著者
永谷 幸則
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.E32-E34, 2001-08-20 (Released:2017-10-02)

標準模型の真空中で小質量のブラックホールを考えると、ホーキング放射によって周囲が加熱され、球対称にブラックホールを取り囲む電弱ドメイン壁が出現する事を示す。このドメイン壁は電弱相転位が2次転位であっても出現する。また、CP対称性の破れを仮定するとその電弱ドメイン壁はバリオン数を生成し、生成されるバリオン数の総量はブラックホール質量とCP対称性の破れの大きさに比例する。この現象の応用として、質量数百キログラムの原始ブラックホールによって宇宙のバリオン数の起源とダークマターを説明するモデルを提唱する。
著者
三宅 康博 永谷 幸則 吉田 光宏 林崎 規託 荻津 透 大西 純一 鳥養 映子
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2017-05-31

透過ミュオン顕微鏡に用いる超低速ミュオンに厚い試料への透過能をもたせるための再加速装置である5MeVミュオンサイクロトロンが完成した。本年度、サイクロトロンの主磁石を作成するとともに、サーチコイルを用いた超精密(10(-5)精度)かつ高勾配(10%/cm)の磁場を計測可能な3次元磁場測定装置を開発し、これらを用いて精密磁場測定、磁場計算と磁極調整(シミング)をくりかえし、目標とする最大0.5T強度で10(-5)精度の等時性磁場の形成に成功した。磁場測定装置の開発では、低膨張ガラス立方体にコイルを巻き、超低ドリフトアンプ、24bitADC、14bitロータリーエンコーダー、FPGA処理装置を組み合わせ、必要な精度を得た。また、サイクロトロンに高安定な108MHzと324MHzの電磁波(RF)を供給する発振器、プリアンプ、パワーアンプ等も開発した。GPS原子時計に同期した源発信をPLLにより上記周波数に変換し、複素変調器、複素復調器、ADC、DACとFPGAを組み合わせたフルデジタルなRF制御系の開発も進めた。並行して、透過ミュオン顕微鏡に用いる超伝導対物レンズの超伝導コイルのヘリウム冷却・起動試験を実施し、目論見通りの磁場(最高4.2T)分布が得られる事を確認した。また、ミュオン回折実験のデーター解析も進めた。
著者
加 三千宣 山本 正伸 中村 有吾 竹村 恵二 守屋 和佳 谷 幸則
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

地球温暖化に伴って、数十年スケールで大変動する太平洋のイワシ資源は、今後どのような変動を示すのか。中世温暖期におけるイワシ存在量の数十年スケール変動の振幅変化とそのメカニズムの解明を試みた。マイワシには過去1000年間において300年スケールの変動が見つかり、中世温暖期とそれにつづく小氷期という汎地球規模の気候変動に対して応答しないことがわかった。一方で、マイワシ存在量の300年スケール変動の背後には太平洋とその東西陸域を含む空間規模を持つ気候変動と関連している可能性が示唆された。日本マイワシ資源変動の環境要因として、北西太平洋の餌環境が重要である可能性が示唆された。
著者
橋本 伸哉 谷 幸則
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

初めに、ピコプランクトンを含む海洋微生物の単離法の最適化を行った。微生物分離装置を用いて、従来の顕微鏡下での単離法では単離が困難な海洋微生物を海水試料や粗培養試料から単離する手法を確立した。次に、野外調査で採集した水試料を対象に、揮発性有機化合物の生成種の探索を行い、海洋微生物がクロロメタン、ブロモメタン及びヨードメタンを生成することを見出した。さらに、温帯域の海洋植物プランクトン、特に緑藻の近縁種に、ジヨードメタンを多量に生成する種を見いだし、温帯域の海洋に含まれるジヨードメタンの生成起源を初めて明らかにした。
著者
橋本 伸哉 谷 幸則
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

微生物によるハロカーボンの生成量および生成機構に関する知見を得ることを目的とした。微生物の培養液等の粘性の高い試料中のハロカーボンを高感度に分析するために、ダイナミックヘッドスペース法(DHS法)による分析条件を検討した。標準溶液をDHS-ガスクロマトグラフ質量分析装置で測定した結果、pmol L^<-1>~nmol L^<-1>の間で直線性がみられ、再現性も良好であった。本分析法をバクテリア培養液の測定に適用し、バクテリアによるクロロメタン、ブロモメタンの生成を初めて明らかにした。