著者
川村 軍蔵 信時 一夫 安樂 和彦 田中 淑人 岡本 一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.35-39, 2001-01-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2 4

感光色素を一種類しかもたないタコ類は色盲とされる。これを行動実験で検証するために, スナダコ5個体とマダコ7個体を用いて色覚を確かめる学習実験を行った。供試個体を負刺激球(白球あるいは灰色球)と同時呈示した青球(直径25mm, 反射スペクトルのλmax=460nm)に触れてから餌を摂るよう条件付けた後, 負刺激球を明度が段階的に異なる灰色球に換えて移調試験を行った。移調試験では, スナダコは灰色球の明度にかかわらず有意に高頻度で青球を選択し, 色覚をもつ可能性が示された。マダコは灰色球の明度によって選択球が変わり, 色盲であると結論された。
著者
岡本 一 安樂 和彦 川村 軍蔵 田中 淑人
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.672-677, 2001-07-15
被引用文献数
1 5

タコが何色の隠れ場を好んで選択するか, また選択する色は背景色の違いによって変化するかを調べることを目的とし, 供試個体にマダコおよびスナダコを用いて水槽内行動実験を行った。高照度下で黒, 赤, 橙, 黄, 緑, 青, 白の7色, 低照度下で黒, 黄, 青の3色を背景色とし, 円筒形の隠れ場8色(黒, 赤, 橙, 黄, 緑, 青, 白および透明)を設置し, 30分おきのタコの状態を目視観察, 記録した。背景色にかかわらず黒, 赤, 橙の隠れ場が両種のタコに共通して高頻度で選択された。マダコとスナダコで異なる行動結果も得られたが, スペクトル感度の違いによるものと考えられ, 両種とも, 暗さを好む傾向があると結論された。
著者
川村 軍蔵 信時 一夫 安樂 和彦 田中 淑人 岡本 一
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.35-39, 2001-01-15
被引用文献数
1 4

感光色素を一種類しかもたないタコ類は色盲とされる。これを行動実験で検証するために, スナダコ5個体とマダコ7個体を用いて色覚を確かめる学習実験を行った。供試個体を負刺激球(白球あるいは灰色球)と同時呈示した青球(直径25mm, 反射スペクトルのλ_<max>=460nm)に触れてから餌を摂るよう条件付けた後, 負刺激球を明度が段階的に異なる灰色球に換えて移調試験を行った。移調試験では, スナダコは灰色球の明度にかかわらず有意に高頻度で青球を選択し, 色覚をもつ可能性が示された。マダコは灰色球の明度によって選択球が変わり, 色盲であると結論された。
著者
Babaran Ricardo 遠藤 周之 光永 靖 安樂 和彦
出版者
日本水産工学会
雑誌
日本水産工学会誌 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.21-28, 2009
参考文献数
29
被引用文献数
2

フィリピンのパヤオ(浮魚礁)周辺で,キハダ幼魚の腹腔内に超音波発信機を挿入して放流し,パヤオのアンカーラインに装着した受信機で行動をモニタリングした。キハダ幼魚はパヤオ周辺にとどまり,同時にモニタリングした同サイズのツムブリに比べ,明らかに深い層を遊泳した。夜間は比較的浅く狭い層を遊泳し,昼間は深く広い層を遊泳する日周性や,深夜にパヤオから離れるなど,これまでに報告されているキハダ成魚とよく似た行動を示した。再捕結果から摂餌や移動が確認され,キハダ幼魚のテレメトリーが可能であることが示された。
著者
川村 軍蔵 安樂 和彦
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1)蛍光灯照明下においてキンギョを用いて縦縞と横縞を識別する学習を完成後、紫外線LED照射下において紫外線反射縞模様に置き換えて識別学習行動をみた。供試魚は紫外線模様に対して識別行動を示さなかったことより、紫外錐体のみでは高度な形状識別が困難であると考えられた。2)上記の実験方法を変えて、心電図条件付法による形状識別能を確認する実験を行っているが、まだ結論を得られていない。3)紫外線LED照射下においてウグイを用いて紫外線縞模様に対する視運動反応を調べた。視運動反応装置内において、ウグイは弱い視運動反応を示したことより、紫外線視覚で運動視は可能であるが通常光下における反応より精度が低いと考えられた。4)上記の実験はテレビでモニタするため背景光に近赤外線(波長860nm)を用いたが、供試魚はこの近赤外線に感度をもつ可能性がみられた。コイを用いて近赤外線応答を網膜電図と心電図法によって調べ、両方で応答が見られた。ティラピアを用いた同様な実験では、波長860nmと940nmに心電図応答がみられ、近赤外線受容器は眼であり、上生体は近赤外線感度をもたなかった。網運動反応による受容視細胞の特定を行った結果、完全な暗順応でも近赤外線に心電図応答があることから、桿体が近赤外線受容視細胞であることが明らかであるが、錐体の可能性は否定できなかった。