著者
舟木 賢徳 安田 八十五
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.320-329, 1996-11-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
17

レジ袋の有料化方式についての御殿場市の一般市民へのアンケート調査では, レジ袋を有料化した場合の賛否は, 反対が20.6%に対して賛成が78.1%と賛成が圧倒的に多かった。また, 一般市民へのCVM (仮想市場法) によるアンケート調査では, 5円の有料化が実施された場合, 16.9%の市民が買物袋を持参するとし, 10円だと44.2%の市民が買物袋を持参すると回答している。これに対して, 実際に有料化している店舗では, 5円の有料化では来店者中の73.2%の消費者が買物袋を持参し, 10円だと91.8%の消費者が買物袋を持参している。CVMによるアンケート調査結果との比較では, 5円では56.3%の差が, 10円だと47.6%の差がある。つまり主として仮定バイアスとCVMの回答方法が選択肢回答方式 (open-ended question) であるために, CVMの方が約5~6割低いバイアスが観察された。
著者
安田 八十五 白 永梅
出版者
日本マクロエンジニアリング学会
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.7-13, 2013

本研究の主たる目的は,レジ袋有料化政策による削減効果の有効性を実態調査によって明らかにし,さらに地域全体で有料化を実施するとレジ袋削減効果が高くなり,有効性が飛躍的に増大することをレジ袋の需要曲線が左下方にシフトするという「レジ袋需要曲線の構造変化」で明らかにすることである.安田は,レジ袋等の容器包装リサイクル問題の課題を容器包装リサイクル費用は一体いくらかかっているのかという問題と容器包装リサイクル費用は本来誰が負担すべきか,という二つの問題に設定し,諸外国の例も参考にして,拡大生産者責任(EPR)を明確にするよう提唱した.本論文ではレジ袋購入率を用いてレジ袋の需要曲線を推定し,レジ袋有料化政策が地域全体で実施されると削減効果が極めて高い結果,すなわち,「レジ袋需要曲線の構造変化」が示されることを明らかにする.
著者
安田 八十五 白 永梅
出版者
日本マクロエンジニアリング学会
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.7-13, 2013-02-20 (Released:2013-04-05)
参考文献数
18

本研究の主たる目的は,レジ袋有料化政策による削減効果の有効性を実態調査によって明らかにし,さらに地域全体で有料化を実施するとレジ袋削減効果が高くなり,有効性が飛躍的に増大することをレジ袋の需要曲線が左下方にシフトするという「レジ袋需要曲線の構造変化」で明らかにすることである. 安田は,レジ袋等の容器包装リサイクル問題の課題を容器包装リサイクル費用は一体いくらかかっているのかという問題と容器包装リサイクル費用は本来誰が負担すべきか,という二つの問題に設定し,諸外国の例も参考にして,拡大生産者責任(EPR)を明確にするよう提唱した.本論文ではレジ袋購入率を用いてレジ袋の需要曲線を推定し,レジ袋有料化政策が地域全体で実施されると削減効果が極めて高い結果,すなわち,「レジ袋需要曲線の構造変化」が示されることを明らかにする.
著者
安田 八十五
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.229-234, 2001-09-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 2

