,分子レベルの炭素同位体比分析など先進的手法も取り入れる.どの時代でどの環境激変と連動してC4植物が誕生・進化したかを明らかにし,その時代の環境背景を更に詳しく理解していく.C4植物のみに由来する有機分子の発見を期待している.
著者
加 三千宣 山本 正伸 中村 有吾 竹村 恵二 守屋 和佳 谷 幸則
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

地球温暖化に伴って、数十年スケールで大変動する太平洋のイワシ資源は、今後どのような変動を示すのか。中世温暖期におけるイワシ存在量の数十年スケール変動の振幅変化とそのメカニズムの解明を試みた。マイワシには過去1000年間において300年スケールの変動が見つかり、中世温暖期とそれにつづく小氷期という汎地球規模の気候変動に対して応答しないことがわかった。一方で、マイワシ存在量の300年スケール変動の背後には太平洋とその東西陸域を含む空間規模を持つ気候変動と関連している可能性が示唆された。日本マイワシ資源変動の環境要因として、北西太平洋の餌環境が重要である可能性が示唆された。
著者
棚部 一成 遠藤 一佳 佐々木 猛智 白井 厚太朗 伊庭 靖弘 守屋 和佳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

氷室時代の現世と温室時代の白亜紀の軟体動物(貝類)を対象として、貝殻の成長縞解析と地球化学的分析を行い、海洋環境に対する生活史形質の応答様式を解析した。その結果、北西太平洋の貝類の個体としての寿命が100年以上と長く、全球規模での海洋環境変動の記録を貝殻に保存していることが明らかになった。また、保存のよい浮遊性有孔虫、底生有孔虫、貝類化石の酸素同位体比分析から、白亜紀後期の北米内陸海や北西大西洋の陸棚は温室期の白亜紀中期に比べてやや寒冷化し、低層水温には季節変動があったことが示唆された。また、これら海域の貝類は現世の温暖な海域の貝類と似た生活史形質を持っていたことがわかった。