最近, ペットボトルが飲料容器として大量に流通している。しかしながら, ペットボトルのリサイクルは, 成功しているとはいい難い。ペットボトルのリサイクルは, 容器包装リサイクル法が施行された平成9年 (1997年) から本格化されたが, 平成11年度 (1999年) で, 約20%の回収率にとどまっている。本論文では, 自治体におけるペットボトルのリサイクルの取り組みに関して, 社会的費用便益分析を用いた総合評価を行った。ことに, ごみリサイクルとしての処理が環境負荷に与える影響をLife Cycle Assessmentの手法を適用して測定し, さらに, その価値を貨幣換算して, 評価に組み込んだ。対象自治体としては, 容器包装リサイクル法ルートを100%適用している埼玉県川口市, 70%を市場に回している大阪市, およびスーパーマーケットなどを回収拠点として協力してもらっている東京都 (23区) の回収方式の類型が異なる3都市を選択した。環境負荷削減による外部便益増加を含めた社会的純便益は, 事例研究を行った3自治体すべてにおいてマイナスの結果を得た。ペットボトルのリサイクルが, 自治体において大きな経済的負担になっており, 事業者負担の適正化等の受益者負担原理に基づいたリサイクル政策の改革が求められている。また, 3都市の中では, 川口市が最も社会的便益が小さいことが判明した。これは, 容器包装リサイクル法による回収リサイクルシステムが, 効率が良くないことを意味している。同様な法律で容器包装リサイクルを実行しているドイツやフランスを参考にし, 事業者負担を強化した方式に改革することが期待される。
著者
安田 八十五
出版者
関東学院大学経済経営研究所
雑誌
関東学院大学経済経営研究所年報 (ISSN:13410407)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.123-146,

2011年(平成23年)3月11日(金)に発生した東日本大震災によって日本の社会,ことに,東日本の地域社会は壊滅的な打撃を受けた。これには,「想定外」という想定を超えた大地震や大津波が発生したため,止むを得なかったという言い訳も見うけられる。しかしながら,地震学を中心とする現代の自然科学や工学のレベルでは,地震の予知や大津波の推測は,ほとんど不可能と言われており,自然科学や理工学を中心としたいわゆる理科系の学問のみに頼る大地震や大津波対策では対応は不可能と言っても言い過ぎではない。そこで,人文・社会科学や社会工学に基づく政策科学的なアプローチが今こそ求められている。筆者は,筑波大学在職中の1970年代から,1923年(大正12年)9月1日(土)に発生した関東大震災級の大地震が関東地方に発生した場合の,被害の予測及び復旧の方法の違いによるリスクシステム分析と政策シミュレーション分析等を研究し,オペレーションズ・リサーチ学会や地域学会等で発表して来た。例えば,約32年前に発表した安田八十五・土方正夫(1979)「第二次関東大震災のシミュレーション」(オペレーションズ・リサーチ学会誌,昭和54年9月)等を参照。そこで,今回の東日本大震災を主たる事例研究の対象として,阪神・淡路大震災,新潟中部大震災等も事例研究に加えて,大地震に伴う大津波や原子力発電所事故による被害の実態調査を行い,被害の最小化を実現するための地域社会システムの構築の仕方,及び復旧・復興・復活をスムーズに展開するための地域社会システムにおける政策の構築方法及び政策シミュレーション分析による政策代替案の評価等を実施し,政策分析と政策評価を行う。マクロエンジニアリング学会の循環型社会システム研究委員会にも協力してもらい,ことに,今回被害を受けた東北大学劉庭秀准教授(筑波大学安田ゼミ出身)と連携しながら,調査研究を進め,有効な政策提案を行う。
著者
安田 八十五
出版者
関東学院大学経済経営研究所
雑誌
関東学院大学経済経営研究所年報 (ISSN:13410407)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.123-146, 2012-03

2011年(平成23年)3月11日(金)に発生した東日本大震災によって日本の社会,ことに,東日本の地域社会は壊滅的な打撃を受けた。これには,「想定外」という想定を超えた大地震や大津波が発生したため,止むを得なかったという言い訳も見うけられる。しかしながら,地震学を中心とする現代の自然科学や工学のレベルでは,地震の予知や大津波の推測は,ほとんど不可能と言われており,自然科学や理工学を中心としたいわゆる理科系の学問のみに頼る大地震や大津波対策では対応は不可能と言っても言い過ぎではない。そこで,人文・社会科学や社会工学に基づく政策科学的なアプローチが今こそ求められている。筆者は,筑波大学在職中の1970年代から,1923年(大正12年)9月1日(土)に発生した関東大震災級の大地震が関東地方に発生した場合の,被害の予測及び復旧の方法の違いによるリスクシステム分析と政策シミュレーション分析等を研究し,オペレーションズ・リサーチ学会や地域学会等で発表して来た。例えば,約32年前に発表した安田八十五・土方正夫(1979)「第二次関東大震災のシミュレーション」(オペレーションズ・リサーチ学会誌,昭和54年9月)等を参照。そこで,今回の東日本大震災を主たる事例研究の対象として,阪神・淡路大震災,新潟中部大震災等も事例研究に加えて,大地震に伴う大津波や原子力発電所事故による被害の実態調査を行い,被害の最小化を実現するための地域社会システムの構築の仕方,及び復旧・復興・復活をスムーズに展開するための地域社会システムにおける政策の構築方法及び政策シミュレーション分析による政策代替案の評価等を実施し,政策分析と政策評価を行う。マクロエンジニアリング学会の循環型社会システム研究委員会にも協力してもらい,ことに,今回被害を受けた東北大学劉庭秀准教授(筑波大学安田ゼミ出身)と連携しながら,調査研究を進め,有効な政策提案を行う。
著者
安田 八十五 菊地 直人
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.44, pp.21-36, 2008-01

日本ではゴミ(廃棄物)を衛生的に処理する手段として焼却処理が広く普及してきたが、近年焼却処理の際に発生するダイオキシンが問題となっている。ダイオキシンの発生源の約8割が一般廃棄物の焼却施設とされており、排出を削減することが緊急の課題となっている。厚生省(当時・現在は環境省)は小型の焼却施設を大型の焼却施設に集約するごみ処理広域化計画を進めているが、広域化には様々な問題点があり見直しを始めている。特に、まとまったゴミの集まらない人口低密度地域では広域化に伴う弊害が多い。本研究ではこれら人口低密度地域において環境や経済性の面からその地域特性に応じたごみ処理システムを明らかにすることを目的とする。ことに、廃棄物固形燃料(Refuse Derived Fuels:RDF)化政策を導入した政策代替案を提案し、その総合評価を行う。本研究では研究対象地域を茨城県北西部地域の15市町村とし一般廃棄物処理のうち、可燃ごみの収集から中間処理、最終処分までを分析範囲とした。まず、15市町村の現状分析を行いその結果をもとに可燃ごみの収集、中間処理、最終処分の各段階で政策代替案を設定した。政策代替案では全ての中間処理施設を厚生省の定める最も厳しいダイオキシン排出規制値を達成できるものとした。政策代替案ごとに財務分析、LCA分析、社会的費用便益分析を行った。茨城県北西部地域では財務分析の結果から広域化処理の方が自治体の費用負担が少なくなることがわかった。LCA分析によると可燃ごみの収集運搬時よりも中間処理段階の方が電力や燃料消費量が遙かに多くなるため、広域化処理で焼却場を1箇所に集約した方が環境負荷量は少なくなった。しかし社会的費用便益分析では広域化を行わず現在の焼却施設の改造、更新を行った方が社会全体として費用負担が少なくなることが明らかとなった。ごみ処理広域化を行う場合は、焼却施設を統合する市町村、広域処理事務組合間で現在の焼却施設の更新時期が重なれば社会的費用が少なくなる。しかしながら、焼却施設の更新時期が重ならない地域は減価償却が終わった焼却施設においてはガス化溶融炉に更新し、終わっていない焼却施設については排ガス処理施設を設置して対応するのが最も望ましいと言える。本研究ではプラスチック類の分別は想定しなかったが、ダイオキシンの発生源となる塩化ビニール系のプラスチック類を分別しマテリアルリサイクルすることでダイオキシンが抑制でき、ダイオキシンを抑制するために莫大なプラント建設費が不要となる上、無理な広域化をする必要もなくなることから将来の選択肢として検討の余地があるといえる。